2014年以降、上場申請を続けてきたLINEがついに上場します。東証1部とニューヨーク証券取引所の2箇所に上場する模様です。
スマートフォン向けに無料通話のアプリケーションを提供するLINEが、2016年7月にも東京証券取引所に上場する見通しになったと、6月1日付の日本経済新聞などが報じた。上場先は東証1部とみられ、東証が近く上場を承認する見込みという。ほぼ同時に、米ニューヨーク証券取引所に上場するとの情報もある。
東証への上場時の株式時価総額は、6000億円程度に達する公算が大きい。16年の新規株式公開(IPO)の案件としては最大規模になる。
更に本日より、広告配信のプラットフォームの運用も始まります。
【LINE】LINEの広告配信プラットフォーム「LINE Ads Platform」を本格運用開始
足止めを食らったLINE上場
以前から上場の話はありましたが、2014年には上場見送りをLINEが発表したことは記憶に新しいですよね。
上場見送りの理由として、LINE側の公式発表では「新規株式公開に最適な時期ではない」ということでしたが、LINEが韓国のNAVERの100%子会社ということも理由の一つです。
親会社は韓国で最大の検索ポータルの会社で、日本で言うとYahoo!JAPANのような会社。親会社からの独立性などの問題があり、LINEの上場には様々な障害が待ち構えていました。
NAVERまとめの「まとめサイト」の著作権問題も上場見送りの原因の一つとも言われていました。
LINEの沿革
LINEの沿革を見てみましょう。
NHN Japan・NAVER Japan・ライブドアの3社が経営統合してLINEができました。
- 2000年 ハンゲームジャパン設立 → 2003年 NHN Japanに商号変更
- 2007年 NAVER Japan設立
- 2010年 ライブドアを完全子会社化
- 2012年 NHN Japan・NAVER Japan・ライブドアが経営統合。
- 2013年 LINEに商号変更
LINEのユーザー数
2011年6月にLINEのサービスが開始して以来、利用者は順調に増え続けています。2015年12月現在、日本国内の月間ユーザー数は6800万人、人口の半数が使っているサービスになりました。日本国内では完全にプラットフォームになっています。世界では2億1500万人以上の月間ユーザー数を抱えています。
LINEの開発は東日本大震災がきっかけ
東日本大震災の時は、電話が全く繋がらなかったり、docomo・au・ソフトバンクのキャリアメールも繋がらなかった状況でした。そんな中、ネットに詳しい人ならSkypeなどのウェブサービスを使って連絡が取れましたが、一般の人は連絡手段がなかったということが、開発のモチベーションだったとLINE CSMOの舛田氏は話しています。
LINEの生みの親「シン・ジュンホ氏」
シン・ジュンホ氏はご存知でしょうか?
5年前の東日本大震災の後、LINEを作った開発責任者です。
ネットに詳しくない人に、1分1秒でも早くコミュニケーションが取れるためのツールを開発しなければということで、開発が始まりました。その時の開発に対するエネルギーは凄まじく、LINEは1ヶ月半くらいで完成されたというから驚きです。
携帯メールを置き換えたLINE
元々PCの世界には、SkypeなどのLINEと似たようなサービスはたくさんありました。でもSkypeは携帯メールを置き換えることはできなかったんですよね。あくまでPCでログインして使うサービスだったので。
携帯メールのポジションを代替したのはLINE。見事に携帯メールとSMSのポジションを奪いました。
LINEは後発なのにシェアを伸ばせた理由
そもそもLINEはメッセージアプリでは後発なのです。カカオトークがあって、comm、Viberもありました。
その中でなぜLINEユーザーが日本において6800万人というユーザーを獲得できたのでしょうか?
成功の鍵は既読機能とスタンプ機能です。友だち同士で使う仕組みを上手く構築したことで、ユーザー数がどんどん増えていきました。
既読機能
メッセージを受け取った相手が「早く返信しなければ」というプレッシャーを与えるので、なるべく早くメッセージを返します。で、やりとりがどんどん続いていくのです。これにはまった人は多いと思うます。
スタンプ機能
やり取りがどんどん続いていくと、「そろそろメッセージを終了したいけど、適当な言葉が思い浮かばない」となった時に便利なのがスタンプ。とりあえず笑顔のスタンプを送っておけばいいという気軽さが、メッセージのやり取りの煩わしさを和らげました。
電話番号帳
電話番号の登録で、LINEを始めた瞬間に、友だちを探さなくても自動的に友だちが出てくる仕組み。リテラシーの高くない人達に広がりました。
スマホに最適化
PCをベースにしたコミュニケーションサービスはSkypeなどがありましたが、スマホだけに最適化したこと。
Instagramも同じ戦略で動いてます。PCから写真アップできないですからね。
スマートポータルを目指すLINE
LINEは、ユーザー間で行うメッセージや無料通話に加えて、スマートポータルのインフラとしてのサービスも充実しています。PC時代のYahooのようなポータルのポジションを目指しています。
コミュニケーションとしてのインフラ
メッセージや無料通話の基本機能
エンターテイメントのインフラ
ゲーム、LINE MUSIC、LINEマンガ、LINE LIVEなどのデジタルコンテンツの充実
生活インフラ
LINE PAYによる決済、タクシーの配車、レストランの予約など
MVNOのインフラ
モバイルデータ通信事業への参入
上場後のLINE
IPOによる資金調達額は20億〜30億ドルと言われています。今年最大の案件であることは間違いないです。この資金を元に、どんなサービスが展開されるのか楽しみですね。
あとはセキュリティーにもっと力を入れて欲しい。
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