昨日のエントリーでは、訪日外国人向けのプリペイドSIM「Japan Welcome SIM」について書きました。
書いてて思ったのですが、プリペイドSIMって、現地に行った時に、物理的にSIMカードを交換するじゃないですか?
近い将来「eSIM」が普及することは間違いないので、プリペイドSIMの出番はなくなりそうな気がしませんか?
今の段階では、「eSIM」は既存のSIMカードの置き換えくらいにしか考えていないかもしれませんが、GoogleやAmazonが自社のスマホやタブレットに「eSIM」を組み込んでくるということも十分想定されるはず。
すでにAppleは、iPad Proに「eSIM」を組み込んでいますからね。この点は後述します。
わたくしの勝手な予想ですが、GoogleやAmazonならば、「eSIM」経由のデータ通信を、無料で開放する可能性があると思います。データ通信量の制限はあると思いますが、この2社ならやってくれそうな気がしませんか?
そしたら、海外旅行の際に使うプリペイドSIMは必要なくなります。訪日外国人向けのプリペイドSIM「Japan Welcome SIM」も不要だわ。日本の通信会社は、危機的状況になり、完全な土管屋に成り下がるかも。
「eSIM」とは?
「eSIM」とは、Embedded Subscriber Identity Moduleの略で、リモート操作によって通信会社の切り替えができる埋込み型のSIMのことを指します。
要するに「eSIM」が導入されると、スマホやタブレットなどに、SIMカードが内蔵されることになります。
今までのSIMカードは、通信会社を切り替える際に、物理的にSIMカードを交換しなければなりませんでした。「eSIM」が導入された端末では、OTA経由で通信事業者を変更することが可能です。なので、物理的なSIMトレイが必要なくなり、SIMカードを交換する必要もなくなります。
今の段階では、Microsoftやdocomoが自社端末に「eSIM」を採用する動きがありますが、データ通信用の端末を想定しているようです。2017年は「eSIM」を採用する端末が増えていくはずです。
Microsoftは、COMPUTEX TAIPEI 2017で講演を行ない、今後の戦略などについて説明した。このなかで「Always Connected PC」と呼ばれる構想を明らかにし、LTEモデムとeSIM(組み込み型のSIMカード)を組み合わせることで、いつでもどこでも簡単にデータ通信を契約し、すぐにインターネット接続できる環境が実現するとした。また、そのパートナー企業としては、通信キャリアのKDDI、PCメーカーのVAIOなどが紹介された。
なお、本人確認などの関係から、ドコモが開発するeSIM採用端末は、当面は“2台目”などとして契約するタブレットやウェアラブル端末などが対象になり、スマートフォンは含まれない見込み。
NTTドコモとチャイナモバイルは、異なるベンダーをまたいでeSIMを連携できるシステムを開発した。標準化された仕様に基づいており、「世界初のマルチベンダー間eSIM連携システム」とアピールする。
自動車やIoT機器などで、組み込まれて運用されるSIMカード「eSIM」は、異なる通信キャリア間でその内容を書き換える場合、これまでは同じベンダーである必要があった。しかし今回、GSMAで策定された「Remote Provisioning Architecture for Embedded UICC3.1(GSMAv3.1)」に準拠したシステムを開発したことで、異なるベンダーのシステムを用いていても、eSIMを書き換えられるようになった。
「eSIM」のメリット
海外旅行において、物理的なSIMの交換が必要なくなるというメリットがあります。
海外旅行が便利になりますって。
今の時点では「eSIM」は普及していません。例えば、日本に住んでるユーザーがシンガポールに行く場合、現地で現地のプリペイドSIMを購入してSIMカードを入れ替えます。
「eSIM」が普及すれば、現地に着いたら、現地の通信会社の情報に書き換えればいいだけなので、物理的なSIMカードの交換作業がなくなります。
ヨーロッパだと、陸路で国境を超えていくことが多いから、絶対に便利です。
iPad Proには「eSIM」が内蔵されている
iPad Proのセルラー版には、Apple SIMと呼ばれる「eSIM」が内蔵されています。
SIMカードスロットは別にありますので、従来のSIMカードも使えるし、「eSIM」も使えるのです。
Apple SIMは海外旅行にぴったり。世界180以上の国と地域で、主要なプロバイダの携帯電話データプランをあなたのiPad上で直接選べます。
だからWi-Fiホットスポットが近くにない時でも、インターネットへの接続を続けられるのです。目的地に到着してからEメールをチェックしたり、経路を調べたり、日本にメッセージを送りたい時は、Apple SIMを使いましょう。
Apple SIMのデメリットは?
通信費用が高いんだよね。だから全然普及していません。
日本国内で使うには1GB1500円のプリペイドプランを購入する必要があります。
あとは、アメリカ・イギリス・日本では、現地キャリアと直接契約できるのですが、その他の国では、ローミング専用のキャリアとしか契約できないのもデメリットですね。
GoogleやAmazomの端末に「eSIM」が搭載される日は近い
両社とも自社で開発している端末があるので、「eSIM」が搭載される日は近いはず。
端末に「eSIM」のチップを入れておけばいいだけですから、ほとんどコストもかからないからね。
どんなサービスを期待するかというと、
- Googleならば、Googleアカウントを持っていれば、月に3GBまでLTE通信が無料
- Amazonならプライム会員なら月に3GBまでLTE通信が無料
こういうサービスをやってくれると嬉しいよね。
「eSIM」が普及するのはいつ?
Apple SIMが全然普及していないのは、Apple SIMでデータ通信をするよりも、現地で購入するプリペイドSIMのほうが圧倒的に通信費が安いためです。
「eSIM」の通信費用が安くなれば、普及することは間違いない。GoogleやAmazonが通信会社を買収するという手段も十分に考えられます。
まとめ
SIMカードを物理的に差し替えるというアナログな方法は、早く改善されるべきです。
技術的には、「eSIM」を使えば、通信会社を変えることは簡単にできるのですから。
「eSIM」の通信費用が、プリペイドSIMと同じ水準まで下がってくることで、普及していくことになるでしょう。
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