Googleマイビジネス エキスパートの @Tak_Nag_Lug さんから、ナレッジパネルで登録できるURLは1つなので、インバウンド向けの多言語サイトのベストプラクティスについて質問を受けました。
例えば清水寺のような観光施設の場合、ウェブサイトは多言語に対応しており日本語と英語で閲覧できます。でも、ナレッジパネルのURLは1つしか登録できないので、様々な言語のユーザーがアクセスしても1つのURLしか返せません (清水寺の場合は日本語) 。
世界的な観光地の場合、ナレッジパネルのウェブサイトのURLが1つに固定されていると訪問するユーザーの利便性は下がります。
ということで、このあたりに詳しいウェブマスター エキスパートの @tan_no_kan さんに質問しました。
複数言語でナレッジパネルからの流入が多いサイトでは、おそらくこれが2019年6月28日時点のベストプラクティスという答えをもらったので、今後のためにまとめておきます。
ただし、Googleマイビジネスの仕様が変わればこの限りではありませんし、個々のサイトによってベストな方法は異なりますので、その点はご了承ください。
現在のGoogleマイビジネスの仕様は、URLに登録は1つだけ
Googleマイビジネスに登録できるサイトのURLは1つだけなので、日本の多くの観光施設ではナレッジパネルのURLを日本語で登録しているケースが大半です。
日本人にとっては何も問題ありませんが、訪日外国人にとっては不便ですよね?清水寺のサイトは英語バージョンもあるので、ナレッジパネルから英語版のURLに直接アクセスできた方が便利です。
また、自分が施設のオーナーだった場合、せっかく英語バージョンのページを作っているのであれば、ナレッジパネルからサイトに訪問してくれるユーザーに対して、英語圏のユーザーには英語のページを見てもらいたいと思うはずです。
インバウンド向けの多言語サイトでナレッジパネルからの流入が多いと、悩んでしまうケースも多いと思います。
Googleマイビジネスで、1つの施設に対して復数の多言語URLが登録できて、ユーザーの地域や言語環境に応じて「Website」ボタンのURLを動的に変えてくれればいいのですが、現状そのような仕様になっておりません。
URLをサイト側で振り分けるしかない
複数言語でナレッジパネルからの流入が多いサイトで、それぞれの言語ページをユーザーに表示させたい場合、URLをサイト側で振り分けるしかありません。
↓結論はこうです。
この時、ステートレスな Googlebot が勝手に振り分けられないようにした方が良いのと、ユーザーと Googlebot を区別するのは良くないので、初回はリダイレクトよりも使用言語を選択してもらう(で以降は Cookie に基づいて適切な言語バージョンにリダイレクト)挙動が良いかもです
— たんのかん (@tan_no_kan) 2019年6月27日
そういうイメージです!
厳密には、ブラウザの言語とページ側の言語(ナレッジパネルに表示された URL に割り当てられた言語) と一致しない場合、ですかね?
