デミス・ハサビス氏が率いる「AlphaGo」が、世界トップランクの棋士である柯潔に3対0で圧勝しました。
米グーグルの囲碁用人工知能(AI)「アルファ碁」と中国の世界最強棋士、柯潔(か・けつ)九段(19)の三番勝負第3局が27日、烏鎮で打たれ、AIが3連勝して幕を閉じた。
1年前に「AlphaGo」と韓国のトップ棋士の李世ドル(Lee Sedol)九段を破ってから僅か1年で、「AlphaGo」は世界ランキング1位の棋士、柯潔に勝利したのです。
この試合の結果、囲碁AI「アルファ碁」は世界ランク4位へ。人工知能だから性別は空欄w
当時、世界棋士レート1位だった柯潔は、「AlphaGo」に対して勝つ気満々の発言をしていましたが、この1年間で「AlphaGo」のレベルが上ったのかもしれません。
Google DeepMindが開発した囲碁プログラム「AlphaGo」が韓国のプロ棋士・李世ドル九段に勝利したことを受けて、世界最強プレイヤーとうたわれている中国の柯潔(かけつ)九段が9日、「AlphaGoは李世ドルに勝っても、僕には勝てない」と微博でコメントを発表しました。
「AlphaGo」とは?
DeepMindが開発した人工知能を搭載した囲碁プラグラムです。
DeepMindは、2014年にGoogleに買収されています。
Wikipediaによると、
Google Cloud Platformのコンピュータ資源(CPU1202個、GPU176基)を使って学習させている。
2016年3月15日、韓国棋院は、李世乭との五番勝負で3勝(最終的に4勝1敗)を挙げたAlphaGoに名誉九段を授与した。アマチュアに対する名誉段位ではなく、プロとしての名誉段位である。
囲碁は、チェスや将棋と比較すると戦略が複雑なので、2015年以前において囲碁プログラムはアマチュアの有段レベルと互角に戦うのが精一杯でした。ましてや、プロ棋士には、太刀打ちできなかったのです。
2015年以降、なぜ囲碁プログラムが強くなったのかというと、ニューラルネットワークを応用したAIが搭載されたからです。
ニューラルネットワークでは、評価経験則が人間によってハードコードされておらず、代わりにプログラム自身によって自分自身との対局を数千万回繰り返すことによってかなりの程度まで学ぶ。AlphaGoの開発チームでさえ、AlphaGoがどのように石の配置を評価し次の手を選択しているかを指摘することはできない。モンテカルロ木探索(英語版)もプログラムの推論効率を改善するための主要な方法として用いられている。
AlphaGoは、それ以前の囲碁プログラムから著しい発展を遂げた。その他の利用可能な囲碁プログラムと対局した500局で、AlphaGoは1局しか負けなかった。
デミス・ハサビスとは
1976年生まれのイギリスの人工知能研究者です。
大学卒業後、ゲームの開発会社であるエリクサー・スタジオを設立。60人規模の会社に成長し、一定の成功を収めますが、2005年にエリクサー・スタジオを売却します。
その後、認知神経科学について研究するために、ロンドン大学ユニヴァーシティカレッジへ通い、自伝的記憶と記憶喪失についての論文を書きます。
- 2007年、デミス・ハサビスの論文は、Science誌が選ぶ10大ブレークスルーに選ばれる。
- 2010年、汎用学習アルゴリズムを構築することに特化したDeepMind Technologies社を設立。
- 2014年1月、GoogleによってDeepMindを4億ポンド(約6億2500万ドル)で買収される。
- 2016年、学術雑誌のネイチャーによって、デミス・ハサビスは、世界に重要な影響を与えた10人の科学者に選ばれる。
なぜ「AlphaGo」は引退するのか?
世界トップランクの棋士である柯潔に勝ったことで、「AlphaGo」は囲碁から引退することになります。
なぜ引退するのかというと、「AlphaGo」が開発された目的は、囲碁で人間を負かすためではなかったからです。
あくまで、DeepMind社の基本理念である「汎用学習アルゴリズムの構築」の一環で行われていたということなんだろうね。
「引退」を告げたDeepMindのデミス・ハサビスは、今回のサミットに参加した棋士、そして囲碁に関わるすべての人に感謝の意を表した。そして、過去のAlphaGo同士の対局データ50局分を10局ずつ10日ごとに公開することと、AlphaGoの「考え方」を囲碁の研究に活用できるツールを開発することを約束した。
2016年に突如姿を現わしたAlphaGoは、4,000年とされる囲碁の歴史に大きなインパクトを残し、別のステージに進むことになる。これは、AlphaGoを開発したDeepMindの理念が「人間の知性を解明する」ことであり、囲碁はあくまでもその過程にすぎないことを考えれば、当然のことだ。
今後、デミス・ハサビス氏が目指すもの
今後、デミス・ハサビス氏は、「AlphaGo」で得た知見を活かして、疾患の新たな治療法の発見、エネルギー消費の大幅な削減などの複雑な問題に、AIが活用できる汎用学習アルゴリズムを開発していくことになるようです。
今後の展開が楽しみですね。
3/3 The #AlphaGo team will take on the next set of challenges to help scientists w/ society’s most complex problems https://t.co/ribkDaK60S
— Demis Hassabis (@demishassabis) 2017年5月27日
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