楽天が買収したフリルですが、果たしてうまくいくのでしょうか?
業界トップであるメルカリの月間流通額が100億円あるのに対して、フリルとラクマを合わせても30億円です。この差を埋めるのは本当に大変です。
最近の楽天は、本業のECモールでも失敗続きですから、ちゃんと戦略を立てているのかどうか不明です。
まさか、フリルを楽天経済圏に組み込めば、楽天ユーザーが、メルカリからフリルへ乗り換えてくれるなどと甘いことを考えていたらヤバイですよね?楽天は潤沢なキャッシュを持っているので、フリルの買収で使った数十億円なんて安いものです。失敗してもまあいいやくらいに考えてることはないよね?
楽天がCtoCのフリマ業界で世界を取るなら、メルカリを買収するべきだったと思いますが、メルカリ創業者の山田進太郎氏は、日刊SPA!のインタビューで次のように答えているので、無理だったんだろうね。
それでも創業者の山田進太郎氏は、「1兆円を積まれてもメルカリは売らない」と豪語。
元々、山田氏は、キャリアのスタートは楽天です。2000年頃に楽天の内定をもらって、インターンとして楽天オークションの立ち上げに参加していますから、楽天の内部事情や意思決定プロセス的なことはよく分かっているんだろうね。
メルカリはなぜ成功したのか?
スマホの登場によって、出品が簡単になったので、様々な商品がメルカリのプラットフォームに集まってきたことが要因の1つです。
フリマアプリの特徴は、スマホのカメラを使って、かんたんに出品できることです。スマホで写真さえ撮っておけば、出品するのは自宅じゃなくても、外出先でも可能ですからね。
でも、これだけが理由なら、メルカリとフリルがこんなにも大きな差がついたのかの説明にはなりません。フリマアプリとしては、2012年にサービスを開始したフリルが先発でした。メルカリのサービスが開始されたのは2013年ですからね。
後発のメルカリが圧倒的なシェアを取ったということは、ターゲットとなるユーザー層に刺さるものがあったということなのでしょう。
後発のサービスが、圧倒的なシェアを取るというのは、他にもあります。例えばLINEとかね。LINEの場合は、既読機能をつけたり、スタンプがかわいいというので分かりやすいんですけどね。
スマホユーザーの利用率が高いメルカリ
メルカリは、PCを使わないスマホ世代の若者層へのアプローチに成功しました。
ニールセンが調査した数値を見てみましょう。
スマホユーザーの51%にあたる2,656万人がオークション/フリマサービスを利用
ヤフオク
- 利用者の56%がブラウザを利用
- 44%がスマホのアプリを使っている
- 40代以上が多い
メルカリ
- ブラウザはわずか5%
- アプリが95%
- 20代が最も多い
若者がヤフオクを使わない理由
ヤフオクなどのネットオークションって、出品までの手間がハンパないんですよね?
ヤフオクの場合、CtoCだけでなく、BtoCの部分もあるので、業者も出品しています。彼らはプロなので、「綺麗な写真」や「購入したくなる説明」にも長けています。
個人の場合でも、出品するからには、1円でも高く売りたいですよね?となると、商品が綺麗に見えるように複数枚の写真を撮ったり、詳細な商品説明文を書く必要が出てきます。これって、かなり時間を取られてしまう作業なのです。
あと、出品するには月額498円を払ってプレミアム会員にならないといけないというのも、若者には敷居が高いかも。あと商品が売れた際の落札手数料は8.64%かかります。
メルカリの場合は、販売手数料が10%かかるだけです。月額費用は無料な点は、ヤフオクとは大きく異なります。
若者のPC所有率が低い
以前のエントリーに書きましたが、日本の若者のPC所有率って、諸外国と較べるとやたら低いです。
PCは持ってないけど、スマホは持っているので、メルカリは若者層を上手く捕まえたということになりますね。
「PCを使ったことがない」という新社会人がここ数年増えている。「若い人のほうがITに対してのスキルが高い」と思いがちだが、実際にはどうやらそうでもないらしいのだ。
そこで、内閣府の「平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」を見ると、中学生までの「PCを所有している率」が諸外国に比べてかなり低い結果になっている。海外先進国の中学生の80~90%が自分のPCを所有しているのに対し、日本は約30%しか持っていないのだ。
キャズムを一気に超えたメルカリ
マーケティング業界でよく使われるキャズム理論というのがあって、サービスは、
- イノベーター → アーリーアダプター → アーリーマジョリティー → レイトマジョリティー → ラガード
という順に広がっていくと言われています。
特にネット系のサービスでは、イノベーター・アーリーアダプターに刺さるサービスを作ることが、成功への一番の近道です。
とはいえ、イノベーター・アーリーアダプターでメルカリを使ってる人ってほとんど見ません。メルカリを実際に使っている層は、アーリーマジョリティー以下の人達なんですよね。
メルカリは、アーリーマジョリティー以下の人達で、月間流通額が100億円のサービスにまで大きくなっているということになります。
フリルが成功するには
楽天ユーザーの層と、メルカリユーザーの層って、かなり被っていると思いませんか?
ユーザーは被ってるにも関わらず、楽天のEC事業は、海外・日本問わず上手く展開できていませんが、メルカリは絶好調です。
この差は何かというと、楽天とメルカリでは、根本の思想や哲学が違うのだと思います。
なので、楽天がメルカリのUIをパクるというのは、すぐにでもやりそうなんだけど、そういうことをしても、フリルは成功できないだろうね・・・
これをぶっ壊すには、楽天による価格破壊しかないですね。
メルカリは10%の販売手数料を取っているので、フリルは当初1年間は0%。その後5%にするとかね。
楽天は、CtoC以外にも様々な事業を展開しています。特に楽天カードなどの金融系は利益を出していますから、消耗戦に出たらメルカリのシェアを奪えると思います。
いくらシェアが高くなっても、使いたいサービスかどうかというのは別の話です 笑
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