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今後の楽天は?グローバル戦略は全部失敗してる

ECテクノロジービジネスモデル

楽天に以前の勢いがなくなってきました。

わたくし自身、ここ2年くらい、楽天市場で商品を購入していないですね。ほとんどAmazonで、たまにヨドバシという感じです。

元々、楽天市場ってガラパゴスなサービスでした。完全に日本市場しか見てない感じだったもんね。

ところが、2010年に楽天が社内英語公用語化を打ち出して以来、「脱・日本企業」宣言をして、グローバル戦略を次々と推し進めます。

本業のECモールが海外では全く通用していない現状を考えると、グローバル戦略はお世辞にも上手く行ってるとは言えないですね。どんどん撤退しています現状を見ると、結果は全て裏目に出ていると言ってもいいでしょう。

海外に展開したECモールの撤退について、時系列で見ていきましょう。

  1. 2016年3月にシンガポール、インドネシア、マレーシアの3カ国のECモールから撤退しました。
  2. 次いで、2016年6月にイギリスとスペインとオーストリアからも撤退することを決定しました。

日本のeコマースのトップ企業Rakuten(楽天)が、再びその国際的なプレゼンスをダウンサイジングすることになり、ヨーロッパの三つの国におけるeコマース事業を閉鎖する計画を発表した。

イギリスのRakuten.co.ukとスペインのRakuten.es、およびケンブリッジとバルセロナの同社オフィスを閉じる動きは、2月に行われた同様の合理化意思決定の再現である。そのときは同社は東南アジアから撤退し、ブラジルにおけるプレゼンスをリストラして3億4000万ドルの資産を償却した。

今回オフィスとオペレーションを閉鎖する三つ目の国はオーストリアだが、この国の顧客は隣国ドイツのサービスを引き続き利用できる。実際の閉鎖は8月に行われ、以降Rakutenはヨーロッパではフランスとドイツに力を入れる。フランスではPriceMinisterの事業をダウンサイズしたものの、これら二か国は“そのスケールとポテンシャルからして、今後の持続的な成長が可能”、としている。

“イギリスとスペインでは、事業のサイズに比して成長のための費用が不釣り合いなため、オペレーションを閉鎖する計画に至った”、とRakutenは声明で述べている。

海外企業の買収は失敗ばかり

楽天は、2010年に社内英語公用語化を打ち出して以来、海外企業を買収しまくるわけですが、大盤振る舞いしすぎでした。
たいした資産のない企業も、成長が見込めると判断して、高値で爆買いします。つまり、高い「のれん代」を支払って、企業買収を行ったのです。

海外事業の「のれん代」は?

のれん代とは、「買収額」と「買収された企業の純資産」との差額のことを指します。

メッセージアプリを展開しているViberに使った「のれん代」は凄まじく、2014年に1000億円で買収したViberは、なんと993億円が「のれん代」なのです・・

もちろん高いのれん代を払ったとしても、買収する企業が、他にはない技術やサービスを持っているのであれば、何の問題もありません。

でも、楽天の買収劇を見る限り、技術のある会社を買収しているというよりは、2番煎じ3番煎じだけど、楽天にはないサービスをとりあえず揃えるという感じにしか見えないのです。

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ここからは、楽天が発表した数字を元に、プライスミニスターとKoboの「のれん代」と、減損損失の計上を見ていきましょう。

プライスミニスターの「のれん代」

2010年に楽天は、仏ECモール会社プライスミニスターを225億ドルで買収しました。

楽天 仏ECモール会社プライスミニスターを225億円で買収 世界展開を加速

プライスミニスターの純資産は69億円と推計されており、のれん代は156億円(225億円 – 69億円)になります。

Koboの「のれん代」

2011年に、カナダの電子書籍事業者のKoboを約315百万米ドル(約236億円)で買収しました。

楽天のリリースによると、Koboの純資産は14億円と出ているので、のれん代は212億円(236億円 – 14億円)ということになります。

減損損失の計上は単なる言い訳??

楽天 減損損失

なぜ減損損失の計上をしたのか、楽天の説明を見てみると、

プライスミニスター

連結子会社のPRICEMINISTER S.A.S (フランス)においては、仏EC市場の競争環境の影響を受けた結果、キャッシュフロー計画に遅れがあったことが要因です。しかしPRICEMINISTER S.A.Sは引き続き欧州ECの事業の中では重要な事業として位置づけされており、持続的な成長を目指してまいります。

減損損失の計上についてのお知らせ

Kobo

グローバルに電子書籍事業を運営する連結子会社のRakuten Kobo Inc. においては、世界の電子書籍市場の立ち上がりが当初の想定よりも遅れ、それに伴う事業計画の遅れが要因です。一方、当社の電子書籍事業は、図書館向けに電子書籍プラットフォームを提供するOverDriveHoldings, Inc.を2015 年に買収したことにより業績は急速に改善しております。その結果、Rakuten Kobo Inc.とOverDrive, Inc を含めた電子書籍事業のEBITDA は、平成28 年12 月期年間で黒字になる見込みです。今後、Rakuten Kobo Inc.は、既に北米の図書館・教育機関向けに高いカバレッジを持つOverDrive Holdings, Inc.とともに電子書籍市場におけるシェアの拡大を目指してまいります。

今後の楽天の海外事業は?

まあ厳しい状況は続きそうですね。

現時点では、利益の出ない部門はどんどん切り捨てていますが、高額な「のれん代」も払っていますからね。

国内で稼ぐ利益が、全部「のれん代」に消えてなくなりそう。

国内の楽天経済圏は上手く行ってるの?

国内の楽天市場、楽天カード、楽天トラベルは絶好調です。

楽天はこれらのサービスを楽天経済圏で繋いでいます。

楽天経済圏とはどんなものかというと、楽天のサイトに詳しく載ってるので引用しますね。

「楽天経済圏」とは、楽天グループが提供する様々なサービスにより形成される経済圏で、この中で貯めて使える『楽天スーパーポイント』というロイヤルティプログラムを通じ、楽天会員となる顧客の流入拡大および経済圏内でのサービス利用や回遊性を促進するビジネスモデルです。

例えば、楽天の会員が、ECモールの「楽天市場」で買い物をした場合、「楽天カード」で決済することで、その他のクレジットカードよりも多く楽天ポイントを貰えるといったビジネスモデルです。完全に情弱向けなんですよね。

Amazonやヨドバシは送料無料なので、楽天で購入するより安いので、ネットリテラシーの高い人はこういうのに引っかかりませんから。いくら楽天ポイントを多くもらっても、Amazonやヨドバシで購入した方がトータルで安いですからね。

今後、Amazonプライムには全く歯がたたない状況が続くことは間違いないので、国内の楽天経済圏の雲行きは怪しくなってくることでしょう。

今後の楽天に期待すること

今のような楽天ポイントでネットリテラシーの低い層を釣るような戦略ばかりだとがっかりします。

我々ユーザーにしてみれば、ECモールがAmazonだけという状況は、全然いい状況じゃないんですよね。だって、Amazon独占になったら絶対に値上げしますからね。

複数のECプラットフォームが乱立することで、プラットフォーム間の競争が働くので、ユーザーにとってはサービスや価格の面でメリットがでるのです。

数年後に楽天がECモールを閉鎖なんて事態にならないように、楽天はもう少し別の戦略を取るべきです。Amazonやヨドバシよりも魅力的なECモールを展開するとかね。

もっとユーザーに刺さるサービスを展開して欲しいですね。

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