「みんれび」が展開する「お坊さん便」に、全日本仏教会が強い批判をしています。「みんれび」ではなくAmazonへ批判しているのが面白い。
全日本仏教会、Amazonに「お坊さん便」販売中止を要請 定額のお布施は「本来の宗教性を損なう」
全日本仏教会は3月4日、みんれびがAmazon.co.jpを通して提供する「お坊さん便 僧侶手配サービス」の販売中止を要請する文書をアマゾンジャパンと米Amazon本社に提出したと発表した。「お布施は宗教行為に対する対価ではない」と、定額販売によって本来の宗教性を損なうと強く批判している。
実は昨年12月のサービス開始直後にも、全日本仏教会は「お坊さん便」に苦言を呈しています。
相当焦っているのが見えますね。こういうサービスを受けたい人って、多くは都心に住んでいる人なわけです。地方から都会に出てきたけど、法要をどこのお寺に頼んでいいのかよく分からない層です。地方では、先祖代々のお寺があるから、こういうサービスにそもそも興味がない。
全日本仏教会が何度も非難しているということは、相当な危機感を持っていることは間違いないですね。今まで散々、不透明なサービスにあぐらをかいてきたのによく言うわって感じです。
謎なのは、2013年5月1日に「みんれびのお坊さん便」が始まっているのに、今更って感じしませんか?やはりAmazonで購入できるのは、全日本仏教会にとって脅威なのでしょう。
お坊さん便のニーズはあるの?
「みんれび」に問い合わせが殺到しているという状況を考えると、普段お寺との付き合いがない、煩わしいという層が増えてきているということですね。
定額・明朗会計というのも、下記の不満や不安を解消できるので、確実にニーズはあります。
法要や戒名はお寺の言い値
そもそも戒名や法要は、値段なんてあってないようなものですから、完全にお寺の言い値で決まる世界です。こういうのに拒否反応を示す人は多いと思います。
- お布施にいくら払えばいいのか分からない
- 言い値なので、ぼったくられているように感じる
- 坊主丸もうけというように車がベンツだったりして、お坊さんに対する不信感
お坊さん便のデメリット
もちろんデメリットもあります。
派遣のお坊さんが来るということなので、お経を上げてもらっても、ありがたくないのがデメリットです。
先祖代々のお墓を守っていくのなら、日頃から付き合いのあるお寺に頼むべきです。間違いなくありがたいですから。
顧客満足度は?
顧客満足度が高いサービスなのかも不明。
だって、お坊さんって競争にさらされたことのない人たちでしょ?更に派遣されてきたお坊さんは、1回こっきりですからね。
全日本仏教会の批判は微妙・・・
全日本仏教会の戦略は完全に間違っています。みんれびやAmazonを批判してどうするの?
↓批判はこんな感じ。
提出した文書では「僧侶の宗教行為を定額の商品として販売することに大いなる疑問を感じる」とし、「およそ世界の宗教事情に鑑みても、宗教行為を商品として販売することを許している国はないのではないでしょうか」と強く批判。
これで消費者の理解を得られるとでも思っているのでしょうか?もう少し戦略を練って批判しないと、消費者はどんどん離れていきます。
消費者に対して、「お坊さん便はありがたくないですよ」「ご先祖様が泣いていますよ」と訴えるべきなのにね。
「お坊さん便」 vs 全日本仏教会
時系列を追って見てみましょう。
2013年5月1日 みんれびニュース
「みんれび」のお坊さん便始まります。
【新サービス】「お坊さん便」をリリースしました。
株式会社みんれびは、新たなサービスとして、葬儀・法要の際に定額のお布施で僧侶の手配ができる「お坊さん便」をリリースしました。
【リリース背景・サービス概要】
宗教感の希薄化、檀家離れが進み、首都圏を中心に寺院、僧侶との良好な関係が築きづらくなってきました。特に、普段から寺院と付き合いのないお客様は、葬儀の際にやりとりする際のお布施等の慣習への認識のずれが、トラブルに発展しやすい現状がありす。そこで、新しい時代に合わせ、定額のお布施で僧侶手配ができるサービスを提供しています。
2015年8月6日 みんれびニュース
「2.85億円の資金調達」を実施し、資金面でも力をつけてきました。
【みんれび】グローバルブレイン、三井住友海上キャピタル、SMBCベンチャーキャピタルを引受先とする総額2.85億円の第三者割当増資を実施いたしました。
