メルカリ「R4D」が設立されました。
基礎研究や応用研究を行っている大学機関や企業と連携し、研究成果を事業化していくことを目指すようです。2018年には年間数億円規模の投資が行われる模様です。
今日のエントリーは「R4D」の研究開発費と、GoogleやFacebookなどテック企業の研究開発費を比較します。
mercari R4Dとは
mercari R4Dとは、従来のR&Dの調査・開発だけでなく、設計・開発・展開・破壊4つの意味を込めて設立されました。
AmazonやGoogleなどは自社でR&D拠点を持っているのに対して、mercari R4Dは研究機関と共同で研究するという違いは、頭の片隅に入れておきましょう。
R4Dは調査(Research for )と、開発(Development)・設計(Design)・実装(Deployment)・破壊 (Disruption)の4つのDから構成された名称です。研究開発組織はR&D(Research & Development ) と呼ばれることが一般的ですが、その多くが調査と開発、基礎研究や応用研究を試験・調査することに留まっています。メルカリはこれまでもAIや機械学習などの技術を活用し、お客さまにサービスを提供してまいりましたが、今回外部の企業・教育機関と共同で、”社会実装”を目的とした研究開発組織を新たに立ち上げることで、最新技術の調査研究に留まらず、研究成果をいち早くサービス化していくことを目指します。
共同研究のパートナー
共同研究のパートナーには、5つの大学、1つの企業と連携しました。6つの機関で、8つの研究テーマについて取り扱う模様です。
以下、研究テーマを紹介します。
シャープ株式会社 研究開発事業本部
- 「8Kを活用した多拠点コミュニケーション」
東京大学 川原研究室 (川原圭博 准教授)
- 「無線給電によるコンセントレス・オフィス」
筑波大学 落合研究室 (落合陽一准教授)
- 「類似画像検索のためのDeep Hashing Network」
- 「出品された商品画像から物体の3D形状を推定」
- 「商品画像から背景を自動特定」
慶應義塾大学 村井研究室 (村井純教授)
- 「ブロックチェーンを用いたトラストフレームワーク」
京都造形芸術大学 クロステック研究室
- 「Internet of Thingsエコシステム」
東北大学 大関研究室 (大関真之准教授)
- 「量子アニーリング技術のアート分野への応用」
AmazonやGoogleの研究開発費と比較する
「R4D」代表の木村俊也氏によると、2018年の研究開発費は数億円規模を投じる模様です。
金額だけを見ると、AmazonやGoogleの足元にも及ばない研究開発費です。「R4D」の研究開発費と、AmazonやGoogleの研究開発費を比較します。
数日前にアリババの開発(R&D)予算が倍の50億ドルになり、向こう3年で3倍規模に拡大する、というニュースが話題になっていました。人工知能関連を中心に費やすそうで、報じているブルームバーグによると、現在成長著しい機械学習関連や量子コンピューティング分野、Internet of Thingsなどの研究員を増員するそうです。
で、これに関連してネット系の各企業がどういう状況なのかを示すグラフが丁度ありましたのでご紹介。米指標のS&P 500企業リストから昨年の研究開発費が大きい順にランキングしたものをRecodeがまとめていました。9月のレポートなのでちょっと古いですが、内容は昨年のデータですので問題ありません。
Amazonの研究開発(R&D)前期予算は161億ドル(1.8兆円)でトップ、S&P 500企業リストから【調査レポート】
Amazonの研究開発費
2016年の予算は161億ドルです。日本円でおよそ1.8兆円です。
AmazonのR&Dにかける予算は、テック系の企業だけでなく、世界最大の自動車メーカーであるフォルクスワーゲン社も抜いてダントツでトップです。
Googleの研究開発費
2番目に研究開発費に予算を投じているのがGoogle。
年間139億ドルなので、>日本円でおよそ1.5兆5千億円。
Intelの研究開発費
3番目の研究開発費を持っているのは、Intelで127億ドル。日本円で1.4兆2千億円。
Microsoftの研究開発費
Microsoftの研究開発費は123億ドル。日本円で1.3兆7千億円。
Appleの研究開発費
Appleの研究開発費は100億ドル。日本円で1.1兆2千億円。
アリババの研究開発費
アリババは、研究開発費の年間予算が50億ドルです。日本円で5600円億。
さいごに
AmazonやGoogleなどは自社でR&D拠点を持っているのに対して、mercari R4Dは研究機関と共同で研究するという違いもあります。
今回のメルカリ「R4D」の研究開発費の規模はわずか数億円。「R4D」が仮に10億円の研究開発費があったとしても、Amazonの1400分の1の予算規模です。
予算は天と地との差がありますが、重要なのは研究開発の内容です。今回発表のあった8つの研究テーマできちんとした成果が出て、メルカリのビジネスモデルに組み込まれていくといいですね。著名人を使って研究開発したけど、成果は何も出なかったというのではもったいないですからね。
今後に期待しましょう。
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