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なぜモンストはBANされたか!強大な力を持つプラットフォーム!

インターネット

8月29日「モンスターストライク」がApp StoreからBAN(削除)されてしまいました。翌日復帰しましたが、ミクシーの稼ぎ頭だっただけに、関係者は冷や汗たらたらだったと思います。

ミクシーは、2013年に上場以来初の赤字となり低空飛行していました。その後出会い系サイトYYCを買収して、そちらの方面で行くのかと思っていましたが、「モンスト」がヒットして見事V字回復を見せたのです。ゲームでヒットするというのは博打だなと思った次第です。

ミクシィは5月12日、2016年3月期の連結売上高は前期比63.8%増の1850億円、営業利益は51.8%増の800億円になる見通しだと発表した。「モンスターストライク」効果が続いているためで、国内ソーシャルゲーム企業でトップクラスに躍り出ることになる。
2015年3月期の連結決算は、売上高が前期比9.3倍の1129億円、営業利益が110倍の526億円となり、最終損益は前期の2億2700万円の赤字から329億円の黒字へと劇的に転換。世界2500万ユーザーを抱えるモンストを含むエンターテインメント事業で売上高1022億円・営業利益531億円を稼ぎ出した。

ミクシィの今期、「モンスト」効果続き売上高・利益とも大幅拡大へ

「モンスト」がBANされた理由

ミクシーがAppleのガイドライン違反をしたためです。それ以外にもいろいろな憶測がありますが・・・

1. シリアルコード機能の規制

ネット番組やリアルイベントなどでユーザーに配布されるコードのことで、ユーザーはアイテムがもらえるといった特典があります。さまざまなメディアやイベントでシリアルコードを配布していました。

なぜシリアルコード機能はAppleの利用規約違反になるのかというと、Appleの課金プラットフォーム以外からコードを入手できるようになると、Appleが決済手数料の30%を確保できなくなるからです。

2. ランキングの不正操作

リワード広告によるブーストです。最近、Appleはリワード広告の取り締まりに力を入れています。

App Storeのランキングを不正に操作していると問題視されている「リワード広告」。その中心的役割を担っている「おこづかいアプリ」が少なくとも26個、すべて8月7日23時過ぎ、一斉に削除されていたことが分かりました。

App Storeで過去最大規模の「おこづかいアプリ」大量削除 ランキングを不正操作する「おこづかいアプリ」と「リワード広告」の関係とは

Android版「モンスト」

Android版は通常通りインストールでき、シリアルコードも利用できました。プラットフォームによって対応が違うのですね。

ユーザーへの影響

アプリがストアからBANされると、アプリ内課金もできなくなってしまうので、ユーザーも路頭に迷うことになってしまいます。

今回1日でアプリは復活したので、ユーザへの影響は最小限に収まりましたが、もし復活しなかったらユーザーは完全に離れてしまったはずでしょう。

プラットフォームの一存で!

プラットフォーマーが強いということを改めて感じました。AppleやGoogleの見解次第で、コンテンツを制作するコンテンツホルダーの生き死にがかかってくるわけです。

元々プラットフォームはコンテンツホルダーに対して非常に強い立場にいます。例えば日本のコンビニエンスストアやスーパーが、メーカーに対してどのくらい強い立場にいるかを考えるとわかりやすいです。

プラットフォームが独占されてしまうと、コンテンツホルダーにとっては不幸で、コンテンツビジネスが成立するぎりぎりの利益しか得ることができません。大部分の利益をプラットフォームに搾取されます。楽天の鵜飼ビジネスと同じ構造です。

日本でのプラットフォームは、AppleとGoogleの2大アプリ市場があるので、多少マシです。最近、楽天アプリ市場もサービスをスタートさせましたが、今のところ大きな影響力はなさそうです。

AppStoreのコンテンツの値上げ

2015年4月3日にAppleがAppStoreのコンテンツの価格改定を行い、全アプリやコンテンツの金額を一律20%値上げしました。

以前のエントリーで、iPhone 6が2度の値上げで約28%価格が上がり、為替レート上昇分の12.1%を大きく上回る値上げをしたことを書きました。

1ドル150円の世の中になると
iPhoneの実質値上げ iPhone6は2014年9月に登場以来、円安という名目で2回値上げをしています。 16GBモデルの価格推移を見てみると 67,800円(2014年9月) → 75,800円(2014年11月) → 86,800円...

海外で作られたiPhoneやMacbookが円安で値上がりするというのはわかりやすいのです。といってもiPhone 6は為替レート以上の値上げがあったのですが、為替は変動する以上、多少の幅はあってもまだ許せます。

腑に落ちないAppStoreのコンテンツの価格改定

ところが、AppStoreのコンテンツの価格改定は腑に落ちないものがあります。

Appleの理屈からすると、ドル建てなので、円安を反映したということなのでしょうが、
日本の会社が作ったソフトや、日本のコンテンツホルダーが作ったコンテンツも2割上がったのです。例えば、AppStoreで売られている「ヤングマガジン」など。国内の取引なのにドル建てというのもおかしな話ですね。

ネットの領域での円の支配力の低下

為替レート以上に値上がりしているiPhoneや、AppStoreの国内コンテンツの値上げという状況を見ると、Appleのようなグローバルプラットフォームにとって、日本の円という価値が下がっていて、ネットでの円の支配力が弱くなっているということです。

プラットフォームというのは強大な力を持っているので、コンテンツホルダーも我々ユーザーも、Appleの決めたルールに従うしかないというのが実情です。

スマートフォンはAppleのiOSとGoogleのAndroidの2択なので、どちらを選んでもグローバルプラットフォームの影響下に置かれることになりますね。