米アマゾンがUGC(User-Generated Contents)のサービスを開始します。
米アマゾン・ドット・コムは10日、米グーグルの動画共有サービス「ユーチューブ」の競合サービスを始めた。動画制作者がアマゾンの会員向けに動画を配信して広告やコンテンツ課金などで稼げる仕組みで、展開地域は米、英、独、日本など。有料化を進めるユーチューブとの競合が激しさを増しそうだ。
新サービスの名称は「アマゾン・ビデオ・ダイレクト」。動画提供者は広告をつけて無料にするか、アマゾンの有料会員向けにして試聴時間に応じて報酬を得るかなど、自由に設定できる。ダウンロードの可否も設定が可能。登録した視聴者に対し、有料の定期配信にすることもできる。
UGCとは
ユーザーによって制作されたコンテンツのことをUGCと呼びます。インターネットの世界ではプロの作るコンテンツよりも、アマが作るUGCの方がより多くのアクセスを集めるとうことが良くあります。YouTuberは典型的な例ですよね。
では実際にUGCにはどんなプラットフォームがあるのか見てみましょう。
UGCのプラットフォーム
今回の「アマゾン・ビデオ・ダイレクト」のような動画共有サイトから、イラストの投稿サイトのpixiv(ピクシブ)、小説の投稿サイトのカクヨムまで、様々なプラットフォームが存在します。動画共有サイトに絞ってみてみると、次の3つのプラットフォームでガチンコの戦いが繰り広げられそう。
- YouTube
- ニコニコ動画
- アマゾン・ビデオ・ダイレクト
アマゾン・ビデオ・ダイレクト
Amazonのアカウントがあれば誰でも投稿が可能です。
YouTubeのようにユーザーが制作した動画を投稿し収益を得ることが可能です。
ユーザーが制作したコンテンツは、レンタル・購入が可能なだけでなく、広告を入れるのであれば無料で視聴者に提供できます。コンテンツ制作者は、レンタル・購入なら収入の50%、広告付きのものなら広告収入の50%を獲得できます。
もちろんプライム会員向けを対象とした閲覧の設定も可能です。
米国・日本・イギリス・ドイツ・オーストリアでサービスが開始されます。一気にYouTubeに攻撃をかけましたね。
アマゾン・ビデオ・ダイレクトの収益化の種類
- Amazonでデジタルコンテンツとしてレンタル・販売 → 販売価格の50%
- 無料での配信+広告収入 → 広告収入の50%
- プライムビデオでの配信 → 1時間視聴あたり15セント、それ以外の国は6セント(年間75000ドルまで)
- ストリーミングパートナープログラムで販売 → 販売価格の55%
スタープログラム
上位100タイトルには、Amazonより月100万ドル(約1億円)のボーナスが分配されます。
アマゾン・ビデオ・ダイレクト vs YouTube
Amazonプライム会員は約5000万人。それに対してYouTubeは20億人のユーザーを抱えています。ちなみにニコニコ動画は約5000万人のユーザー。
あまりにもYouTubeの規模が大きいのですが、Googleの牙城をどれだけ切り崩せるか楽しみです。
ゲーム実況中継のTwitch
今回AmazonがUGCのプラットフォームを作るにあたって、ゲーム実況中継のTwitchの果たす役割は大きいと予測します。
Twitchとは、ゲームプレイ動画を誰でも簡単にライブ・ストリーミングできるサービスです。
2014年8月に米Amazonは、ゲーム動画ストリーミングサービスを提供するTwichを買収しています。キャッシュで約9億7000万ドル(約1000億円)で買収しました。
YouTuberを見れば明らかだけど、ゲームの実況中継や視聴の需要はありますからね。
Fire TV や Fire TV Stick との連携
Fire TV や Fire TV Stick にはゲームコントローラーも用意しています。今後、Twitchと絡めてくるのは間違いないです。Fire TVを使ってそのまま配信できるようになったら便利です。
Amazonの株価
アマゾン・ビデオ・ダイレクトの動きと連動してるのかどうかは分かりませんが、Amazonの株価は昨日の取引で703.07円をつけて史上最高値を更新しています。
1年前は430円くらいだったから、この1年で300円近く上がっています。株価は着実に上がっていますね。
↓このブログ面白い。2001年の時点で100万円持ってたら → 2011年には1億3624万円だそうです。
2001年にAmazon.comの株を100万円分買っていたら、いくら儲かったか?
プラットフォームとコンテンツ
2年前にドワンゴとKADOKAWAが経営統合した際の記者会見で、川上量生氏が「コンテンツとプラットフォーム両方を持つ企業が勝つ」という話をしていました。
【全文】ドワンゴ・KADOKAWA合同記者発表 川上氏「コンテンツとプラットフォーム両方を持つ企業が勝つ」
任天堂が成功したのも、プラットフォームを持っていることに加えて、コンテンツも自社で制作していたという話を川上さんは良くしていますよね。
Amazonもプラットフォームだけでなく、コンテンツの両方を持っています。これに対抗できる日本企業がでてこないとまずい状況になりそうだけど・・
「アマゾン・ビデオ・ダイレクト」は成功するのか?
プライム会員を中心にコンテンツ制作者や視聴者は増えていくはず。
ユーザーがFire TVでゲーム実況中継をしたものが、「アマゾン・ビデオ・ダイレクト」のプラットフォームで簡単に収益化できるとなれば、コンテンツを作って投稿するユーザーは増えますからね。勝手な予測ですが、ゲーム実況はうまくいくと思います。
またプライム会員向けに、UGCのコンテンツの無料配信も絶対にやってくるだろうから、間違いなく視聴者にとってもお得で楽しめるサービスになります。
あとは、前から何度も言っていますが、コンテンツ制作者、視聴者もプライム会員から抜けられなくなったタイミングでの、プライム会員費の値上げがいつになるのか・・・
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