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キャリアが下取りしているスマホは、どこへ行くのか?

AndroidiPhone

キャリアが下取りしているスマホは、どこへ行くのかご存知ですか?

docomo、au、ソフトバンクでは、スマホの下取りを積極的に行っていますよね。

iPhoneの場合、ユーザーは機種変更の際に下取りに出せば、docomoならば最大46000円が割引、auが40500円の割引、ソフトバンクが26400円の割引を実施しています。

iPhone本体の程度によって下取り金額はばらつきますが、docomoでの下取り価格を見てみましょう。

  • iPhone 7 Plus 46000円
  • iPhone 7 34000円
  • iPhone 6s Plus 26000円
  • iPhone 6s 22000円
  • iPhone SE 17000円

メルカリやヤフオクで自分で売却する程ではありませんが、かなり高値で購入してくれます。

でもね、キャリアが下取りをしたiPhoneは、日本国内に再流通することはありません。
国内で中古端末として販売されるのであれば、リユースという観点からも望ましいと思いますけどね。

では一体どこに行くのかというと、ほとんど全て、海外の中古市場に流れているのです。

国内中古スマートフォンの主な流通経路

モバイル市場の公正競争促進に関する検討会 第1回会合事務局説明資料

今日のエントリーでは、キャリアが下取りしているiPhoneが海外市場に流れている現状についてお話します。

なぜ、大手キャリアはスマホを下取りするようになったのか?

理由は2つあります。

  • 総務省による実質0円を禁止するガイドラインが策定された
  • 世界の中古スマホ市場が拡大している

大手キャリアの利益にかける情熱は凄まじいものがありますね。
大手キャリアにとって、総務省による実質0円を禁止するガイドラインは、大きな痛手になったはず。実質0円の代替策として、2年落ちの中古スマホを下取りすることで、実質ユーザーへの値引きとし、さらに下取りをしたスマホを新興国へ高値で売りぬくというスキームを考えたのですからね。

総務省による実質0円を禁止するガイドラインが策定された

総務省の実質0円を禁止するガイドラインで、大手キャリアは端末の値引きができなくなったため、大手キャリアはユーザーの端末を下取りすることで、実質の値引きをするようになったのです。

新興国で中古スマホ市場が拡大している

IDCの調査では、中古スマホ市場は拡大しており、2020年に2億2260万台を出荷する模様です。

IDCは、中古スマートフォン市場に関する調査結果を発表した。それによると、全世界における中古および整備済みスマートフォンの出荷台数は、2015年に8130万台だったが、2020年には2億2260万台まで増えるという。

世界で拡大する中古スマホ市場、2020年に2億2260万台を出荷–300億ドル市場に

ユーザーから下取りをしたiPhoneは、SIMロックを解除して、需要のある新興国へ売却することで、下取り以上の金額を手にすることができるのです。

新興国へ中古iPhoneを売却して儲かるのか?

果たして、物価の安い新興国へ中古iPhoneを売却して儲かるのでしょうか?

次のような、からくりがあるのです。

インド市場にiPhoneを供給する大手キャリア

大手キャリアが下取りをしたiPhoneの一部は、新興国であるインドへ供給されています。

インドはスマホに高額な輸入関税をかけているので、新品のiPhoneが高価ことで有名です。

iPhone X 64GBが92,430ルピーなので約162,000円。日本で購入すれば121,824円なので4万円も高いのです。

iPhone SEの工場がインドにはあるので、関税はかからないとはいえ、iPhone SE 32GBが35,000ルピーなので約61000円。日本では42,984円なので、約18000円も高い計算になります。

インドの平均所得は月収507ドルというデータを見れば、新品のiPhoneを一括で購入できるのは、ごく一部のお金持ちだけでしょう。
iPhoneの場合、新品を買うことが出来ない層が、中古品を購入することになります。iPhoneの場合、Androidのように廉価版の安いモデルがないので、iPhoneの中古が廉価版の役目を果たしているのです。

iPhone SEを見てみると、docomoでの下取りが17000円です。下取りしたiPhoneをインドに持っていき、2.5倍の値段で販売しても42500円ですので、インドへ中古のiPhoneを輸出するというビジネスが成り立つことが分かります。

ブライトスターが世界各国に転売

ブライトスターは、米国フロリダ州に本社を構える世界最大の端末卸売業者です。
2014年からソフトバンクの子会社となっています。

55カ国に拠点を持ち、100社以上の端末メーカーと取引をしています。
先進国でスマホを仕入れ、新興国で販売するビジネスに力を入れています。

ブライトスターが、SIMロックを解除して、日本国内で下取りをしたスマホを海外で販売しています。

なぜ、下取りをしたスマホが国内で流通しないのか?

下取りをしたスマホが日本国内で流通すれば、新しいスマホが売れなくなるからです。

さらに大手キャリアは、下取りしたスマホを国内で流通させないことで、2重に利益を上げることができます。

  • 下取りユーザーに新規端末を売る利益
  • 2年落ちのスマホを、海外の新興国の市場で売る利益

僕は、2年落ちのスマホをインドなどの新興国で高値で売りぬくビジネスモデルに反対です。
先程書きましたが、インド人の平均月給は507ドルですよ。物価が日本よりも遥かに安い国に、日本で仕入れた中古iPhoneを何倍もの値段で売っているのはどうかと思います。

2年落ちのスマホは、快適に使えるのか?

2018年1月現在で、iPhone 6sが2年落ちのスマホになります。
僕の妻が使っていますが、それなりに快適に使えます。3年落ちとなったiPhone 6は、かなり動作が遅いですけどね。

快適に使えるから、メルカリやヤフオクで2年落ちのiPhone 6sが流通しているのです。

さいごに

以上、キャリアが下取りしているiPhoneが海外市場に流れている現状についてでした。

大手キャリアは、利益に対して貪欲です。経済合理性を追求しているのだろうけど、僕は全く共感できません。

あと、スマホのことがよく分からない情報弱者である高齢者と、2年縛りなどの複雑な契約をすることにも反対です。

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