軽自動車の燃費試験データの不正から始まった今回の事件は、三菱自動車が日産自動車の傘下へ入るということで決着がつきました。
でも今回の不正は日産の指摘で発覚して、日産の傘下に入るってwww
燃費データ不正問題を起こした三菱自動車に対し、日産自動車が約3割出資する方向で調整に入ったことが11日明らかになった。三菱自動車は事実上、日産の傘下に入って、経営再建を目指すことになる。
三菱自動車の不祥事をきっかけに自動車業界の大型再編に発展する可能性が出てきた。
ほぼ全車種で燃費偽装
1991年以降に国内で販売した車種で燃費偽装をしていたようです。軽自動車、普通車、大型四輪駆動車まで多岐にわたります。報道では、直近の4車種に対して燃費の補償をするようですが、過去の車種についてはどうなるのでしょうか?
三菱自動車関係者の発言によれば、規定通りの燃費測定をしたのは、「デリカD:5」「アウトランダーPHEV」「ミラージュ」の3車種のみ。これはひどいよね。
三菱自動車のサイトを引用します。
2.今後の対応について
(1)その他の現在販売している9車種及び、既に販売を終了した車種については、ヒアリングの結果、正しく走行抵抗を算出していなかったり、『RVR』などについて机上計算により算出したりしたものがあることが疑われるため、測定データによる裏づけや経緯などを調査中で、別途ご報告する。
(2)「高速惰行法」使用の理由・経緯を含む本件の徹底的な調査のため、外部有識者のみによる特別調査委員会を4月25日に設置した。同委の報告と提言を受け次第、弊社としての適切な対応を立案し、別途ご報告する。
なぜ不正が起きたか?
燃費を公表する際、交通安全環境研究所が審査を行うことになっています。どのように燃費を計測するかというと、室内の台上試験機で算出します(ローラーの上でタイヤが回転する仕組み)。
でも実際に車が走るのは屋外なので、タイヤの路面抵抗や空気抵抗を受けますよね?なので、自然環境の中で起こる抵抗を数値化した走行抵抗値を、台上試験機にインプットして、燃費データを計測するのです。
ここで問題が発生します。走行抵抗値は各自動車メーカーが、自社のテストコースを使ってデータを取るためです。自然環境の中で行う燃費テストは、手間も時間もかかるため、測定は自動車メーカー任せになっています。不正をするなら、いくらでもでもできる環境にあったのです。
この仕組みを改めないと、今後また同じような偽装事件は起きます。
カタログの燃費ってそこまで重視する?
三菱自動車が国土交通省に提出したデータと実際の燃費の乖離は5〜10%と言われています。
何で不正をしたかについて、三菱自動車からのアナウンスはありませんが、「エコカー減税のカテゴリー」と「カタログの燃費をよく見せる」という2点が考えられます。
エコカー減税のカテゴリー
もしカテゴリーが変わってくるなら、これは詐欺といってもいいよね。
減税対象自動車の一覧を見てみます(平成26年4月1日〜平成27年4月30日)。
- RVR、アウトランダー、ディグニティ
- デリカバン、ランサーカーゴ
- ekカスタム、ekスペース、ekワゴン
- ミニキャブバン
カタログの燃費をよく見せる
そもそもカタログ値の燃費を信じてる人なんているのかどうか・・・
街乗りなら2割くらいは低く見積もるし、購入してから年月が経てば燃費は落ちるはず。
スマホのバッテリーだって、2年経ったら全然持たなくなるでしょ?新品時や新車時の性能がずっと続くなんて誰も思ってないと思いますが。
三菱自動車の隠蔽体質
2000年、2004年とリコール隠しが2回あって信用が地に落ちた三菱自動車なのに、またも繰り返すという・・・
今回の燃費偽装事件で追い打ちをかけ、2000年にはトヨタ自動車・日産自動車・本田技研に次ぐ乗用車メーカーシェア4位だったにも関わらず、日産に吸収されるという結果になりました。
自動車の販売台数ランキング
2015年における販売台数を見てみます。
- トヨタグループ 約1010万台
- VWグループ 約990万台
- GMグループ 約980万台
- 日産・ルノーグループ 約850万台
- 現代自動車 約770万台
- フォード・モーター 約660万台
- 本田技研 約470万台
- フィアット・クライスラー 約460万台
- プジョー・シトロエン 約300万台
- スズキ 約280万台
- 三菱自動車 約120万台
自動車業界の再編
1位のトヨタグループ、2位のVWグループ、3位のGMグループは見ての通り僅差です。
今回、日産・ルノーグループが三菱自動車を傘下に収めることで、販売台数が約970万台となり、トップ3と限りなく同じ数字に迫ることが可能になります。
2017年に登場するテスラのModel3で電気自動車の裾野は広がります。電気自動車の世の中になれば、中小の自動車メーカーが乱立することは間違いない。
大手自動車メーカーの技術の根幹はガソリンエンジンのノウハウ。電気自動車の世の中になれば、こういったノウハウは一切要らなくなりますから。
今後、自動車メーカーは生き残りをかけて、今まで以上に合併吸収を繰り返して再編が進んでいくはずです。
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