銀行が発行する紙の通帳には、1口座あたり年間200円の印紙税がかかります。
銀行は国税庁に対して、「印紙税200円」 × 「紙の通帳を発行した口座数」の印紙税を収めています。
ところが、信用金庫が発行する紙の通帳には、印紙税がかからないことをご存知でしょうか?
まったく馬鹿げた話ですが、銀行の発行する通帳には印紙税が課せられ、信用金庫の発行する通帳には印紙税が非課税なのです。
印紙税とは
ご存じの方が多いと思いますが、印紙税について説明します。
印紙税は、17世紀にオランダで考案されたもので、日本では1873年から導入されています。
印紙税法に定められた課税文書に対して印紙税がかかります。
一般的には、領収書に収入印紙を貼るケースが多いですが、実は紙の通帳も課税文書ということで、1冊あたり200円の印紙税がかかります。
なぜ信用金庫の通帳には印紙税が課せられないのか?
なぜ信用金庫の通帳には印紙税が課せられないのかというと、印紙税法で定められているからです。
国税庁のウェブサイトで、印紙税が非課税となる預貯金通帳の範囲について説明しています。
(1) 非課税物件欄1(信用金庫その他政令で定める金融機関の作成する預貯金通帳)に掲げられている預貯金通帳
これは、信用金庫、信用金庫連合会、労働金庫、労働金庫連合会、農林中央金庫、信用協同組合、信用協同組合連合会、農業協同組合、農業協同組合連合会、漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会の作成する預貯金通帳をいいます(令第27条)。
紙の通帳に印紙税がかからない金融機関は、信用金庫の他にもたくさんあることが分かります。これら全て印紙税法で定められているから非課税なのです。
通帳への印紙税が非課税なのは、中小金融機関の優遇措置なのか?
印紙税法で決まっているという理由で、信用金庫等の中小金融機関が発行する紙の通帳には印紙税がかかりません。
なんとも腑に落ちませんよね?
なぜこのような法律が成立したのか分かりませんが、信用金庫のような中小金融機関の優遇措置として、紙の通帳への印紙税を非課税にしたのだと思います。
銀行が発行する紙の通帳には印紙税が200円かかる
銀行が発行する紙の通帳には印紙税が200円かかります。
先日のエントリーで書きましたが、三菱東京UFJ銀行は、年間77億円の印紙税を国税庁に支払っています。
紙の通帳に手数料をかけようとしている三菱東京UFJ銀行が、どのくらいの利益を出しているのかについて考察してみる
ネット口座には印紙税はかからない
ネット口座には、印紙税はかかりません。
理由は、紙の通帳を発行しないためです。あくまで印紙税は、銀行が発行する紙の通帳に対して課せられるのです。
例えば、ネット系の銀行である「ジャパンネット銀行」「楽天銀行」「住信SBIネット銀行」などは、紙の通帳がないネット口座なので、印紙税は課せられないのです。
銀行もネット口座を勧誘している
銀行の場合、印紙税法で紙の通帳を発行する口座に対しては、1口座あたり200円の印紙税がかかるので、なるべく印紙税のかからないネット口座の開設に力を入れています。
メガバンクの場合、銀行によって名称は異なりますが、Eco通帳などの名称で、紙の通帳がない口座を利用者に提供しています。Eco通帳を開設した利用者は、ネットバンキングだけで口座を管理することになります。
利用者がネット口座を申し込むと、銀行は紙の通帳を発行する必要がありません。銀行は200円の印紙税を国税庁に収める必要がなくなります。そこで、ネット口座を開設する利用者に対して、メガバンクは様々な特典をつけています。例えば、ATMの時間外手数料を無料にしたり、他行への振込手数料を月1回無料にするとかね。
印紙税法の制度設計は見直すべし
今までお話したとおり、銀行が発行する紙の通帳には1冊あたり200円の印紙税が課せられます。
ところが、通帳がないネット口座には印紙税はかかりません。また、信用金庫が発行する紙の通帳にも、印紙税がかかりません。
不公平だと思いませんか?
通帳に対する印紙税の制度設計は、今の時代にあっておりません。
銀行が発行する紙の通帳に印紙税をかけるのであれば、信用金庫の通帳にも印紙税はかけるべき。更に言うと、紙の通帳に200円の印紙税をかけるのであれば、ネット口座に対しても200円の税金をかけてもいいんじゃない?印紙税という名称ではなくなると思うけど。
ネット口座や、信用金庫の通帳に対して200円の印紙税を非課税にするのであれば、銀行が発行する紙の通帳に対しても印紙税を課すべきではないと思います。
さいごに
以上、銀行の紙の通帳には印紙税200円がかかるけど、信用金庫の紙の通帳に印紙税がかからない件についてでした。
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