滋賀県のホームページがとんでもないことになっています。
3月にリニューアルを行いましたが、失敗した模様です。県民からは次のような不満が寄せられています。
- リダイレクトしていないので、古いURLがリンク切れで繋がらない
- 検索結果に表示されるページにアクセスできない
- サイトの設計が悪く、カテゴリに期待しているコンテンツが表示されない
- UIがイマイチで使いにくい
- 画像処理が荒い
実際に滋賀県のサイト見てみました。ひどい仕事なので、リニューアルを行った会社に弁解の余地はありません。でも、発注者の滋賀県にも問題があると思われます。
いろいろと調べたところ、2013年に滋賀県はドメインを変更していますが、その際も301リダイレクトを行わなかった模様です。今回で2回目なので、業者だけでなく滋賀県にも問題がありそうです。
滋賀県のホームページを検証したので、サイトやリニューアルの問題点を上げていこうと思います。また2013年のドメインを変更した際に301リダイレクトを行っていないので、その点についても言及します。
リニューアルでURLを変更したのに、301リダイレクトは行われていない
今回の滋賀県のホームページリニューアルでは、URLが変更されたにも関わらず、301リダイレクトは行われておりません。
旧URLにアクセスすると404が返ってきます。「site:検索」したところ、検索結果10件中ホームページが表示できたのはトップページだけ。残りの9件は404が返っています。
現在のところ、滋賀県のホームページには次の問題が発生しています。
- 検索結果に旧URLのキャッシュは残っているため、検索結果からアクセスすると404が返ってしまう
- ブックマークに旧URLを保存しているユーザーからのアクセスに404が返ってしまう
ウェブサイトのリニューアルの際、URLはどうすればいいのか?
一般的にウェブサイトのリニューアルを行う際、同じ内容のページであれば、URLを変更する必要はありません。
URLを変更すると、次の問題が発生します。
- 旧URLの評価を新URLに引き継ぐことができない
- クローラは旧URLにアクセスし続けるので、コンテンツがなければエラーが表示される
- 旧URLをブックマークに登録していたユーザーが、新URLにアクセスできない
どうしてもURLを変更する場合、301リダイレクトを行います。301リダイレクトを行えば、URLを変更した際に発生する問題を解消できます。でも今回の滋賀県のウェブサイトのリニューアルでは、301リダイレクトが行われていないので、様々な問題が発生しています。
今回のリニューアルは、URLを変更する必要はありませんでした。
変更されなかったURLと変更されたURL
今回の滋賀県のリニューアルでは、変更されたURLと変更されなかったURLがあります。
といってもほとんどのページのURLは変更されており、僕が確認した限り変更されなかったURLはごく一部のURLだけでした。
URLが変更されなかったページ
URLが変更されなかったページを見ていきましょう。
トップページ
トップページは変更されておりません。まあ当たり前ですよね。
- https://www.pref.shiga.lg.jp
滋賀県教育委員会の一覧ページ
滋賀県教育委員会の一覧ページのURLは変更されておりません。
- https://www.pref.shiga.lg.jp/edu/
でもURLが変更されなかったのは滋賀県教育委員会の一覧ページだけで、/edu/以下の階層のページはURLが変更されています。リンクをクリックすると、確認した限りすべてのページで404が返ってきました。
滋賀県選挙管理委員会の一覧ページ
滋賀県教育委員会の一覧ページのURLも変更されておりません。
- http://www.pref.shiga.lg.jp/senkyo/
こちらも教育委員会と同様、/senkyo/以下の階層のページはURLが変更されており、301リダイレクトは行われておりませんので、ほとんどすべてのページで404が返ってきます。
URLが変更されたページ
多くのページやカテゴリでURLは変更されています。
一例として「しごと・産業」のカテゴリを見ていきましょう。
「しごと・産業」のカテゴリ
「しごと・産業」のカテゴリは、カテゴリの一覧ページだけでなく、その下の階層のページもすべてURLが変更されています。301リダイレクトは行われておりませんので、404が返ってきます。
- リニューアル前・・・http://www.pref.shiga.lg.jp/shigoto/index.html
- リニューアル後・・・https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/shigotosangyou/
また、上記に限らず、その他のカテゴリのページも、URLが変更されておりますので、ページにアクセスすることはできません。
URLを変更する必要は全くありませんでした。
サイトの階層が適切ではない
滋賀県のホームページに限った話ではありませんが、行政のホームページはサイトの階層が適切でないケースが良くみられます。
特に、別組織である行政委員会のページが、サブディレクトリにあるケースが非常に多く、これは適切であるとはいえません。
行政委員会のページの階層がおかしい
滋賀県行政委員会のページの階層がおかしいので見ていきます。
行政委員会とは、教育委員会・選挙管理委員会・監査委員・農業委員会などがあり、行政とは別の組織です。行政委員会は、県の職員が出向している点や、県庁の中にあることが多いので、県と同じ組織だと勘違いしている方も多いのですが、県から独立した組織です。県の職員が教育委員会に移動する場合は、出向の辞令をもらうことになります。
この前提で、滋賀県教育委員会と東京都教育委員会を比較してみます。
そのように考えると、滋賀県のように教育委員会のページがサブディレクトリにあるのはおかしい話です。東京都のようにサブドメインにあった方が分かりやすいですよね?
