WWDC 2017が始まりました。
今回は新しいハードウェアがいくつか発表されましたが、一番の注目株は、Siriを内蔵した音声アシスタント「HomePod」です。
音声アシスタントはAmazonが先行しています。2014年にAmazon Echoが登場しているし、2016年にはGoogleからGoogle Homeも登場しています。「HomePod」の発売は2017年12月を予定している模様。
最後発だけあって「HomePod」はハイエンドなスピーカーという武器を引き下げて登場しました。とにかく音質にこだわって設計されているのです。
「HomePod」の特徴
「HomePod」は、リビングに設置することで、ユーザーの問いかけに応答する音声アシスタントとして利用できます。天気を聞いたり、検索エンジンで何かを調べたりと言ったことが可能です。
Apple Musicと連携しているため、聞きたい曲を音声で選曲したり、かかっている曲のアーティストを尋ねれば教えてくれます。
またHomeKitにも対応しているため、エアコンのON/OFF、照明のON/OFF、ガレージの開閉など、HomeKitに対応した機器を音声で操作することが可能です。
「HomePod」のスペック
「HomePod」のスペックを見てみましょう。音質にこだわっているので、やたらとハイスペックです。
- A8プロセッサ
- 7つのツィーター
- サブウーファー
- 6つのマイク
- ビームフォーミング
- リアルタイムアコースティックモデリング機能
A8プロセッサーは、iPhone6にも搭載されているCPUなので、Amazon EchoやGoogle Homeと比較すると、桁違いのプロセッサを搭載していることになります。
7つのツィーター、サブウーファーは非常にハイエンドのものを搭載しています。
「HomePod」に採用されたビームフォーミングとは?
ビームフォーミングという技術は、Wi-Fi機器によく搭載されており、Wi-Fiの親機から子機へ電波を届ける際、子機の場所や位置を正確に判断して、親機から子機へ電波を最適に届ける技術です。
例えば、IEEE802.11acで通信する際、受信する子機の端末を検出して、子機に向かってWi-Fiの電波を送ったりとかね。
転送速度は早くなるし、電波の安定性も上がります。
「HomePod」に採用されたビームフォーミングとは、一定の方向に電波の指向性を高める技術のことを指します。
ビームフォーミングは、ターゲット方向へ電波を発信しますが、ターゲットにしない方向には電波を減衰して、ビームを形成していくのです。
ビームフォーミングによりリッチなサウンドを奏でることが可能
この技術によって、特定の方向のみに音が広がっていくので、リッチなサウンドを奏でることが可能です。部屋のどこにいても良い音が楽しめます。
リアルタイムアコースティックモデリング機能とは
リアルタイムアコースティックモデリング機能とは、部屋のレイアウトを自動認識する技術です。そのため「HomePod」は、音を反射する壁の位置などの部屋のレイアウトを自動認識します。
ビームフォーミングとリアルタイムアコースティックモデリング機能が組み合わさることで、部屋のどこにいても良い音質を楽しむことができるのです。
複数の「HomePod」を部屋に置くことも可能
複数の「HomePod」を部屋に置くと、「HomePod」同士が認識して音のバランスを最適化する機能も付いています。
おそらく、ビームフォーミングとリアルタイムアコースティックモデリング機能を組み合わせた技術ですね。
とはいえ、「HomePod」は1台349ドルしますから、複数の「HomePod」を置くというのは、店舗を想定しているんだろうね。
ビームフォーミングの技術は、iPhoneにも採用されているって知ってますか?
一定の方向へ電波の指向性を高める技術であるビームフォーミングは、iPhoneの音声通話にも採用されています。
iPhone 5以降の機種には、3つのマイクがあるのです。
その3つのマイクのうちリアカメラ横と受話口内部のマイクは、音声通話時は「ビームフォーミング」に利用されます。ビームフォーミングとは、2つのマイクを利用して音の発生位置(自分の話し声)を特定し、それ以外の音はできるだけ集音しないようにするノイズキャンセリング技術の一種です。底面のマイクだけでは周囲のいろいろな音も拾うため、相手にとって聞き取りにくくなることがありますが、ビームフォーミングによってクリアな音声となります。
「HomePod」のライバルは?
Amazon EchoやGoogle Homeが一足先にローンチしています。
Amazon Echoが179ドル、6月28日に登場するディスプレイが搭載されたEcho Showが229.99ドル。Echo Showは2つ購入すると100ドルディスカウントされます。
Google Homeは129ドルですが、アメリカのGoogle Storeでは現在20ドル引きで購入できます。
それに対して、「HomePod」は345ドルという高価格が設定されています。
音質で差別化した「HomePod」
Amazon EchoやGoogle Homeはスピーカとしての性能はイマイチです。
今回リリースした「HomePod」は、ハイエンドのスピーカーを内蔵して、ライバルと音質で差別化したプロダクトになっていますね。
元々AppleはiPodで起死回生した会社なので、音楽との親和性は高いんだよね。
まとめ
以上が、「HomePod」に採用されたビームフォーミングについての説明です。
ビームフォーミングによりリッチなサウンドを奏でることができますので、リビングのスピーカーを置き換えるのには、十分なスペックを持っているといえます。
音声アシスタントで先行するAmazonやGoogleに対して、Appleは高価格帯のハイエンドなプロダクトで勝負をしてきたということになりますね。
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