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準天頂衛星「みちびき」が4機体制になるので、衛星測位サービスの精度が上がる件について

よもやま話

10月10日6時45分に、準天頂衛星「みちびき4号機」が打ち上げられます。

これによって準天頂衛星「みちびき」は4機体制となり、衛星測位サービスの精度は格段に上がります。GPSの誤差が10m程度あると言われていますが、「みちびき」の誤差はわずか数cmですからね。

「みちびき」が提供する精度の高い位置情報は、カーナビ・スマホ・自動運転などに応用できるはずです。特に「自動運転」には精度の高い位置情報が求められますからね。

ということで今日のエントリーは、準天頂衛星「みちびき」が4機体制になることで、衛星測位サービスの精度が格段に上がる件について書きます。

GPSの誤差は?

スマホやカーナビにはGPSがついていますよね?GPSとは、Global Positioning Systemの略で、アメリカの衛星測位システムです。

元々アメリカが軍事目的で打ち上げた衛星測位システムで、時代とともに民間に開放されるようになりました。

でもね、GPSってかなり誤差があると思いませんか?

例えば、スマホのGoogleマップでナビをしていると、実際の位置と、画面上の位置に誤差が出ることがありますよね?

また、昔のカーナビもGPSの誤差はかなり大きかったです。最近のカーナビは、GPSの精度を補完するために、ジャイロ(方位磁石)や走行距離を用いて、マップマッチングという技術を使っているので、そこまで大きな誤差はなくなりましたけどね。

日本でGPSを使っていると、誤差が出る理由は2点あります。

  • 1点目・・・GPSはアメリカの衛星なので、アメリカの真上にあるため、日本からだと斜めに信号が来るので、精度が低い。
  • 2点目・・・GPSは、元々アメリカが軍事目的で打ち上げたものです。民間に開放したものを日本で使っており、軍事用のGPSと民間開放したGPSとでは、精度が異なる模様です。以下Wikipediaを参照します。

1990年から2000年までは、アメリカ軍の軍事上の理由(敵軍に利用されることを防止する)で、C/Aコードにおいて民間GPS向けのデータに対して、故意に誤差データを加える操作(Selective Availability、略称 SA)が行われ、精度が100m程度に落とされていた。
SAが加えられていた時から、既にGPSは民生用として有用であることが知られていたため、2000年5月2日4時5分(協定世界時)から、アメリカ合衆国大統領ビル・クリントンは「GPS技術を広く役立てて欲しい」という主旨で、これを解除した。

内閣府のサイトによると、GPSを利用すると10mほどの誤差があると記載されています。

現在、GPS衛星に起因する測位誤差は、衛星軌道の誤差と衛星時計(クロック)の誤差の合計であり、理論上は1m以下とされています。しかし、実際にGPS衛星を利用する場合には、10m程度の誤差が生じるのです。

衛星測位サービス

準天頂衛星とは?

準天頂衛星とは、名前の通り「準天頂」を通る人工衛星です。

日本の真上に人工衛星があるので、電波はまっすぐ下に降りてくるため、GPSよりも誤差が出ないとされています。

準天頂衛星がどのように動くのかというと、日本の真上からオーストラリアヘ向かって、8の字の軌道で周回します。1日で1周します。

準天頂衛星 8の字の軌道で周回

みちびきとは?

みちびきとは、準天頂衛星で構成された日本の衛星測位システムです。宇宙航空研究開発機構(JAXA)と内閣府に設置された宇宙開発戦略推進事務局によって開発されています。

準天頂衛星からの信号は真上から来るため、GPSよりも衛星測位システムとしての精度が高いのが特徴です。

人工衛星からの信号は真上から来るため、衛星測位システムとしての精度が高い

2018年には4機の衛星となる予定で、精度の高い衛星測位システムとして機能します。

4機以上の衛星で衛星測位は可能ですが、安定した位置情報を得るためには、8機以上の衛星が見えることが必要とされています。しかし、GPS衛星は地球全体に配置しているため、地球の裏側で見えない衛星があり、どの地点でも概ね6機程度しか見ることができませんでした。

2018年、みちびきが4機体制になると、このうち3機はアジア・オセアニア地域の各地点では常時見ることができます。みちびきはGPSと一体で利用でき、GPS衛星6機とみちびき3機を合わせて8機以上となるため、安定した高精度測位を行うことが可能になります。GPS互換であるみちびきは安価に受信機を調達することができるため、地理空間情報を高度に活用した位置情報ビジネスの発展が期待できます。

みちびきとは何か

「みちびき」の打ち上げ実績

「みちびき」の打ち上げ実績を見ていきましょう。

みちびき 1号機

2010年に1号機が打ち上げられました。

みちびき 2号機

2017年6月1日に打ち上げに成功します。

内閣府が整備を進めている準天頂衛星システムの「みちびき2号機」が6月1日、鹿児島県の種子島宇宙センターからH-IIAロケット34号機により打ち上げられました。打ち上げ時刻は9時17分46秒。ロケットは計画通りに飛行し、打ち上げから28分21秒後に衛星を正常に分離しました。

みちびき2号機の打ち上げに成功

みちびき 3号機

2017年8月19日に打ち上げに成功します。

↓打ち上げ瞬間の映像です。

みちびき 4号機

2017年10月10日に打ち上げ予定です。

10月10日6時45分からLIVE中継がありますので、ぜひご覧ください。

まとめ

10月10日に「みちびき」4号機が打ち上げられることで、2018年度より「みちびき」は4機体制で運用されます。今までのGPSよりも、衛星測位サービスの精度は上がります。

2024年には「みちびき」が7機体制となり、さらに衛星測位サービスの精度が向上するはずです。自動運転の技術に貢献することは間違いなさそうです。

準天頂衛星「みちびき」が高精度な測位を実現できる3つの理由