リオ パラリンピックが9月18日まで開催されます。
連日テレビ中継を見ている方も多いと思います。オリンピックと較べると競技数が多いので、テレビを見ているだけでは、どのようなクラス分けが行われているのか、よく分からないという方も多いと思います。
実はわたくしも、パラリンピックのクラス分けってよく分かりませんでした。
今日のエントリーは、リオ パラリンピックが528種目あって、どのようにクラス分けされているかについて書きます。
まずはメダル獲得のニュースから見ていきましょう。日本人選手は非常に頑張っていて、すでに銀メダル1個、銅メダル4個を獲得しています。
銀メダルを獲得したのは、柔道 男子60キロ級の広瀬誠選手です。
オデジャネイロ・パラリンピック第二日の八日、視覚障害者による柔道で男子60キロ級の広瀬誠選手(39)=愛知県立名古屋盲学校教=が、今大会の日本選手団メダル第一号となる銀メダルを獲得。自身は二〇〇四年アテネ大会の銀以来、三大会ぶりのメダルに輝いた。
銅メダルを獲得したのは、以下の4人の選手です。
- 柔道 女子57kg級の廣瀬順子選手
- 柔道 男子66kg級の藤本聡選手
- 柔道 男子100kg超級の正木 健人選手
- 水泳 男子100m背泳ぎ(知的障害)の津川拓也選手
競泳背泳ぎ100メートル(知的障害)に出場した津川拓也選手(24)はメダルなしで終わった前回ロンドン大会の雪辱を果たし、自身初となる銅メダルを獲得した。
表彰台に立った津川選手は、マイクで名前を呼ばれると少し照れた様子で会場に向けて小さくお辞儀。首に銅メダルをかけられると、両手を振って応援席にいる関係者らに応えた。
「お風呂が大好きで3歳からプールに通い始めた」という津川選手。頭から飛び込むのが怖い、という理由で、スタート時に飛び込みがない背泳ぎが得意になった。
まだまだ日本人選手のメダル増えますよ!
パラリンピックとは
パラプレジア(下半身麻痺者)+ オリンピックの造語だと言われています。
Wikipediaの説明が分かりやすいので引用します。
パラリンピックは、国際パラリンピック委員会が主催する主に肢体不自由の身体障害者(視覚障害を含む)を対象とした競技大会の中で世界最高峰の障害者スポーツ大会。オリンピックと同じ年に同じ場所で開催される。2004年のアテネ大会から夏季オリンピックと共同の開催組織委員会が運営する。
IOCは、1985年パラリンピックという呼称を用いることを正式に認めるとともに[5]、半身不随者以外も参加するようになったことから、パラレル(Parallel、平行)+オリンピック(Olympic Games)で、「もう一つのオリンピック」として再解釈することとした。これに伴い、1988年のソウル大会からIOCが直接関わることとなり、「パラリンピック」が正式名称となった。
1988年のソウル大会より、オリンピックとの開催地が同じになりました。それ以前は、オリンピックとの開催地はそれぞれ別だったのです。夏季の開催地を年別に見てみると、
- 1984年 オリンピックはロサンゼルスで開催されましたが、パラリンピックはニューヨーク(アメリカ)とアイレスベリー(イギリス)の2ヶ国で開催されました。
- 1980年 オリンピックはモスクワで開催、パラリンピックはアーネム(オランダ)にて開催。
- 1976年 オリンピックはモントリオール(カナダ)で開催、パラリンピックはトロント(カナダ)にて開催。
- 1972年 オリンピックはミュンヘン(西ドイツ)で開催、パラリンピックはハイデルベルク(西ドイツ)にて開催。
- 1968年 オリンピックはメキシコシティ(メキシコ)で開催、パラリンピックはテルアビブ(イスラエル)にて開催。
「リオ パラリンピックの競技数」が多い理由
パラリンピックは、競技によって対象となる障がいがあり、さらに障がいの程度によりクラス分けが行われています。
競技の公平性を保つためにこのようなルールになっているのです。
このクラス分けによって、23競技が、528種目に細分化されることになります。リオ オリンピックの競技数は「28競技・306種目」なので、パラリンピックの方が、競技種目は約1.7倍多いのです。
リオ パラリンピックの競技一覧
リオ パラリンピック528種目の内訳です。
- アーチェリー 9種目
- 陸上競技 177種目
- ボッチャ 7種目
- カヌー 6種目
- 自転車トラック 33種目
- 自転車ロード 17種目
- 馬術 11種目
- 5人制サッカー 1種目
- 7人制サッカー 1種目
- ゴールボール 2種目
- 柔道 13種目
- パワーリフティング 20種目
- ボート 4種目
- セーリング 3種目
- 射撃 12種目
- シッティングバレーボール 2種目
- 水泳 152種目
- 卓球 29種目
- トライアスロン 6種目
