一昔前と比べると、Skypeを使っているユーザーを見なくなりました。
2005年にサービスがローンチされた時は、他に似たようなサービスはなく、Skypeの独占状態でした。Skype同士の通話は無料だったし、国際電話も格安でしたからね。
当時は一世を風靡していたと思うんだよね。
その後、Skypeは衰退していきます。
少し古いデータで恐縮ですが、2015年3月時点での、メッセージアプリのアクティブユーザー数を見ると、Skypeは5位で3億人と、トップの座から引きずり降ろされてしまっていますね。
今日のエントリーは、なぜSkypeは衰退したのかについて考えてみます。
Skypeの歴史
まずは、Skypeの歴史から。
- 2003年 Skype設立。ベータ版がリリース
- 2004年 正式版がリリース
- 2005年 イーベイの子会社になる
- 2006年 ビデオ通話のサービスが開始
- 2008年 10億ダウンロードを達成。このあたりがピークかな?
- 2011年 マイクロソフトが買収
Skypeとは
Skypeとは造語で、「Sky peer-to-peer」の略です。
2003年にKazaaの開発者であるニコラス・センストロムとヤヌス・フリスがエストニアで開発しました。
Kazaaとは、peer-to-peer ( ピア・ツー・ピアのファイル ) 共有ソフトのことで、Skypeの前身というと分かりやすいでしょう。
当時のニュースを見てみましょう。
Kazaaの創業者を含む開発チームメンバーがP2P技術を使用したインスタントメッセンジャー(IM)電話「Skype」を開発し、ベータ版の配布を始めた。この英語ベータ版はWindows 2000/XPに対応し現在ダウンロード可能だ。
Skypeは、IMの電話機能を大幅に強化したアプリケーションで、通常の電話やIMアプリケーションに搭載されているIP電話よりも音質が良いとされ、通信をAES256ビットで暗号化できる機能を持つ。さらにMSN Messenger、ICQ、Yahoo Messengerなどは、ファイアウォールやNATを利用している場合、電話機能のために複雑な設定が必要であったり利用できないことが多いが、SkypeはファイアウォールやNATがあっても簡単に電話機能を利用できるという。
Skypeでは、Kazaaで使用されたP2Pネットワーク「FastTrack」で培った技術をさらに改良し、P2Pネットワークでありながら全てのノードを最短時間で検索できるグローバルユーザーディレクトリを構築した。そのためインターネット電話に必要なユーザーディレクトリサーバーが必要ないという。さらに、P2Pネットワークを通して音声通話を行なうため、ルーティングアルゴリズムを効率化した。
peer-to-peerとは
peer-to-peerとは、ネットワークに接続された複数のコンピューター ( peer ) 同士が通信をするネットワークの形態です。
自律分散型のネットワークの一種です。
peer同士が通信をするため、サーバは決まってなく、peer-to-peerで通信をするインターネットユーザー同士で、ネットワークを形成することも可能です。
peer-to-peerからクラウドに移行したSkype
Skypeは、2003年にローンチされてから、ずっとpeer-to-peerでサービスを提供していました。
ところが、Microsoftに買収されてから、クラウドサービスに移行し、2016年には完全にクラウドサービスとなりました。
Skypeが衰退した理由
一番大きな原因は、ユーザーの使い勝手を全く考えなかったことです。
特に2011年にMicrosoftに買収されてからは、UIを含めた使い勝手は最悪だったもん。Microsoftに買収されてから、Skypeは衰退の道を進むことになります。
以下、Skypeが衰退した理由です。
- アプリの使い勝手が最悪
- LINEやMessengerなどの代替アプリの登場
- スマホ対応が遅れた
- ファイル転送サイズに制限を設けた
- Skypeクレジットの有効期限が180日と短く、更新が面倒
アプリの使い勝手が最悪
Microsoftは、Windows10も含めて、とにかく使いにくいUIを作ります。
Google検索で、「Skype 衰退」と検索すると、関連するキーワードに「Skype 改悪 2017」「Skype 最新バージョン 使いづらい 2017」「Skype アプリ 改悪」などが並びます。よく検索されるということですね。
LINEやFacebookなどの代替アプリの登場
2011年にLINEや、Facebook Messenger、WeChatが登場して、Skypeの代替アプリが次々に登場します。2014年にはWhatsAppがFacebookに買収されて、勢いを増していきます。
スマホ対応が遅れた
スマホ対応が遅れ、とにかくスマホのアプリが使いにくいです。
プッシュ通知も、来たり来なかったりと使い勝手はイマイチ。
ファイル転送サイズに制限を設けた
以前はファイル転送サイズに制限はありませんでしたが、現在は300MB以下でないと送信できません。
Microsoftは、300MB以上のファイルはOneDriveで共有するようにアナウンスしています。が、OneDriveのMac版のアプリの使い勝手は最悪で、OS起動と同時に立ち上がるアプリケーションなのに、毎回サインインを求められました。私はもう2度と使いたくないですね。
Skypeクレジットの有効期限が180日と短く、更新が面倒
これは早く改善して欲しいです。マジで使いづらいですから。
先日のエントリーで、無料でSkypeクレジットの有効期限を延長する方法を書きましたので、良かったら見てください。
さいごに
以上、Skypeが衰退した理由についてでした。
インターネットサービスは、ユーザーの使い勝手を上げる努力をしなくなったら、ユーザーは離れていきます。
Microfoftに買収されたのが、Skypeにとって不幸だったのです。Microsoftは、WindowsやOfficeで圧倒的なシェアを持っているので、UIやUXを向上させる視点が足りないのかも。
Microsoftが過去にWindowsやOfficeで得た成功体験ではなく、Skypeは別の発想でサービス展開していかないとダメだと思いますけどね。
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