以前からGoogleによるライドシェアへ参入する話はありましたが、ついにGoogleが本腰を入れました。
米アルファベット傘下のグーグルは、サンフランシスコで独自のライドシェアリング(相乗り)サービスを開始し、ウーバー・テクノロジーズの牙城に切り込む。通勤客に一段と割安な相乗りサービスを提供する計画だ。事情を知る関係者が明らかにした。
グーグルはカリフォルニア州の本社周辺で5月、特定の企業の従業員向けにカーナビ・交通情報アプリ「ウェイズ(Waze)」を使った通勤者向けの相乗りサービスの試験運用を開始した。この関係者によるとグーグルは今秋にも、サンフランシスコ地区でウェイズの全ユーザーにサービスを開放する計画だ。順調に行けばサービス拡充も見込んでいる。
Uberの主要株主であるGoogle
ご存じの方も多いと思いますが、Googleは Uberの主要株主です。
2013年のまだUberが小さかった頃、GoogleはUberに2億5800万ドル(約270億円)を出資しています。
Googleが事業を拡大にあたって投資先と競合する場合、完全に買収するか、自社でサービスを立ち上げるかということになります。
今回、Googleがライドシェア事業を始めるにあたって、Uberに派遣していた取締役を引っ込めることになりました。
グーグル(Google)のベテラン幹部で、現在は親会社アルファベット(Alphabet)で事業開発や投資部門の責任者を務めるデヴィッド・デュラモンド(David Drummond)氏が、3年前から務めてきたウーバー(Uber)の社外取締役を辞任したことが米国時間29日に明らかになった。自動運転車関連の技術・事業開発をめぐる両社の亀裂の深まりを物語る出来事として、複数の媒体でこのニュースが採り上げられている。
また、グーグルは同社が買収した「Waze」のサービスを利用したライドシェアリングの実験にも乗りだしているほか、物品の集配サービス分野でもウーバーと競合関係にある。
Wazeとは?
今回、Googleによるライドシェアは、Wazeを活用すると言われています。
Wazeは、渋滞情報・道路状況・スピード違反検知・ガソリンスタンドなどの情報を、ソーシャルでシェアできるカーナビアプリです。実際に道路を運転しているユーザーからのリアルタイムの情報なので、情報の鮮度が高いというのがポイントです。
でも、運転中にスマホを操作することになるので結構危ないかも・・
早く、音声入力などで、代替できるようになるんだろうね。
試してみたい方は、アプリをダウンロードしてみてください。iOSアプリはカクカクして使い物になりませんが、Androidアプリはサクサク動きます。結構露骨で笑えます。
ちなみに、Wazeは2013年にGoogleが買収したイスラエルのスタートアップです。
Waze設立の地であるイスラエルでビジネス紙The Globesが現地時間6月9日に報じたところによると、Googleは「近いうちに」Wazeを13億ドルで買収することで同社と合意する見通しだという。
カーナビアプリの機能1つにライドシェアを組み込むの?
Wazeは、ルート情報やリアルタイム情報を提供する点において、他のカーナビアプリと同様です。が、ユーザーの運転時間を学習する点が大きく異なります。Googleの人工知能と組み合わせることで、より正確な運転時間をユーザーに提供できるようになるはず。
元々カーナビアプリなので、その中の追加機能として「ライドシェア」を組み込むことになるんだろうね。今後の展開が楽しみです。
なぜGoogleはライドシェアに参入するのか?
「Google Map」「自動運転システム」「配車サービス」の相性が良いためです。
すでにGoogleでは、「Google Map」「自動運転システム」の分野では大きなアドバンテージを持っています。加えて「配車サービス」のテクノロジーも陳腐化してきたことも影響しているはずです。
「配車サービス」の事業展開には、「Google Map」「自動運転システム」のテクノロジーが不可欠なので、UberやLyftが持っているシェアをGoogleが奪うということも十分考えられます。Googleの参入によって、業界は大きく変わるだろうね。
「Google Map」
今後、Googleが様々な事業を展開するにあたって、Googleマップを持っていることは、強みになります。
例えば、Google傘下のナイアンティックによる「ポケモンGO」のような位置ゲームにもGoogleマップのデータが活用されているし、トリップアドバイザーだってGoogleマップを使っていますからね。
「自動運転システム」
自動運転システムについても、Googleは2010年からグーグルカーの実験走行を行っています。グーグルカーは190万キロメートルの走行距離を入っているので、Googleが持っている自動運転のデータは半端ないです。
「配車サービス」
Googleによる配車サービスについては、第一段階としてWazeを使っていきます。
うまく事業が展開できれば、今後、単独のアプリを出すことになるでしょう。
Googleの依存度を下げたいUber
Uberの時価総額は、2015年12月の時点で、なんと7.5兆円。
とはいえ、UberがGoogleマップを使っている点と、2億5800万ドルの投資をGoogleから受けている点を考慮すれば、Googleへの依存度を下げたいと考えていることは間違いないです。
現時点におけるUberの状況は、Googleに首根っこを掴まれているようなものですからね。
この状況を脱すべく、Uberでは様々な取り組みを行っています。
独自地図の開発
Uberが使っているのは、Googleマップです。Googleマップへの依存度を下げるために、以前から自社でマップ制作を始めるような動きがあります。時系列で見ていきましょう。
2015年3月 Uber、地図および検索技術を手掛ける新興企業deCartaを買収へ
2015年6月 Uber、「Bing」の地図関連資産をマイクロソフトから買収
2015年11月 米ユーバー、地図データ関連で蘭トムトムと提携
2016年8月 Uber、独自の地図作成に5億ドル投資か–グーグル依存からの脱却目指す
自動運転システムの開発
スウェーデンの高級車大手、ボルボ・カーは18日、ライドシェア(相乗り)サービス大手の米ウーバーテクノロジーズと自動運転車を共同開発すると発表した。投資額は計3億ドル(約300億円)。両社は長期の提携としており、ウーバーは自動運転の相乗りサービス、ボルボは完全自動運転車の実用化を目指す。
2016年8月 ボルボ、米ウーバーと自動運転車開発 300億円投資
すでに、ピッツバーグで自動運転中のUberタクシは走っているようです。
Pittsburgh has self-driving Ubers!!!! I have never wanted so badly to enter a strange car pic.twitter.com/VP9bPJ0T3r
— Helen Rosner (@hels) 2016年8月26日
技術が陳腐化しつつある自動運転タクシー
ものすごい勢いで自動運転タクシーの技術は陳腐化しています。
まずは規制の緩いシンガポールで、自動運転タクシーのサービスが始まるということなのでしょう。
MITのロボット工学の教授が立ち上げた自動運転技術企業nuTonomyが、Uberより一足先に、世界初の“ロボタクシー”の公開実験をシンガポールの市街地で開始した。2018年にはシンガポールでサービスを開始する計画だ。
この速度でテクノロジーが進んでいくと、2020年の東京オリンピックの際に、東京で自動運転タクシーが登場するのも、現実味を帯びてきましたね。
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