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LINEがスマートポータルに参入!Amazonに対抗するなら、ガラパゴスな戦いを仕掛けるべし!

音声認識

LINEがスマートポータルに参入します。

LINEは3月2日、クラウドAIプラットフォーム「Clova(クローバ)」を発表した。韓国NAVERとの共同開発プロジェクトとして研究開発を進めているという。

Clovaを搭載した製品として、アプリ「Clova App」と、初の同社デバイスとなるスマートスピーカ「WAVE(ウェーブ)」を、初夏に日本と韓国で発売する予定。話かけると音声で会話をしたり、ニュースや天気、コマースなどのサービスを利用できるほか、音声で家の電気のオンオフなどができるホームコントールなども可能にする予定。アジア地域を始め、LINEが事業を展開する各国に順次提供していくという。2017年冬には、スマートディスプレイ「FACE(フェース)」も提供する予定。

LINEでは、Clovaの発表に併せて、ソニーモバイルコミュニケーションズやタカラトミー、バーチャルホームロボット「Gatebox」を展開するウィンクルなどの企業との提供を発表した。また、ウィンクルは連結子会社化することも明らかにした。

LINE、AIプラットフォーム「Clova」を発表–スマートスピーカを夏に発売へ

スマートポータルは「Amazon Alexa」が勝利する理由

ユーザーがリビングに設置する「Amazon Echo」や「Google Home」が、スマートポータルになるという戦略が正しければ、「Amazon Alexa」に勝ち目はありそうです。

ユーザーがどのようにスマートポータルを使うのかというと、「音声リモコン機能」と「ジュークボックス機能」を利用することになります。

なぜ、現時点で「Amazon Echo」が圧倒的に強いのかというと、「音声リモコン機能」を使ってユーザーが膨大なAmazonの商品ラインナップへ音声で注文ができるからです。なんとAmazonは700社と提携しているようです。

また、ユーザーが「Amazon Echo」を「ジュークボックス機能」として使う場合に備えて、AmazonはAmazonプライムで音楽や映画を揃えています。

Amazonは、「音声リモコン機能」と「ジュークボックス機能」を抑えているので、今の時点では負ける要素がないのです。

IoTにAIは重要ではない理由

尾原 和啓氏のブログによると、IoTで圧倒的なシェアを取るためにAIは重要ではないとのこと。

IoTで重要なのは、「音声リモコン機能」と「ジュークボックス機能」です。
このレベルに必要なAIって、かんたんな音声認識で大丈夫とのこと。

少し長いですが、前述の尾原 和啓氏のブログを引用します。

で、音声認識自体は非常に枯れた技術で、APIを拾ってくれば、今や誰にでも作れるような技術なんです。(もちろん、日本語はとても難しい言語なのでで自然に話している会話をしっかり認識して対話しようとするととてつもなく大変で そこには勝機があるのですが)、(しかもありがたいことにGlobal企業からすると日本語だけのためにエンジニア労力をさくことは費用対効果から考えて先送りになるから逆にガラパゴス的勝利があったりしますが)

ただ、みなさんがリモコンに向かって何か話す時は、リモコン用にカタコトで話しますよね。「りんご」なら「り・ん・ご」と、外国人にも伝わるようなハッキリしたイントネーションを自然と心がけるでしょう。

つまり、AIが学習するんじゃなくて、人間がAIにむけて適用するので、機能自体の優位性は問われないのです。
だとしたら、何がAIによる差別化になりうるのか?
それは、利用者の好みに合わせた「パーソナライズ」だったり、それを先回りしていわずともやってくれる「おもてなし」です。

それを実現するのって、AIの機能じゃなくて、利用者の好みをどれだけ早く学習するか? つまり「学習データを先に掴んだやつが勝ち」なんですよね。つまりデータが石油となる今後の時代(by Y!川邊さん)では、この学習データをどう先に掴むかが重要になるわけです。よって、現段階では多様なリモコン先を確保したAmazonが圧倒的に有利となるわけです。

LINEはスマートポータルで勝てるのか?

スマートポータルにおいて、LINEがAmazonに正面から戦いを挑んでも絶対に勝てないと思います。

LINEがスマートポータルでAmazonに勝つには、ガラパゴスな戦いを仕掛ける必要があります。LINEは日本のプラットフォームとして、ガラパゴスな戦いをすることで、Amazonと競合しない分野で勝てる見込みが出てくるのです。

だって日本のインターネットを取り巻く環境って、ものすごくガラパゴスだと思いませんか?

例えば、

  • メッセンジャーアプリだと、日本ではLINEが6800万人のユーザーを確保していて、ぶっちぎりのシェアです。でも、海外だったらWhatsUpやMessengerでしょ?
  • オークションサイトもヤフオクが日本ではダントツのシェアを持っています。海外だとeBayが圧倒的なシェアですからね。eBayも日本ではヤフオクに勝つことができず、撤退したという過去の経緯があります。ヤフオクは最近メルカリに押され気味ですけど・・

ニコニコ動画の戦略を参考にすべし

ニコニコ動画の戦略が参考になると思います。

ニコニコ動画がYouTubeと戦うときに取った戦略は、動画にかぶせてコメントをつけるというものです。日本人は映画の字幕に慣れているというところにヒントがあったようです。

川上量生氏の「鈴木さんにも分かるネットの未来」から引用します。

ニコニコ動画はYouTubeと同じ動画投稿サイトに分類されますが、YouTubeとの最大の違いは動画上にかぶせて表示するコメント機能があることです。そして、このコメント機能こそが、クリエイターを引き寄せて、ニコニコ動画を日本のネット上での創作活動の中心にさせた原動力であると指摘する人は少なくありません。

ニコニコ動画もガラパゴスな戦いを仕掛けることで一定の成功を収めました。

YouTubeに対するニコニコ動画のポジションを参考にして、Amazonに対してLINEがガラパゴスな戦いをすることができれば、日本でのスマートポータルのシェアはLINEが取れることになります。

川上量生氏(以下、川上) 勝たないと意味がないので、そういう意味では僕らは常に弱い相手と戦うのが好きなんですよ。自分のサイトの半分以下ぐらいの、弱いサイトと戦うのってね、世の中に知られてやるというのは格好悪いじゃないですか。
だからね、こっそり戦うんですよ。こっそり潰すという。これが僕の趣味で、モチベーションになって今までサイトが大きくなってきたのですね。ニコ動もそうですよね、ニコ動も実は仮想敵にしていたのはYouTubeではなくて、日本国内にすごい小さなサイトがあったんですけれども、僕はそればっかり見ていたんですよ。

川上 強い相手と戦うと長引くじゃないですか。ゲームってやっぱりすぐ終わりたいじゃないですか(笑)。そうすると、延々と続くゲームはやりたくないですよね。だってYouTubeを潰そうなんて言ったらね、本当。
加藤 人生賭けないと。
川上 人生賭けて多分ね、勝てないんですよ(笑)。
加藤 (笑)。
川上 そんなゲームしたくないですよね。
加藤 なるほど。それはまさにこの本とすごい繋がってきたんですけど、最初に、ボードゲームで勝つ方法はルールブックを読み込んで、良い抜け道を探すことだっていう話がありましたけど、まさにそれをやってらっしゃるわけですね。
川上 そうですね。だから勝てる戦いを設定するんですよね、超楽な勝負に挑んで。そういう意味では意識は高くないですよね。絶対に勝てる相手。

常に自分より弱い敵を求めて…  川上量生氏が語った、「僕が強敵に挑まない理由」