ついに始まりました。
「お坊さん便」サービスを展開する「みんれび」が、Amazon経由での受付を開始します。35000円という全国一律定額料金で僧侶の手配が可能になります。
全国約400名の僧侶が登録しているので、近場にいる僧侶を手配することが可能。葬儀や法要のみ依頼するので、壇家になる必要もないです。しかも、ワンクリックで手配できるという手軽さ。
「みんれび」は自社サイトも持っているので、しばらくは両方でサービス展開するのでしょう。
インターネット通販大手・amazonで12月8日、ついに「お坊さん」までがそのラインアップに加わり、ワンクリックで注文、「お布施」はクレジットカードで決済できるようになった。「お坊さん便」は四十九日や一周忌といった法事(法要)の際に、読経を行なう僧侶の手配サービスだ。料金は、自宅など手配先への訪問のみなら3万5000円。全国どこでも手配が可能だという。
神奈川県在住・64歳の利用者男性は「地方出身者で菩提寺がない、お坊さんとの個人的な付き合いもない人には、利用価値はあると思いました」と語る。さらに、メリットを感じているのは遺族だけではないようだ。都内に住む30代の僧侶がいう。
「僧侶の仕事は確実に減ってきています。お寺は檀家さんのお布施で成り立っているのですが、派手な葬儀は姿を消し、急速に簡素化が進んでいる。地方では墓の面倒が見られないという理由で“墓じまい”をして寺を離れる檀家も増えてきました。特に私のように寺を持たない“マンション坊主”にとって、このサービスで仕事が入るのはありがたいことです」
「お坊さん便」がamazonに出品された日、利用者からの問い合わせが殺到したという。
仏教界は批判的というが・・
食い扶持を侵されるわけなので当然反発しますよね。
今まで「葬式」の世界って、競争に晒されていませんでしたよね。既得権益にあぐらをかいている部分もあったわけですから・・
主要宗派が加盟している全日本仏教会の広報担当者が言うには、
「私どもはずっと“お布施を明確に金額に表わしてはいけない”と主張し続けています。法要や葬儀で僧侶がお経を読む行為は営利目的ではない。これでは結婚式の司会者を手配するのと変わらない。私は一僧侶として疑問を感じます」
浄土真宗の僧侶でNPO法人永代供養推進協会代表理事の小原崇裕氏は、
「僧侶は『物』ではありません。利用者は手配される僧侶の質のチェックも十分にできないだろうし、法要が形骸化しないか危惧しています」
「お坊さん便」は広まるのか?
確実に消費者のニーズに合致していますね。
特に都会から広がっていくことは明白です。地方から東京に出てきた人の多くは、菩薩寺とかないし、その子供の世代になったら、お寺との付き合いなんて更にないからね。
また、お坊さんに対して不信感ってあると思うんです。これって一部のお坊さんが、宗教法人ってことで税金も払わず、メルセデスに乗ってたりするブーメランなのですが・・
葬式仏教って揶揄した言葉もありますからね。
葬式仏教はいつから広まったのか?
江戸時代に始まった檀家制度からと言われています。檀家制度によって、民衆はどこかの寺院を菩薩寺として檀家となることを義務付けられたのです。
檀家制度以前の葬式は村社会が行っていましたが、檀家制度以降、僧侶が葬式をおこなうことになります。
葬祭供養の一切をその寺に任せるので、自分の檀家の葬儀や法事を行えば定期収入が入ってくることになり、僧職で生計を立てるようになったといわれています。
また明治維新以降、公然と妻帯が行われる様になり世襲制度も一般化しました。
「お坊さん便」の明瞭な料金体系
Amazonのサービスになることで、価格が明瞭となり、ぼったくられてる感もなくなります。
金銭的な部分での満足感はとても高くなることは間違いない。こういう社会が住み心地の良い社会なのかどうかは別として。
- 法事・法要への手配は一律35,000円
- お葬式への手配は55,000円~
- 戒名の授与は20,000円~
今までは、お布施に「一体いくら払えばいいのかわからない」という方は多かったはずです。お布施の額、お車代やお膳料など、相場はよく分かりませんから。
お坊さんのコンビニ化
AmazonやGoogleなどのIT企業は、サービスをすべて数値化して自動化していくのが得意です。サービスが数値化されるので、金額もサービス毎に決まってきます。
今後、お坊さんもコンビニ化していくでしょうね。プラットフォームが品質の管理をする。お坊さんの質も均一化していくはず。
均一化というと、コンビニのお弁当、おでん、パンなどは、どこのコンビニでも同じ味が担保されてるし、クオリティーもめちゃくちゃ高いですよね?
海外から帰ってくると、毎回コンビニの美味しさにびっくりします。これは、コンビニというプラットフォームが、徹底的に品質管理をしているからできるわけです。
今まで競争にさらされていなかった、お坊さんの世界でそれができるのか?できないとなると、サービスの質は落ちていくのは明白ですからね。
利益はどうなる?
Amazonがプラットフォームになることで、
今まで「お坊さん」が独り占めしていた利益を、「お坊さん」「みんれび」「Amazon」「消費者」で分け合うことになります。
「お坊さん」にとって冬の時代がくることは間違いない。
そのうち「Amazon」が「みんれび」をM&Aして、「お坊さん」への利益配分がどんどん小さくなっていくのは目に見えてます。
利益配分が、プラットフォームのさじ加減ひとつというのが恐ろしい。
これって電子書籍の構造に似てますよね?紙の書籍の時代は「出版社」「取次」「印刷所」「物流」で利益を分配していたものを、「Amazonなどのプラットフォーム」「出版社」「消費者」で利益を分け合うようになりました。
価格が不明瞭なサービスは淘汰されていく
今後、価格が不明瞭なサービスを展開する会社は淘汰されていきます。
特に独自商品や独自サービスを持っていないところは、Amazonのようなプラットフォームの傘下に入らないと、太刀打ち行かなくなります。
- 葬儀社のサービス
- 結婚式
- 住宅のリフォーム
Amazonというプラットフォームに入らないと、やっていけないという冬の時代が来ます。
独自商品を持つことに加えて、自らプラットフォームになる戦略を立てていかないと生き残れない時代がやってきます。
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