ドイツが本拠地の音楽共有プラットフォームのSoundCloudというサービスがあります。
アーティストが自由に作った音楽をアップロードでき、プロモーションもできるプラットフォームとして、世界中の様々なクリエイターから支持されてきました。
2007年にサービスが始まった当初は、もっともクールな音楽配信サービスと評判でしたが、ライセンスの問題でメジャーレーベルと揉めている間に、「Apple Music」などの定額制音楽配信サービスに先を越されてしまいました。
「SoundCloud」のテリトリーを侵した「Apple Music」
「SoundCloud」は、誰でも音楽をアップロードできることから、以前より「DJ」や「インディーズアーティスト」に人気がありました。彼らが「SoundCloud」へ「DJ MIXテープ」や「楽曲」をアップロードすれば、ファンとの交流もオンラインでできるため、ユーザーはコアな音楽好きな層が多かったです。
このテリトリーに「Apple Music」が入ってきました。
下記に「Apple Music」が実装した機能を羅列しますが、これを見ると「SoundCloud」に勝ち目はありません。
- インディーズのレーベルをたくさん集めました
- Apple Music Connect機能。ファンとアーティストがつながるエコシステムを構築
インディーズのアーチストたちはソーシャルな共有サービスConnectを利用して、楽曲やミュージックビデオだけでなく、オフステージ映像や写真などをApple Musicに公開することでファンに直接情報を届けることができます。 - GarageBandから直接、Apple Music Connectに作品を発表できる
- インターネットラジオサービスBeats1は、人気DJを招いて番組を提供する。
アップルがBBCから引き抜いいた人気DJゼイン・ロウがロサンゼルスから、ニューヨークからは音楽ディレクターのエブロ・ダーデン、ロンドンからはラッパー JME および Skepta の妹、ジュリー・アデヌガがメインDJとして音楽や独占インタビュー、ゲストを招いての番組などをを届けます。 - 「For You」機能。ユーザーが好んで聴くジャンル、アーティストのプレイリストを自動で編集再生。
- Siriを使った音楽検索
「SoundCloud」の現状を見る
先日「SoundCloud」も定額制音楽配信サービスを提供するというニュースが流れました。
SoundCloudがサブスクリプション型サービスを年内に正式開始へ。CTOが明言
音楽共有プラットフォームSoundCloudがいよいよサブスクリプション型サービスを今年後半に開始すると、共同創業者でCTOのエリック・ウォールフォース (Eric Wahlforss)がウォール・ストリート・ジャーナルに答えました。
「音楽のYouTube」と呼ばれてきたプラットフォームSoundCloudは、これまで大きなマネタイゼーションの戦略は打ち出していませんでした。サブスクリプション型サービスに本格参入する裏側には、長年に渡って権利関係者にロイヤリティが分配されてこなかったことへの非難の声が広がり、ソニー・ミュージックが一部のアーティストの楽曲を取り下げるなど、収益源拡大をレコード会社や投資家から迫られてきたことがあげられます。
まずは、「SoundCloud」の置かれている状況を見てみます。
「SoundCloud」の特徴
有名ミュージシャンから、インディーズまで、誰でも音楽をアップロードできます。
個別のURLを取得できるので、ブログなどのメディアに貼り付ける事ができます。
ミュージシャンとファンとの間でのコミュニケーションのツールとしても使えます。
「SoundCloud」の料金体系
無料ユーザーでも月に3時間アップロードできます。これで足りない場合、55ドル/年で毎月6時間、135ドル/年で無制限にアップロードが可能になります。
ダウンロードして聴く
sounddrain.com からできます。
このウェブサービスは、著作権を考えるとNGです。
これから「SoundCloud」が息を吹き返すには
マネタイズをしっかり行い、権利関係者にロイヤリティを分配します。
アーティストの作品に対して対価が支払われないことが、今までの一番大きな問題でした。
マネタイズの方法
「サブスクリプション」有料課金モデル
今まで、自由に曲をアップロードしたり聴けることから人気を集めてきたSoundCloudが、有料課金へシフトする際の障害は、無料ユーザーからどのように課金するかということです。
既存のユーザーから大きな不満が出るのは間違いないので。
ニコ動の戦略が参考になります。プレミアム会員200万人を超えてますから、単純計算で月額10.5億円ですからね。
広告モデル
音楽レーベルとの間で合意できるかどうかがポイントです。「Spotify」もここでつまずいてますからね。合意できないなら、有料課金モデルで進んだほうが良いです。
ニッチを狙う
「DJ MIX」
クラブDJの「DJ MIX」を充実させる。クールなジャンルに限定するなどの工夫。
ポッドキャスト
プラットフォームが確立されていないので、プラットフォーム化を図ります。
オーディオブックのプラットフォーム化
著作権切れのオーディオブックは、プラットフォームがバラバラで、しかも使いにくい現状があります。
例えば、日本で展開するなら、青空文庫のオーディオブック化など。
オーディオブックの有料サブスクリプションモデルは、2015年7月15日よりAmazon傘下のオーディオブックの定額聴き放題サービス「Audible」が日本で展開しました。ここともガチで戦っていかなければなりません。
品質の低下は免れない「サブスクリプションモデル」
「Apple Music」などの定額制音楽配信サービスでもっとも懸念すべきことは、品質の低下という問題です。
日本市場の場合、「LINE MUSIC」「AWA」もサービスを展開しており、価格の叩き合いになった場合、しわ寄せはミュージシャンやレーベルへ波及します。
「Mixcloud」
「SoundCloud」と同じようなサービスがすでにあります。
似たようなサービスが乱立する前に、一気に市場を押さえる戦略にでないと厳しいでしょうね。
先日米アマゾンから購入したChromebookが日本へ輸送中です。到着は7/30。到着が楽しみです。
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