グーグルカーが新たな展開を迎えることになりました。
今までは、Google Xという社内プロジェクトとして開発を進めてきましたが、今後、Waymoという別会社として独立することになります。Waymoは、「A new way forward in mobility」から取っているようです。
早速、The Google self-driving car projectのサイトも、Waymoのサイトに変更されています。
Googleの親会社であるAlphabetが、自動運転技術を専門とする新企業Waymoを設立した。Googleが米国時間12月13日に発表した。
新企業のミッションは、「人間と物資を安全かつ容易に移送できるようにすること」だ。Googleの「Self-Driving Car Project」を統括していたJohn Krafcik氏が、Waymoの最高経営責任者(CEO)に就任する。
グーグルカーの仕組み
グーグルカーの仕組みについては、すでにご存じの方が多いと思いますが、かんたんに説明します。
グーグルカーがどうやって自動運転を制御しているかというと、車載されたセンサーとカメラで自車の周囲の状況を確認します。更にビームレーダーを64個搭載し、車の周りの詳細な3Dマップを作るのです。3Dマップと高解像度の衛星画像を照合し、自動運転の制御を行います。
電気自動車のコアとなる技術である、バッテリーマネジメントも、Googleにとっては非常に有利です。Androidで培ったバッテリー効率を最大化するという技術が、電気自動車にも活かせるからです。
自動車メーカーと提携するGoogleの戦略
グーグルカーの公道での実験走行は、運転席に熟練したドライバーが座り、助手席にGoogleのエンジニアが座って、グーグルカーに車載されたセンサーやカメラからのデータを収集しながら、走行状況を監視しています。基本的に人間のドライバーは運転することは無く、自動運転で走行しているのです。
でもね、グーグルカーが実用化されるには、人間が運転して走行している自動車に、高度なセンサーやカメラを取り付けて、ドライバーの動きを含めたデータ収集が絶対に必要です。
急に人が飛び出してきたときに、人間のドライバーならどんな動作をするのか?などのデータが自動運転には必要ですからね。
運転手の行動をデータ収集する
運転手が運転中、突然の判断を迫られた際、どんな行動を起こすのかといったデータを収集するには、既存の自動車メーカーと連携するのが手っ取り早いです。
だって、自動車メーカーが発売する自動車に、グーグルカーに搭載しているような高度なセンサーやカメラを搭載してデータを吸い上げればいいので。
データを吸い上げながら、少しずつでも自動運転できる領域を増やしていき、テスラがやっているようにOTA(Over The Air)で自動車のOSをアップデートしていく。このような地道な改善を行っていかないとグーグルカーの実用化は難しいと思います。
このようなアプローチを取るには、既存の自動車メーカーであるクライスラーと連携するというGoogleの戦略は極めて正しいですね。
2016年5月にGoogleとクライスラーは、提携を発表しています。当時の日経の記事を引用すると、
米グーグルの持ち株会社アルファベットと欧米自動車大手のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は3日、自動運転車の開発で提携すると発表した。FCAが提供するミニバン100台にグーグルの自動運転システムを搭載。公道実験用車両の数を2倍以上に増やし、開発を加速する。2009年にスタートしたグーグルの自動運転車開発計画は、事業化に向けまた一歩前進する。
グーグルが自動運転車の開発で、完成車メーカーと提携するのは初めて。ただ、FCAとの提携は独占的なものではなく、他の自動車メーカーと提携する可能性もある。
クライスラー以外にも、他の自動車メーカーとの連携の可能性を含んでいるあたり、さすがGoogleです。
自動車メーカーに自動運転装置をライセンス販売
今後、Googleは、グーグルカーによる自動運転の開発を進めながら、既存の自動車メーカーに自動運転装置をライセンス販売していくという戦略を取るだろうね。
MicrosoftがWindowsをPCハードメーカーに売り込んだように、またGoogleがAndroidを端末メーカーに売り込んだような戦略を取るはず。
グーグルカーを市販化するだけでは、なかなか市場でのシェアを取るには難しいはずなので。
Googleは、既存の自動車メーカーに自動運転装置を売り込んで、自動運転装置のトップシェアを目指すという方向に進んでいくと思います。
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