2015年12月8日 みんれびニュース
Amazonで「お坊さん便」を発売します。
インターネットで購入できる定額のお葬式「シンプルなお葬式」を運営する株式会社みんれび(本社:東京都新宿区、代表取締役:芦沢雅治、以下「みんれび」)はこの度、総合オンラインストアAmazon.co.jp(以下、Amazon)が運営するAmazonマーケットプレイスに出品し、法事・法要の際に全国一律定額・追加料金なしで僧侶を手配するサービス「お坊さん便」を2015年12月8日(火)より販売開始いたします。
2015年12月18日 NEWSポストセブン
仏教界からの批判が出てきます。同時に、僧侶からの登録希望が殺到している模様。
「僧侶の仕事は確実に減ってきています。お寺は檀家さんのお布施で成り立っているのですが、派手な葬儀は姿を消し、急速に簡素化が進んでいる。地方では墓の面倒が見られないという理由で“墓じまい”をして寺を離れる檀家も増えてきました。特に私のように寺を持たない“マンション坊主”にとって、このサービスで仕事が入るのはありがたいことです」
「お坊さん便」がamazonに出品された日、利用者からの問い合わせが殺到したという。
「それ以上に多かったのが僧侶からの“登録したい”という電話。これは予想外でした」(「お坊さん便」を運営する「みんれび」取締役副社長の秋田将志氏)
しかし、仏教界からは、「宗教をビジネス化している」という批判的な意見もあがっている。主要宗派が加盟している全日本仏教会の広報担当者が言う。
「私どもはずっと“お布施を明確に金額に表わしてはいけない”と主張し続けています。法要や葬儀で僧侶がお経を読む行為は営利目的ではない。これでは結婚式の司会者を手配するのと変わらない。私は一僧侶として疑問を感じます」
浄土真宗の僧侶でNPO法人永代供養推進協会代表理事の小原崇裕氏もこう話す。
「僧侶は『物』ではありません。利用者は手配される僧侶の質のチェックも十分にできないだろうし、法要が形骸化しないか危惧しています」
2015年12月24日 ITmediaニュース
再び全日本仏教会からの批判。
全日本仏教会がAmazon「お坊さん便」に苦言 「お布施はサービスの対価ではない」と“商品化”批判
全日本仏教会は12月24日、みんれびがAmazon.co.jpを通して提供する「お坊さん便 僧侶手配サービス」に反対する声明を発表した。お布施を修行の1つと強調した上で、「宗教行為をサービスとして商品にしている」と批判している。
2016年2月22日 みんれびニュース
みんれびからのアピール。
本サービスはリリース直後より大きな反響を集め、年始1週目までの期間で、TV、雑誌、新聞、Webニュースなど全560件に及ぶメディアでご紹介いただきました。
また、このニュースは世界的な通信網を持つAP通信社によって海外にも配信され、確認出来ただけでも、アジア、北米、南米、欧州等、10の国と地域で取り上げられるなどし、宗教界のみに留まらず話題は更に大きな広がりを見せています。
2016年3月4日 ITmediaニュース
こういう批判は消費者の心に刺さらないのにね。
全日本仏教会は3月4日、みんれびがAmazon.co.jpを通して提供する「お坊さん便 僧侶手配サービス」の販売中止を要請する文書をアマゾンジャパンと米Amazon本社に提出したと発表した。「お布施は宗教行為に対する対価ではない」と、定額販売によって本来の宗教性を損なうと強く批判している。
今後のお坊さん便は?
サービスを受ける消費者だけでなく、お坊さんからのニーズもあるので、サービスは広がっていくでしょう。
お坊さん便の申込方法を見てみます。2通りの方法があります。
「みんれび」に直接電話して申し込む
電話で確認したところ、1週間前までに予約の電話をすれば対応可能だそうです。
Amazon お坊さん便でポチる
Amazonで購入後、みんれびから電話がかかってきます。Amazon経由の場合は、3~5週間程度の余裕を持って欲しいとのことです。
みんれびからの確認事項は3点あって、
- 宗派
- 日時
- 場所(自宅・墓前等どこでも対応可能)
お坊さん便のニーズは確実にありますが、果たして顧客満足度が高いのかどうか、サービスが始まったばかりなのでまだ分からないですね。
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