iMessage と FaceTime の仕組みは、通信キャリアにとって脅威だと思いませんか?
今日のエントリーは、iMessage と FaceTime の仕組みのどんな点が通信キャリアに脅威なのかお話します。
iMessageが通信会社にとって脅威な点
iMessageを使うと、「SMS」「Apple ID」「メールアドレス」でメッセージのやりとりが可能です。
iMessageが通信会社にとって脅威なのは、SMSでメッセージを送ると、相手がiPhoneユーザーかどうかを自動で判別して、iPhoneユーザーならば無料でメッセージを送信する点です。
通常SMSは3円かかるでしょ?
SMSで送信した際、「iMessage」でメッセージを送信できると、メッセージが青くなります。それに対してAndroidユーザーやガラケーユーザーに送信した場合は、メッセージは緑色です。メッセージの色で、相手がどんな端末を使っているか分かる点も面白いですよね。
「iMessage」でメッセージを送る場合、データ通信でやり取りしますので、無料で画像や動画を送ることができます。相手がAndroidユーザー、ガラケーユーザーだと、画像や動画は送信できません。
iMessegeは、送信先の端末やApple IDを自動で判別しています。iCloudサーバに登録された情報と照合しているのだと思います。以前のエントリーに詳しく書いたので、興味のある方はぜひご覧ください。
iPhoneでSMSで送信した場合、相手がApple IDでログインしているiPhoneだと、SMSではなくiMessageで送信されます。AndroidやガラケーだとSMSで送信されます。
この点について、どういう仕組みなのかよく分からない方もいると思います。Appleに確認したところ、Appleのサーバーに、iPhoneユーザーの電話番号やメールアドレスが登録されているため、メッセージを送ったタイミングで、SMSかiMessageを自動識別している模様です。iPhoneユーザー同士の場合、SMSがiMessageに変換されて送信されることになります。
- 友人にSMSを送った場合、相手がiOSだとiMessageで送信されます。この場合無料で送信されます。
- 相手がAndroidやガラケーだと、SMSで送信されます。SMSだと1件あたりの料金が発生します。
Androidに採用された次世代メッセージサービス「RCS」と相互にメッセージのやり取りが出来るとユーザーは便利
Androidで「RCS」が導入されると、電話番号を使って、LINEやMessengerのようなリッチなコンテンツをメッセージでやり取りできるようになります。
iMessegeと「RCS」で相互にメッセージをやり取りできるようになるといいですよね。AndroidにもiMessageのような機能があるとユーザーは便利だし、iOSとシームレスにメッセージのやり取りができると更に便利です。
Androidに採用された次世代メッセージサービス「RCS」については、先日のエントリーに詳しく書きました。
SMSを代替する規格ですので、電話番号だけでやり取りができるのが特徴です。異なる携帯キャリアの電話番号に対しても、テキストだけでなく、画像・動画を送ることが可能です。
GSMAのサイトによれば、27ヶ国で50社の通信事業者が「RCS」をすでに導入している模様です。今後1年間で30ヶ国、40社以上の通信事業者が参加する予定とのことです。
FaceTimeが通信会社にとって脅威な点
FaceTimeを使うとiPhone同士ならば、無料で音声通話やビデオ通話が可能です。
LINEの無料通話をイメージすると分かりやすいと思います。データ通信を使って通話するので、電話代はかかりません。かかるのはデータ通信のみ。
LINEやMessengerでも同様のことはできますが、FaceTimeが通信会社にとって脅威な点は、電話アプリと連絡先アプリにFaceTimeを組み込んでいる点です。
電話アプリと連絡先アプリに統合されているFaceTime
FaceTimeは単独のアプリもあるので、アプリ経由じゃないとFaceTimeを利用できないと思っているユーザーは多いのですが、実は違います。FaceTimeは電話アプリと連絡先アプリに統合されています。
どういうことかというと、連絡先アプリで通話したい相手を探します。その相手がiPhoneユーザーの場合、連絡先アプリにFaceTimeの項目が表示され、隣に通話アイコンが出てきます。
通話アイコンをタップすれば、FaceTimeで無料通話が可能です。
ユーザーは、通常の電話とFaceTimeでの通話の違いを意識せずに利用できる
FaceTimeの優れたところは、ユーザーは、通常の電話とFaceTimeでの通話の違いを意識せずに利用できる点です。
Appleは、通常の電話とFaceTimeでの通話の違いは分からないように、UXの設計をしているのです。
- 通話する側・・・連絡先からFaceTimeの横の通話アイコンをタップするだけです。
- 相手側・・・通常の電話もFaceTimeも、同じように通話を受けることが可能です。デフォルトの設定では、UXの違いはありませんからね。
通常の電話とFaceTimeの仕組みの違い
iPhoneユーザーが通話する際、通常の電話とFaceTimeの違いを感じることはありません。
ですが、実際の仕組みは異なります。
- 通常の電話・・・通信キャリアの携帯電話用の無線基地局を経由して通話します。通話時間に応じて電話代がかかります。
- FaceTime・・・パケット通信で通話します。データ通信を消費しますが、通話は無料です。
今後のFaceTimeに期待したいこと
相手がiOSユーザーかAndroidユーザーかの判別は、すでにiMessegeで自動で行っています。
なので、通話アイコンは1つに統合して、通常の電話とFaceTimeの判別も自動で行って欲しいですね。連絡先の通話ボタンは1つにして、iOSユーザーならば自動でFaceTimeで通話発信してくれると嬉しいです。
ただし、国土の狭い日本ではレアなケースですが、FaceTimeはパケット通信を使って通話するので、相手がパケット通信できない環境にいると通話できない問題が発生します。
さいごに
以上、iMessage と FaceTime の仕組みは、通信キャリアにとって脅威だなと思う件についてでした。
Appleが凄いのは、以下の2点。
- SMSでメッセージを送ると、相手がiPhoneユーザーかどうかを自動で判別して、iPhoneユーザーには無料でiMessageを送信すること。
- 通話する場合も、連絡先アプリと通話アプリにFaceTimeが組み込まれているので、電話と同じ手順で、FaceTimeを使って無料通話ができること。
日本のキャリアの場合、かけ放題がデフォルトなのでFaceTimeを使うユーザーは少ないかもしれません。
でも、ユーザーがiMessageやFaceTimeをもっと使うようになれば、通信キャリアにとって脅威になることは間違いありません。日本は6割がiPhoneユーザーですからね。
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