2016年はVR元年になると予測されていましたが、実際にはAR元年になりそうな勢いです。
「ポケモンGO」のリリースが子供の夏休みと重なったことで、どこ行っても「ポケモンGO」をプレイしている人は多いし、「ポケモンGO」の登場がテクノロジーの世界に与えた影響は大きいですよね。
今日のエントリーは、「ポケモンGO」の登場で、今後のARはどうなるかについてお話します。
AR(拡張現実)の登場でゲームはどのように変わった?
ARゲームの元祖である「Ingress」や「ポケモンGO」の登場によって、現実の世界に様々な情報のレイヤーを重ねていくという世界が広がり始めました。
「ポケモンGO」のような現実世界に様々なレイアーを重ねていくゲームの特徴は、目の前に写っている現実の世界に、情報のレイヤーが重なることによってもう一つの世界が出現します。なので、ゲームの情報量が圧倒的に増えました。この情報量をどのようにユーザーが把握させるかという問題に、ナイアンティックなどのゲーム開発元は頭を使うことになります。
もう1つの世界のレイヤーを追加する手段として、誰もがGoogle GlassのようなARメガネの登場を期待していると思うんですよね。でも、Facebookのザッカーバーグ氏は、全く別の展開を予想しているようです。若干、ポジショントークが入ってますが、インタビューを見てみましょう。
MagicLeapやHoloLensではなく、SnapchatのセルフィーレンズやポケモンGOに注目だ。これから到来する異質なヘッドセットやメガネではなく、モバイルでARはメインストリームになるとザッカーバーグは考えている。
「誰もがポケモンGOを楽しんでいるように、私も楽しんでいます。これから弊社がVRに加え、ARに投資していくにあたり、ポケモンGOから得られる最大の学びは、スマホがメインストリームのコンシューマー・プラットフォームになるだろうということです。メガネや顔に何かしらをつけるのではなく、メインストリームのAR機能の多くはスマホに実装されるでしょう。
これはすでにいくつかの場面で見て取れます。ポケモンの出現する場所だったり、顔にフィルターをつけることだったり。これに関してはMasqueradeアプリの買収について先に触れたとおりです。これは他の人とのソーシャル体験を拡張する面白い方法です。そのようなプラットフォームを構築することやその周辺にもっと機能を足していくことには大きな可能性があると考えています。
VRとARの違い
ここでVRとARの違いをおさらいしておきましょう。
- 「VR = ヴァーチャル・リアリティ」
- 「AR = 拡張現実」
VRとは
現実を完全に作ってしまう世界で、仮想現実のことを指します。ヘッドセットとヘッドフォンを被るので、完全に視覚と聴覚が乗っ取られます。仮想の世界に浸ることができるのです。
Facebookが買収したオキュラスでは、「Oculus Rift」と「Gear VR」の2つのヘッドセットを発売しています。
Oculus Riftで楽しむにはかなりハイスペックなゲーミングPCが必要なのに対して、「Gear VR」はSamsung Galaxyのような安価なスマホで楽しむことができます。
多くのユーザーにリーチできるのは、「Gear VR」ということになりますね。
AR とは
現実の世界に様々な情報のレイヤーを重ねる拡張現実の世界を指します。
「AR = 拡張現実」というと誰でも分かるのですが、ARってAugmented Realityの略なので、オーギュメントリアリティと言われるとピンと来ない方もいるかもしれません。
スタジオジブリが発行している月刊誌「熱風」3月号では、ナイアンティックのジョン・ハンケ氏と川上量生氏のインタビューが、ARとVRの違いを明確に説明しています。
ハンケ たとえば、AR(拡張現実)とVR(ヴァーチャル・リアリティ)という新しい世界がありますが、コンピュータが人間の世界を何かに置き換えるというのではなくて、例えばARは、現実世界にむしろ人をつなげていくようなものになっています。逆にVRは現実世界と切り離すような方向になっているのかな、と考えています。ただ、それが人間にとっていいことなのかどうかというのは私もまだ答えを持っていません。
川上 つまりVRというのは現実の置き換えであって、ARというのは現実の拡張であるというような理解でよろしいですか。
ハンケ その通りです。実際、イングレスでは外を自分で歩き回って探索したりしますし、人と出会うこともあって、現実にイングレスをプレーしていて出会ったカップルもいますし、そこから生まれた赤ちゃんも、もうすでに世界に誕生しています。たとえば、VRでも、自分のアバター、自分の代理のキャラクターがコンピュータの世界で他の恋人などと出会うということは、もしかしたらあるかもしれません。でも、それで赤ちゃんができるわけではないですよね。つまり、人間としてすごく基礎的な部分、土台の部分で、ARとVRの考え方の違いがわかるんじゃないでしょうか。
ARメガネは?
とりあえず1〜2年はザッカーバーグ氏の言うようにスマホが代替することになるかもしれません。
が、歩きスマホで事故の激増によって、「Google Glass」「Hololens」「Magic Leap」のような拡張現実のウェアラブル・コンピュータが普及するだろうね。
Google Glass
Google Glass は、Google X Labが開発しています。一般販売は中止になってしまいましたね。Amazonでも売ってるけど、177800円って高すぎ。
Hololens
HoloLensも一般販売はありません。開発者に向けてアメリカとカナダで発売していますが、価格は3000ドルと高いです。
Magic Leap
開発者版もの発売もないので、体験することは今のところ難しそうです。
今後のARは?
わたくしは、人間のコミュニュケーションのツールとして、ARが活用されていくことになると予測します。だってVRの世界のアバターでのコミュニュケーションってなんか嘘くさいですよね?例えばアメーバピグとか。
VRの世界では、ヘッドセットの中に閉じこもるという方向に進みますから、どうしても仮想現実世界の中で生きていくことになります。現実の生活との両立は難しいですよね?
これに対して、AR(拡張現実)の世界は、現実世界と噛み合っていく形で進んでいくので、人間とのコミュニュケーションは活発になっていくはず。
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