製造業のビジネスモデルに、変革の波が押し寄せています。
製造業で作るハードウェアが、ソフトウェアアップデートで更新できるという時代になりつつあります。
代表的なのは自動車。今まで自動車というハードウェアを購入した場合、3年後にマイナーチェンジがあって新機能がついたとしても、後付はできませんでしたよね? 嫌な思いをしたことがある人は多いと思います。
これってガラパゴスなんですよね。ハードウェアとソフトウェアが一体なので、購入後の変更が不可能なのです。携帯電話に例えるならまさにガラケー。
グローバルスタンダードはソフトウェア アップデート
今後、自動車などのハードウェアも、ソフトウェア アップデートで、どんどん新機能が追加できるようになります。テスラとかそうでしょ?
ソフトウェア アップデートの対応ができない製造業は、衰退していくはず。
技術革新は既存の事業構造を大きく変える―。ヤマザキマザックは社員がそう実感し、革新と危機意識を促す目的で、米テスラ・モーターズの電気自動車(EV)の試乗体験を行っている。すでに国内全社員のうち半数が試乗しており、9月にも全員が乗り終える。
これまで「モデルS」はインターネット使ったソフトウエアのアップデートがあり、15年7月にナビゲーション機能が、16年1月には自動運転機能がそれぞれ追加された。これには「通信によるアップデートを工作機械にも採用したい。今後、ソフトが重要になる」といった社員の声が聞かれた。
テスラのソフトウェア アップデート
新しい機能が追加されると、ソフトウェアアップデートで機能が追加されます。これって、常時接続しているから可能なんですよね。
テスラで今までにどんなアップデートがあったのか見てみましょう。
オートパイロット
オートパイロットとは、名前のとおり自動運転機能です。日本の道路事情でも、高速道路なら、ほぼ完全に自動運転できます。米国では2015年10月から、日本でも2016年1月から、自動運転機能のオートパイロットがスタートしました。
2500ドル支払えばアップデートして機能が追加されます。
元々「Mosel S」は、自動運転を想定しています。ウルトラソニックセンサーが12個、フロントガラス上に配置された3つのカメラ、前方の車両との車間距離を計測するレーダーといったハードウェアを搭載していましたからね。
リモート駐車機能
この機能も米国のモデルには先行していて2016年1月から提供しています。ようやく日本でもアップデートで機能が搭載されます。リモート駐車機能は無料でアップデート可能です。
この機能は米国でモデルSに2016年1月より提供を開始しているもので、日本でも2016年4月15日に国土交通省の承認を得て、本日より提供します。すでに納車済みの自動運転対応のモデルSには、無料で順次ソフトウエアアップデートにより、また今後納車の車両についてはインストールした状態で納車し、いずれも本日より利用可能です。
「サモン」は、狭い駐車スペースやガレージに駐車する際に便利な機能で、スマートフォンを使って車外よりモデルSに駐車を指示します。駐車するときは、駐車スペースからおおよそ12メートル以内にモデルSを一度停め、モデルSのシフトがパーキングに入っている状態で車外に出て、モバイルアプリを起動して操作し、まっすぐ前進または後進させます。前進駐車のみならず、日本の駐車シーンで一般的な後進駐車にも対応します。
テスラと日本の自動車の違い
テスラがIT企業だなと思うのは、ハードウェアは1種類のみで、機能をソフトウェアで対応しているということ。車種は1種類でも、ソフトウェアで管理しているグレードが様々あるわけです。
ソフトウェア アップデートをすることによって、オートパイロット、リモート駐車機能が後付で使えるということは、あらかじめセンサー類やカメラがハードウェアである自動車に既に実装されているんですよね。で、それらを使って、新しい機能をどんどんソフトウェア・アップデートで追加していくという手法です。
これに対して、日本の自動車メーカーは全く違うアプローチです。
自動車の種類もたくさんあるし、車種ごとにグレードもあって、使える機能と使えない機能があったりします。例えば、自動ブレーキにしても、最初にオプションで付けなければ、後から追加することはできません。ネットに常時接続してるわけではないので、ソフトウェア アップデートができる車種もありません。
ガソリン車にかぎらず、ハイブリッドも電気自動車も、日本車は今のところ同じアプローチです。
スマホとガラケーの違いと一緒
今の話って、テスラがスマホ、日本車がガラケーに置き換えられますよね?
テスラは常時接続してるから、スマホでアプリをインストールするように新しい機能を追加できます。
これに対して日本はガラケー。赤外線とかワンセグとか、最初に付いてる機能しか使えません。アプリのインストールもできないからね。
テスラ・モーターズは6月9日(米国時間)、「Model S」の低価格モデルを発売した。「Model S 60」と、その4WD版である「Model S 60D」だ。
この低価格モデルを投入するにあたって、テスラはバッテリーパックの再開発も、組立ラインの刷新も、サプライチェーンの再構成も行う必要はなかった。数行のコードを書くだけですべてが済んだ。
というのも、Model S 60には、「Model S 75」に積まれているのと同じ75キロワット時のバッテリーがすでに搭載されていたからだ。エンジニアがソフトウェアを調整して、その容量を20パーセント制限するだけでよかったのである。
様々なビジネスに展開される ソフトウェア アップデート
今後、製造業は大きく変わります。冒頭で話したヤマザキテックもそうだし、自動車メーカーもテスラ型の「ソフトウェアアップデート」ができなければ、顧客は逃げていくだろうね。
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