日本のサイトなら大体日本語バージョンの URL が採択されるんだとは思いますが— たんのかん (@tan_no_kan) 2019年6月27日
@tan_no_kan さんありがとうございました。
英語圏のユーザーに表示される清水寺のナレッジパネル
英語圏のユーザーに対して清水寺のナレッジパネルはどのように表示されるのでしょうか?旅行前に本国で検索すると仮定して、デスクトップの検索結果を見てみます。
清水寺と検索した際「アメリカの検索結果」に表示されるナレッジパネルはこんな感じです。
「Website」のリンクをクリックすると、日本語版のページが表示されます。
英語版の清水寺のページが表示された方が、アメリカ人にとって利便性が高いことは言うまでもありません。
ちなみに日本に旅行中の英語圏のユーザーがスマホで「kiyomizudera」と検索すると、一番上にナレッジパネルが表示されます。「WEBSITE」をタップしても日本語版のページが表示されます。
先ほど紹介した方法でURLをサイト側で振り分ければ、「WEBSITE」をクリックした際に英語のページを表示されることが可能です。
ただしメリットばかりではありません。デメリットもあるのでお伝えします。
動的にURLを振り分けるデメリット
当然ながら動的にURLを振り分けるデメリットもあります。
すべてのページをクロールできないことがあるのでGoogleは推奨していない
検索エンジンからの流入を考慮に入れるのであれば、動的にURLを振り分けることはオススメできません。適切にクロールできないことがあるので、検索パフォーマンスに影響が出る可能性があります。Cookie、IP、リクエストヘッダーのAccept-languageで動的にURLを振り分けることをGoogleは推奨しておりません。ヘルプページに記載があります。
ユーザーの言語を認識して自動的にリダイレクトすることは避けてください。このようなリダイレクトを行うと、ユーザー(と検索エンジン)がサイトのすべての言語バージョンを見られなくなる場合があります。
IP アドレス分析に合わせてコンテンツを変更しないでください。 IP アドレスの位置分析は困難であり、一般に信頼できるものではありません。また、Google がサイトのさまざまなバージョンを適切にクロールできないことがあります。
サイトに「地域対応」ページが含まれている場合(つまり、検出された国やユーザーの使用言語に基づいて異なるコンテンツを返す場合)、それぞれの言語や地域に向けたすべてのコンテンツがクロール、インデックス登録、またはランク付けされるとは限りません。これは、Googlebot クローラの既定の IP アドレスが米国からと判定されることが原因です。
重要: Google では、地域ごとに別々の URL 設定を使用し、rel=alternate hreflang アノテーションで注釈を付けることを推奨します。
でも今回のようなケースだと、ユーザーにとっては動的配信の方が利便性が高いので、悩むところではあります。
設定ミスに気が付かない
動的にURLを振り分ける場合、複雑な処理を行えば行うほど、設定ミスに気が付きにくくなります。
ユーザーに英語ページを配信しているはずが、スペイン語だったということもありますので気をつけてください。
Googleマイビジネスの仕様が多言語のURLを登録できるように変われば問題は解決
Googleマイビジネスで多言語のURLを登録でき、ユーザーの環境に応じたURLを動的に配信できれば、すべての問題は解決します。
サイト側で動的配信を実装する必要もなくなり、Googlebotのクロールの問題も回避できます。
この問題で困っている方がいたら、上記についてGoogleマイビジネスでフィードバックを送信してください。
Googleはユーザーからのフィードバックを重視しているので、要望の声があれば「多言語のURLを登録できる仕様」が実装される可能性は高くなります。
- Googleマイビジネス管理画面→サポート→フィードバックを送信
これはw
(何故気づかなかったのか)— Tak Nag Lug (@Tak_Nag_Lug) 2019年6月27日
その他の注意点
Googleマップのエキスパートの @JUNKOBAYASHIHoS さんから国際化ドメイン名 (日本語ドメインなど) についての注意点も教えてもらいました。
ちなみに、国際化ドメイン名(日本であれば日本語ドメイン)は、登録できるもののiOS版Mapアプリでウェブサイト(アイコン)として出てこなくなる不具合があるので、マイビジネス地点のサイトURLには、必ず1byteドメインで登録しておくのが確実です。(xn--で登録してもだめでした)
— Jun KOBAYASHI (@JUNKOBAYASHIHoS) 2019年6月27日
日本語ドメインを使っている方は気をつけてください。
多言語サイトを実装する際に参考になる公式情報
さいごに
以上となります。
観光施設でGoogleマイビジネスからの流入が多い、しかも様々な国からのアクセスがあるといった方は、参考にしていただければと思います。実装する際はメリットとデメリットを考慮に入れてから行ってください。
Googleマイビジネスの仕様はどんどん変わっています。
Googleマイビジネス側で復数のURLが登録できるようになる可能性もあるのでご注意くださいね。
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