- 車椅子バスケットボール 2種目
- 車いすフェンシング 14種目
- 車いすラグビー 1種目
- 車いすテニス 1種目
柔道 13種目
日本柔道は強いです。既にメダル4つ獲得しています。
柔道の13種目の内訳を見ていきましょう。男子が7種目、女子が6種目に分類されていますが、これはオリンピックの柔道と全く同じです。
- 男子60kg級・男子66kg級・男子73kg級・男子81kg級・男子90kg級・男子100kg級・男子100kg超級
- 女子48kg級・女子52kg級・女子57kg級・女子63kg級・女子70kg級・女子70kg超級
ただし、健常者のオリンピックとは異なるルールもあります。パラリンピックでは、視覚障害者の選手がいるため、試合開始の方法が違います。健常者の試合が、お互い離れた位置で試合が開始されるのに対して、視覚障害者の試合では、最初からお互いの襟と袖を持って組み合った状態で試合が開始されるのです。
「障害の種類」
- B1 全盲 光覚なしから光覚まで。どの距離や方向からでも手の形を認知できないもの
- B2 弱視 視力0.03まで、または視野が5度以内
- B3 弱視 視力は0.04から0.1または視野が20度以内
陸上競技 177種目
陸上競技のクラス分けは177種目あって複雑です。
「陸上競技の種目」と「障がいの種類」に応じてクラスが決まります。
義足を作っているベンチャー企業のXiborgが、「陸上競技クラス分け」というサイトを用意しております。日本パラ陸上競技連盟の「分かりやすいクラス分け」に基づいているので、データは正確です。(サイトはすでに閉鎖されています)
「陸上競技の種目」
大きく分けて3つの種目に分類されます。
- 走る競技:100m・200m・400m・800m・1500m・5000m・4×100m リレー・4×400m リレー・マラソン
- 跳ぶ競技:走り幅跳び、走り高跳び
- 投擲競技:砲丸投げ・円盤投げ、やり投げ、こん棒投げ
「障がいの種類」
障がいの種類は7つあります。
- 視覚障害
- 知的障害
- 運動機能障害・・・脳性マヒ(車いす)
- 運動機能障害・・・脳性マヒ(立位)
- 運動機能障害・・・低身長症
- 運動機能障害・・・切断・機能障害(立位)
- 運動機能障害・・・頚椎損傷・脊髄損傷・切断・機能障害(車いす)
水泳 152種目
水泳は、「泳ぎ方」と「障がいの種類」によってクラス分けが行われます。
「泳ぎ方」
3つのクラスがあります。
- S 自由形・背泳ぎ・バタフライ
- SB 平泳ぎ
- SM メドレー
「障がいの種類」
- 身体障害(肢体不自由)・・・脳性マヒ・脊髄損傷・切断・機能障害の程度によりクラス分けがあります
- 視覚障害・・・視野の範囲・見え方の違いによるクラス分けがあります
- 知的障害・・・クラスは1つのみで、クラス分けはありません
表の数字は、障がいの程度をあらわしており、1〜4が重度、5・6が中度、7より上が軽度というクラス分けになります。
運動の要素として、筋力(重力や圧力に対する抵抗力)、関節の動く範囲(可動性)、運動の滑らかさ(協調性)、および身長や手足の長さ(効果を発揮する部位の形態)等を検査します。それぞれの検査において尺度がありそれぞれに点数を配分します。これを、ベンチテストと日本では呼んでいます。
次に、実際の水中で背浮きや伏し浮きの基本姿勢、自由形、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライといった泳法別に基本的な能力を検査します。水泳の技術が未熟なのか、障害が原因なのかを見極めます。これを日本では、ウォーターテストと呼んでいます。ベンチテストとウォーターテストを総合してだされた点数により1から10(ないし9)の仮クラスに分けられます。その後、競技観察(必要でない場合もあります)を経てクラスが確定されます。
車いすラグビー 1種目
クラスは1つですが、1チームは4名の選手で構成される団体競技なので、独特のルールがあります。
選手は、障がいレベルに応じて、0.5点・1.0点・1.5点・2.0点・2.5点・3.0点・3.5点の7クラスに分類されて、競技中はコートにいる4選手の持ち点の合計は8.0点以下になるようにチームメンバーを構成するのです。
車いすラグビーの日本チームは、世界3位。十分メダルを狙える位置にいます。
日本チームのスケジュールは以下のとおりです。
- 9月14日 日本 VS スウェーデン
- 9月15日 日本 VS フランス
- 9月16日 日本 VS アメリカ
- 9月17日 準決勝戦
- 9月18日 3位決定戦
- 9月18日 決勝戦
金メダル目指して頑張ってくださいね!
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