残念なニュースです。自然科学系の科学雑誌「Newton」が民事再生手続きに入りました。
「雑誌『Newton』刊行継続のご報告」と題するプレスリリースを2月20日に公開いたしました(公式Webサイトで公開したPDFを画像化したものです)。 pic.twitter.com/eWFraCYADo
— 科学雑誌Newton(ニュートン)公式 (@Newton_Science) 2017年2月20日
1981年創刊の科学雑誌「Newton」の発行元が民事再生手続きへ
Newtonは1981年創刊。初代の竹内均編集長はテレビなどでも一般向けの科学解説を行うなど、TechCrunch Japan読者の中にも良く見ていたという人は多いだろう。豊富なビジュアルを使った誌面は当初は斬新で、ぼくも見開き一杯に描かれた美しい土星の輪の絵なんかに見とれて宇宙論を志した子どもだった。最新の科学的知見を一般向け、あるいは子どもにも分かりやすく解説するスタイルは今も変わっていない。
今となっては日々リアルタイムでNASAからじゃんじゃん写真がソーシャルに流れてくるし、YouTubeを見れば大量の科学系の解説動画もある。そもそも紙の雑誌市場自体が縮小しているうえにビジュアルを主体とするという切り口だけでは、もうビジネスとしては厳しいのかもしれない。とはいえ科学を分かりやすく伝えるという使命は、水素水が流行しまくる現在の日本でこそ必要とされているもの。再建に向けた取り組みが順調に進むことを祈るばかりだ。
とはいえ、再建を目指すということで、雑誌は継続して発刊される模様です。
「Newton」の経営は厳しかった
「Newton」の経営は厳しかったようですね。
定期購読者から学習教材開発名目で不正に出資を募ったとして、山口県警は17日、月刊科学雑誌「ニュートン」を発行するニュートンプレス(東京都渋谷区)の元社長、高森圭介(77)=東京都杉並区永福=と、関連のコンピューターソフト開発会社「ニュートン」管理部長、関博和(69)=さいたま市南区白幡=の両容疑者を出資法違反容疑で逮捕した。
逮捕容疑は、2015年2月~16年3月、埼玉県と島根県在住のニュートンの定期購読者3人(いずれも70代男性)に対し、元本と年5%の利息を約束して出資を募り、4回にわたり計1200万円を送金させたとしている。高森容疑者は「金を借りただけ」と容疑を否認し、関容疑者は「不特定多数から集めたわけではない」と一部否認している。
クラウドファンディング
資金繰りが厳しかったのならば、資金を集める方法として、クラウドファンディングという選択肢があったはずなのに。
もう少し若手の経営者であれば、資金を集める方法は、柔軟に対応できたはず。
「Newton」がきっかけで科学に興味を持った人も多いし、ファンも多い雑誌だったので、クラウドファンディングを行えば、幅広く資金を調達することは可能だったはず。
「紙の雑誌」の売上は落ちている
月刊誌も週刊誌も「紙の雑誌」は、1997年をピークに17年連続で売上が落ちています。

「2015 出版指標 年報」より
出版不況が続く中、今年の雑誌の売り上げが、41年ぶりに書籍を下回る見通しとなったことが26日、出版科学研究所(東京)の調査で分かった。
同研究所が、出版物の1~11月の販売実績を基に算出した出版物推定販売金額(電子出版を除く)で判明した。雑誌は約7200億円で、前年比7・7%減。ピークだった1997年と比べると市場規模は約46%にまで縮小した。
「紙の雑誌」が生き残るには
「紙の雑誌」の市場規模は、ピークだった1997年と比較して46%にまで縮小しています。
今までのビジネスモデルを続けていても、「紙の雑誌」が生き残ることは難しいだろうね。
特に出版社は、販売チャネルを取次に依存してる出版社が多いけど、取次に依存している限り、生き残ることは絶対にできません。
出版社は独自の販売チャネルを持つべし
「紙の雑誌」が生き残るには、出版社は独自の販売チャネルを持たないと厳しいだろうね。
取次が全国の書店への販売チャネルを持っているから、取次に依存したくなる気持ちも分かります。
でもね、弱小出版社の場合、取次ルートに依存しても、なかなか売上を伸ばすことは出来ません。
取次ルートを使った場合、大手出版社なら多数の雑誌を全国の書店に届けることができますが、弱小出版社だと全然取り扱ってくれないですから・・・
自社で販売チャネルを確保しない限り、今の雑誌不況の中で、売上を伸ばしていくことは難しいです。
定期購読を増やすべし
定期購読を増やして、LTV(年間購入単価)を上げていくことが、「紙の雑誌」が生き残るための条件です。
「紙の雑誌」が生き残るには、定期購読をどうやったら増やせるかを考える必要があります。
Wikipediaによると、ナショナルジオグラフィックも定期購読で成り立っている模様。
世界中で36カ国語で発行されており、180か国以上で850万人が定期購読している。日本語版の発行部数は約8万4千部であり、読者は首都圏のみで42%を超える。また、読者の平均世帯年収(SA)が高く、日本における高級誌の一角を占めている。
「ウェブ運用」と「ソーシャル運用」でファンを確保する
独自の販売チャネルを持ったり、定期購読を増やすには、雑誌のファンを確保することが重要です。
雑誌のファンになってくれた読者は、直接、出版社から定期購読してくれますからね。
雑誌のファンを確保するにはどうすればいいのかというと、ネットでの情報発信は欠かせません。
実は、出版業界ってネットに詳しい人が少ないです。なので、「ウェブ運用」「ソーシャル運用」が全く出来ていない出版社がとても多いのです。
現状、ほとんどの出版社でウェブやソーシャルが全く活用されていないので、きちんと運用すれば、すぐに効果が出ます。
「ウェブ運用」と「ソーシャル運用」はそれぞれ得意な部分が異なるので、ツールをきちんと使い分けて運用することをオススメします。



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