ヤマト運輸が10月から宅急便の運賃を値上げするようです。
先週、当社にもヤマト運輸のドライバーから、10月以降の運賃の話がありました。サイズによりますが、平均すると1個当り150円の値上げです。
わたくしのクライアントにも値上げの話はあったようなので、ヤマト運輸と未収の宅急便の契約をしている会社には、値上げの通告があった模様。
当然、ヤマト運輸の最大の顧客であるAmazonとの間でも、運賃の値上げの攻防戦が繰り広げられています。
ネット通販の王者であるアマゾン・ジャパンの宅配便数は、年間3億個にものぼる。このうち4分の3にあたる2億2000万~3000万個をヤマト運輸が、残りを日本郵便が運んでいる。
関係者によると、ヤマトが受けているアマゾンの荷物の平均単価は270~280円。これは2013年に佐川急便が利益が出ないとしてアマゾンの仕事から撤退したときの価格に等しい。「タリフ」と呼ばれる運賃表の4割という水準だ。
にもかかわらず、その価格で受けてきたのは、「アマゾン・ジャパンが物流機能の一部を負担していたから」(ヤマト関係者)だという。アマゾンが配送先のエリア別に仕分けして、基幹センターに持ち込んでいるというのだ。それとて、サービス残業に支えられてこそ見合う価格だったわけで、問題が表面化したことで、この単価では採算が合わなくなった。
Amazonの配送から、ヤマト運輸が距離を取るような動きになっていますよね?
今日のエントリーでは、今後、Amazonの配送がどうなっていくかについて考えます。
なぜ、ヤマト運輸はAmazonから手を引き始めたのか?
ヤマト運輸が取り扱う荷物の中で、Amazonの荷物が何%あるかご存知ですか?
2016年度におけるヤマト運輸の荷物量は、18億7000万個となっています。
上述したニュースによれば、Amazonの荷物は、2億2000万~3000万個なので、ヤマト運輸の荷物の11.7%がAmazonの荷物という計算になります。
Amazonの荷物の平均単価は270~280円と激安なので、ヤマト運輸は荷物を運んでも運んでも利益が出ないということなんだろうね。
プライム会員の爆発的な増加
日本ではプライム会員の会員数が増え続けているというのも、ヤマト運輸がAmazonから手を引く原因の1つであることは間違いありません。
プライム会員が増えることになったきっかけは、2015年8月にAmazonがプライム会員向けの特典を大幅に増強したときからだと思うんだよね。
その後、Fireタブレットをプライム会員には4980円で販売したり、Fire TV Stickを980円で販売したりして、Amazonのガジェットは、プライム会員を獲得するための販促ツールになっていました。
これにより、プライム会員は急激に増えていくことになったのです。
基本的に、プライム会員は、Amazonで購入する商品が送料無料になります。ちょっとした小物でも、ポチる癖がついてしまいます。ヤマト運輸のドライバーにとってみれば、たまったもんじゃないけど。
ヤマト運輸と契約したのは、Amazonにとって大成功だった
Amazonは注文するとすぐ届くイメージがありますよね?これはね、ヤマト運輸のインフラにAmazonがうまく乗ったことが最大の要因です。
2013年までは佐川急便がAmazonの荷物を運んでいましたが、佐川急便のときは、あまりイメージが良くなかったような気がします。
Amazonとヤマト運輸の攻防戦
Amazonとヤマト運輸の攻防戦を、時系列を元に見ていきましょう。
2017年3月 ヤマト運輸で残業代の未払いが発覚
2017年7月に未払い残業代230億円を支給するというニュースがありました。
2017年4月 ヤマトがAmazonの当日便から撤退するとアナウンス
ヤマト運輸が、Amazonの当日便から撤退するというアナウンスがありました。
宅配便最大手のヤマト運輸が、インターネット通販最大手アマゾンから受託する即日配送からの撤退を視野に検討していることが7日、分かった。夜間に配達する荷物が増える原因となっており、ドライバーの負担を減らす必要があると判断。即日配送の受託を徐々に減らし、将来なくす方向とみられる。
2017年6月 Amazonが独自配送するにあたって、個人運送業者1万人を囲い込むという報道
Amazonが個人運送業者のプラットフォームになるというニュースがありました。Amazonは、マーケットプレイスで培ったノウハウがあるから、プラットフォームを作るのは得意中の得意だよね。
しかも2020年までに、個人運送業者1万人を囲い込むという力技に出てきました。AmazonはECのプラットフォームという立場に加えて、運送のプラットフォームとして君臨することになります。
7/10に行われたAmazonプライムデーのセール
Amazon社長は記者会見で、プライムデーの配送は影響でないという話をしていました。
アマゾンジャパン(東京都目黒区)は、30時間にわたって行うプライム会員向けのセール「Amazon プライムデー」を10日午後6時から始めた。オープンに先立ち、東京・六本木で開かれた発表会で、ジャスパー・チャン社長は配送遅延問題について聞かれ、「(これまでの配送の)遅延問題は解消している。プライムデーについては数カ月前から物流だけでなくすべての面で準備をしてきた」と配送網への影響はないという考えを示した。
わたくしもプライムデーで購入しましたが、ヤマト運輸から委託を受けた個人配送業者の人が荷物を持ってきてくれました。ヤマト運輸も総動員だったんだろうね。
今後、Amazonの配送はどうなるのか?
2017年4月以降、デリバリープロバイダがAmazonの荷物を運ぶようになりました。でも、デリバリープロバイダの評判はいまいちです。
今後、Amazonの配送に関しては、基本的には、デリバリープロバイダが配送することになると思います。丸和運輸機関が個人運送業者を取りまとめるっていう話ですからね。
ヤマト運輸と比べると、確実に配送サービスの質が落ちることは間違いなさそうです。指定時間に届かないとかは、今でもあります。
ヤマト運輸の配送を希望するなら、オプションで有料になるかもしれません。もしくは、年間100万円以上購入するAmazonユーザーならば、無料でヤマト運輸で配送するとかね。
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