トランプ大統領が、一部の国の移民や難民の受け入れを拒否する入国制限令に署名したことが話題になっています。
対象となる国は、イラン、イラク、シリア、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンの7カ国です。実際、ニューヨークのJFK空港では、国境警備局職員によってイラク人2人が拘束されました。
グリーンカードを保有している人は入国できるようですが・・・
多国籍なIT企業はどうなる?
大手IT企業は、優秀なエンジニアが世界中から集ってきている多国籍チームです。
今後、多国籍な人材を確保しているIT企業はどうなるのでしょうか?
IT企業のエンジニアはグリーンカードを持っているはずなので、とりあえずは大丈夫だと思います。でも、Googleの187人の社員が、入国制限令の影響を受けたようですよ。
IT企業は、今回のトランプ大統領の入国制限令について、コメントを出しています。
米IT大手グーグルは、イスラム教国7カ国からの一般市民を90日間入国禁止にするトランプ政権の大統領令を受け、米国への入国が危ぶまれる7カ国出身社員の入国を支援する方針を明らかにした。米紙ウォールストリート・ジャーナル電子版などが28日、報じた。
グーグルのピチャイ最高経営責任者(CEO)が社員に宛てた電子メールで「もしあなたが米国外にいて、助けが必要なら社内の担当部署に連絡してください」と呼び掛けた。7カ国出身の社員は少なくとも187人いるという。
Apple
Appleのティム・クックCEOは1月28日(現地時間)、「Appleはこの政策を支持しません」と、従業員に向けてメッセージを書いた。そこでクックCEOは、「私たちは違う船でやってきた。しかし今は同じボートに乗っている」という、マーティン・ルーサー・キング牧師の言葉を引用。Appleでは、多様性と他者に対する共感力がチームを強くし、それが今後も変わることはないと強調した。
米Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは1月27日(現地時間)、同日にドナルド・トランプ米大統領が移民抑制に関する大統領令に署名したことに関し、自身のFacebook投稿で懸念を表明した。
Amazon
アマゾン(Amazon)は、イスラム圏7ヵ国からの市民を90日間入国禁止にし、難民受け入れを120日間凍結すると規定したドナルド・トランプ米大統領の大統領令を受け、米国への入国に支障の出かねない従業員を支援する方針を示した。
Calexitはどうなったの?
2016年11月の大統領選挙でトランプ氏が当選した後、#Calexit が、ソーシャルで拡散しました。
Calexitとは、アメリカからのカリフォルニア州の独立を目的としたワードです。以前のエントリーに詳しく書きましたので、よかったら読んで下さい。
トランプ氏の政策として掲げる「反移民政策」「人種差別的な発言」「女性蔑視の発言」「ジェンダー問題」に関して、大半のカリフォルニア州の住民は失望感を覚えているのです。
元々、カリフォルニア州は民主党の地盤ということもあって、リベラルな人が多いです。
カリフォルニア州は世界第6位の経済規模
さらに、カリフォルニア州の経済規模は、国家レベルで見ても世界第6位ですから。もし、アメリカから独立しても十分にやっていけることは間違いないです。
↓こんなツイートがありました。
カリフォルニア「トランプに命令されても不法移民排斥しない」
トランプ「だったら国→州の補助金終了」(脅し)。
カ州「だったら州から国への上納金終了」(合法性検討中)。
カ州→国への支払いの方が多い。独立運動かね— Chika (@chikawatanabe) 2017年1月29日
↓ニュースソース
California Could Cut Off Feds In Response To Trump Threats
今後、IT企業とアメリカ政府はどうなる?
IT企業のアメリカ政府に与える影響は大きいです。政治献金の額だってハンパないですから。
インターネット検索大手の米グーグルは最近、規制に手足を縛られた米投資銀行大手ゴールドマン・サックスを抜き、政治献金で米国最大の企業となった。
米国の経済成長を担うIT企業などの革新分野にとって、ワシントンはぶざまな場所でしかない。シリコンバレーの企業が本当に必要とする知的財産改革や技術者の移民問題に対し、ワシントンは何の解決策も講じられなかったのだ。
この結果、民主派との関係を長く保ってきたIT企業がその忠誠心を失いつつある。2010年には、国政選挙の民主党候補者はIT企業の政治活動委員会(PAC)から55%の献金を得ていた。ただ、今年は共和党に52%の献金が回ったのだ。政治的中立組織の「センター・フォー・レスポンシブ・ポリティックス」によると、民主党よりも共和党候補者により多くの献金を回した企業にはグーグルやフェイスブック、アマゾンなどが含まれるという。
個人情報でアメリカ政府に協力
少し前の記事ですが、NSAにIT企業は協力しています。
オバマ政権による極秘調査が、5日の英ガーディアン紙の「米国家安全保障局(NSA)が米電話会社ベライゾンの通話記録数百万件を毎日収集」とのスクープで明らかになった。翌6日には、米ワシントンポスト紙が「NSAと米連邦捜査局(FBI)が”PRISM”と呼ばれる極秘情報収集プログラムでインターネット上の個人情報を集めていた」ことを特報している。
しかも、この電子メールや動画、閲覧したサイトなどの個人情報を集めるプログラムには、世界中にユーザーのいる、マイクロソフト、アップル、グーグル、フェイスブックなどIT大手9社が任意で協力していた事実も明らかになっている。
FBIがアップルの協力なしで、ファルク容疑者のiPhoneを解除することに成功しました。これにより、FBIが裁判所へ要求した、アップルにロック解除のプログラムを開発しろと協力要請したケースは取り下げられました。
まとめ
今回のトランプ大統領による入国制限令は、グリーンカード所持者にはあまり影響がないようなので、大手IT企業の社員にはあまり影響がなさそうです。
とはいえ、今後、国家権力とIT企業は、様々なところで衝突しそう。
これから国家とグローバルプラットフォームの戦いが始まる予感がしますよね。
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