- 滋賀県教育委員会・・・サブディレクトリ (https://www.pref.shiga.lg.jp/edu/)
- 東京都教育委員会・・・サブドメイン(http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/)
要件定義をした行政に問題がなかったのか?
ここまでひどいリニューアルを見ると、行政側できちんとした要件定義があったのか疑ってしまいます。
最低でも以下の項目について、行政が仕様を策定したり、要件定義できるだけの知識があったのかは甚だ疑問です。
- リニューアルの目的を達成できる要件定義を行政が作成したのか?
- 予算1000万円が妥当なものか?
- なぜ徳島県が採用している「BayBerry」というCMSを使ったのか?
- URLを変更する仕様は誰が提案したのか?
- URLを変更する話で進んでいたのであれば、なぜ301リダイレクトを行っていないのか?
- 旧URLから新URLのマッピングは作成したのか?
- 「公募型プロポーザル方式」で米原市のIT会社が受注したが、実際のリニューアルは徳島県の業者に再委託していたことを県は承知していたのか
- 行政の職員は、ウェブに関する知識をどの程度持っていたのか?
- 中間で検査はあったのか?
滋賀県は2013年にドメインを変更していた
なぜ要件定義や行政に問題があるのではと疑ったかというと、滋賀県は2013年にドメインを変更した際も、301リダイレクトを行わなかったからです。
- https://www.pref.shiga.jp/ → https://www.pref.shiga.lg.jp/
以前のURLをブラウザに入れると、次の画像が表示されアクセスできません。
ドメインを変更するとURLが変わってしまうのですが、当時の滋賀県のアナウンスを見ると、そこまで考えているようには思えません。実際301リダイレクトも行っていませんからね。
平成25年2月1日に滋賀県ホームページがリニューアルされ、URLが変更となりました。
お手数をおかけしますが、以下のとおりURLを入力しなおすか、主要ページへのリンクからお進みください。また、リンクや「お気に入り」を登録されている場合は変更をお願いいたします。「shiga」と「.jp」の間に「.lg(エル・ジー)」を追加しました。旧ページのアドレスに「.lg」を挿入すれば新ページにジャンプできます。
例: (旧ページ) http://www.pref.shiga.jp/chiji/index.html→ (新ページ) http://www.pref.shiga.lg.jp/chiji/index.html(「.lg」以外は同じ)
「.lg(エル・ジー)」を追加しただけと、ずいぶん簡単に言ってますが、せめて301リダイレクトはやって欲しかった。
このときリニューアルした業者も悪いのですが、滋賀県にも責任はあります。
滋賀県の担当者が、ウェブサイトのリニューアルはどうすれば成功するのかを勉強しておけば、このようなことは起こらなかったはずです。
リニューアル前のホームページに戻すことも検討すべき
今回、滋賀県のホームページのリニューアルは、ネット上で失敗だったと叩かれています。
実際、滋賀県はホームページのリニューアルに伴う不具合について謝罪しています。
より見やすく、便利にするため、緊急対策チームを設け、急ぎ対応が必要な点については、全庁的な改善作業を進めております。まずは、6月中をめどに、トップページを見やすくし、組織からも記事ページを探せるように改善します。また、タイトルや記事の掲載場所の整理も行ってまいります。
また、その後においても、専門家の方や県民の皆様からのご意見をいただく場を設け、いただいたご意見を基に、できる限り対応していきます。
今回のようにリニューアルで失敗したホームページに対して、素人の意見を取り入れて修正していくと、多くのケースでは更に失敗します。
住宅に例えるなら、素人の意見を聞きながら増改築を繰り返すみたいな話になるからです。
思い切ってリニューアル前のホームページに戻すことも検討するべきです。
さいごに
以上、滋賀県のホームページを検証してサイトやリニューアルの問題点を上げました。また2013年のドメインを変更した際の301リダイレクトを行っていなかったことについても言及しました。
個人的には、リニューアル前の元の状態に戻すのが最善策だと思います。
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