本日10月1日より、ヤマト運輸の宅急便の定価は、60サイズで756円から907円に値上げされました。
また、個人だけでなく、契約運賃を結ぶ法人顧客の送料も値上げとなります。ちなみに、わたくしの会社もヤマト運輸と契約しているんだけど、10/1より値上げになりましたからね・・・
アマゾンはヤマトの最大の取引先で、ヤマトが年間に取り扱う荷物のうち1~2割を占める。ヤマトのアマゾン向けの運賃は全体平均の半分の280円前後とされる。両社は値上げすることで大筋合意し、400円台以上とする方向で最終調整している。値上げ幅は少なくとも4割超になる。
宅急便の送料に関しては、今までが安すぎたんだよね。なので、日本郵便も佐川急便も今後値上げをしていくことになっています。
こんな背景があるにも関わらず、ゾゾタウンがやってくれました。送料はユーザーが自由に決めていいんだってさ。
【送料自由】本日よりZOZOTOWNの送料は、お客様のお気持ちやご都合で自由に決めていただけるようになりました。0円でも500円でもお客様の自由です。自由に価格を決めていただくことで、運ぶ人と受け取る人との間に、気持ちの交換が生まれれば素敵だなと思います。よろしくお願いします。
— Yusaku Maezawa 前澤友作 (@yousuck2020) 2017年10月1日
ゾゾタウン流石だよね。世の中が宅急便の送料の値上げを受け入れている中、ゾゾタウンは実質送料無料という逆張りの戦略です。あくまで、試験的な実施なので、いつ終了するかは分からないけどね。
ヤマト運輸の送料値上げによって、他のEC事業者では送料の値上げが予想されるので、さらにゾゾタウンは売れるんだろうね。
ということで、今日のエントリーは、今後のECの送料はどうなるのかについてです。
送料自由って言うけど、誰が負担するの?
送料をユーザーが自由に決められるというのは、ゾゾタウンがプラットフォームとして、十分な利益を出しているからできる技です。自転車操業の弱小通販が、同じことをやったら倒産しますから・・
今回のゾゾタウンによる、ユーザーが送料を決められるシステムは、どんな仕組みになってるんだろうね?だって送料を誰かが負担する必要がありますからね。
楽天の場合、小売店が直接ユーザーに発送しますよね?それに対して、ゾゾタウンは自社の物流倉庫からユーザーに発送します。物流機能はゾゾタウンが管理しているんだよね。
ということは、ユーザーが送料を負担しなかったとしても、ゾゾタウンが運送会社へ送料を支払わなければなりません。
以下のような予想ができます。
- ゾゾタウンが送料を全額負担
- ゾゾタウンとアパレルで折半
- アパレルが全額負担
誰が送料を負担するかについては、ゾゾタウンのようなプラットフォーマーと、アパレルとの力関係で変わってくるんだろうね。
全てのユーザーが送料0円で購入すると、ゾゾタウンが負担する送料はいくら?
2016年度のゾゾタウンの決算資料を見ていきましょう。
- ゾゾタウンの経常利益・・・264,4億円
- ゾゾタウンの平均出荷単価・・・8,680円
- ゾゾタウンの出荷件数・・・18,208,991件
ユーザーへ配送する送料を1個400円と設定します。すると、ゾゾタウンが負担する送料は約72.8億円。
送料を全てゾゾタウンで負担すると仮定すると、ゾゾタウンの経常利益が264.4億円なので、利益の27.5%が送料で吹き飛ぶ計算になります。実際のところは、全部ゾゾタウンが負担するのかどうかは分からないけどね。
送料の金額によって配送方法を使い分ける
ゾゾタウンは、なるべく送料は圧縮したいはずなので、以下の様なことも想定されます。
ユーザーが支払う送料の金額に応じて、ゾゾタウンが運送会社を使い分けるということです。
例えば、
- 400円支払うユーザー・・・ヤマト運輸
- 200〜400円支払うユーザー・・・デリバリプロバイダのような1ランク下の運送会社
- 0円〜200円支払うユーザー・・・ポスパケットなど
上記以外の配送方法も考えられます。ゾゾタウンはECのプラットフォームでもあるので、らくらくメルカリ便・ゆうゆうメルカリ便のような、割安運賃を運送会社と契約することは可能ですからね。
今後、ECの配送方法は変わっていく
10月1日よりヤマト運輸が送料を値上げしただけならば、ECの事業者は、値上げ分の送料を、消費者に転嫁することができたはず。
でもね、ゾゾタウンがユーザーが送料を自由に決められるサービスを開始したので、ユーザーに送料を転嫁するのは難しくなってきたんじゃない?
ECの場合、他で真似出来ない商材を取り扱っている場合は、消費者に送料の値上げ分を負担してもらうことは可能です。それに対して、家電等のどこでも購入できる商材の場合、送料を値上げすることは難しいのではないでしょうか。
今後、以下のように、配送方法は変わっていくはずです。
- 全国一律の送料はなくなる
- 宅急便についてる補償が必要な場合、送料はユーザーが負担する
- 普通郵便のような伝票番号がない配送方法も増える
さいごに
以上が、ゾゾタウンによる送料自由なサービスが展開された場合、ECの送料がどうなるかについてでした。
資金力のある大手プラットフォームが実質送料無料を始めることで、ECの料金や配送方法が変わっていくことが予想されます。
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