2015年はサブスクリプション元年と言われています。
2011年にSpotifyが定額制の聴き放題サービスを開始した際、当時の最先端テクノロジーだったにも関わらず、すっかり技術は陳腐化してしまいました。今や各社横並びのサービス展開となりました。
音楽聴き放題サービスを時系列で見る
日本の市場は半年で勝負がつきました。
- 5月27日「AWA」がサービスを開始
- 6月11日「LINE MUSIC」がサービスを開始
- 6月30日「Apple Music」がサービス開始
- 8月9日「LINE MUSIC」の無料期間が終了
- 8月26日「AWA」の無料期間が終了(3ヶ月間の無料期間)
- 9月3日「Google Play Music」がサービス開始
- 10月2日「Google Play Music」の無料期間が終了(1ヶ月間の無料期間)
- 10月28日「YouTube Red」がサービス開始(「Google Play Music」は統合される)
- 11月18日「Amazon プライムミュージック」がサービス開始
結果は、後出しジャンケンの「Amazon プライムミュージック」が市場を席巻。
「AWA」「Apple Music」は3ヶ月の無料期間、「LINE MUSIC」も2ヶ月程度の無料期間、「Google Play Music」は1ヶ月程度の無料期間を設けましたが、無料期間終了後、多くの人は解約したようです。
無料期間後のキャンペーン
無料期間終了後に「AWA」は、無料で使えるプランを出しましたが、1ヶ月で60分間しか聴けないからイマイチ。「AWA」の決算は初年度赤字の模様。
「LINE MUSIC」も有料プランに申し込んだら1ヶ月無料キャンペーンを打ちましたが、ユーザーの支持は得られず。
LINE新サービスに批判殺到 「潮を引く」ようにユーザ離れ加速の深刻事態
Apple信者によって支えられてる「Apple Music」でもこの程度の数字です。Appleのサービスは、他社と比べると圧倒的に割高感がありますからね。
「Apple Music」の有料会員が650万に達していることが明らかになりました。
Wall Street Journalが開催するカンファレンス「WSJD Live」で、CEOのティム・クック氏が、Apple Musicの会員数が1,500万人を超え、うち650万人が有料会員、とコメントしたとのこと。
「Google Play Music」も単体でのマネタイズは厳しいという判断の元、YouTube Redに組み込む戦略に出ました。
Amazonの戦略
こういう施策を横目に、Amazonの戦略はマジでうまい。
他のサービスが音楽聴き放題に対してお金を払うのに対して、「Amazon プライムミュージック」はプライム会員向けサービスの一つとして提供しているわけです。年間3900円払えば、お急ぎ便、プライムビデオ、Kindleオーナーズライブラリも毎月一冊無料で読むことができる。
米Amazonのプライム会員は99ドルですから、日本のプライム会員はお得感満載です。
今後の予測をしてみると、ある程度ユーザーを囲い込んだら、値上げするのは間違いなし。
Appleの戦略
AmazonもGoogleも動画と音楽をセットにしたサブスクリプションを展開してるので、Appleがどう動くのか楽しみです。
動画とコラボする料金プランが出ても良さそうなんですけど、今のところ静観を決め込んでいます。
無料ラジオでは、強気な姿勢を見せていますが・・
iTunes Radioは1月28日より、無料でなくなる。Appleによると、このPandoraのようなサービスは今後、月会費9ドル99セントを払ったApple Musicの会員のみが利用できる。
ただし、Beats 1のライブのDJによるリスニングチャネルは、無料のまま残る。なおこれは、最近閉鎖されたBeats Musicのアプリとは違う。
音楽聴き放題のマネタイズの難しさ
これだけたくさんのサービスがあるので、会員数が劇的に増える様子はなく、マネタイズは厳しい状況です。
「Spotify」が世界最大と言っても、大半は無料会員です。
音楽CDの現状
過去10年間で半分まで落ち込みました。
オーディオレコード全体の売上を見ると、2005年が3672億3700万円あったのに、2015年になると1864億4300万円です。
理由は明白で2007年のYouTubeの上陸によって、音楽は買うものから、タダで見るものとなってしまったからです。
YouTubeが登場した当時の高校生が、今は24~26歳ですからね。音楽は、若者の間でお金を払って聴くものではなくなっています。
トップアーティストでもCDは売れなくなりました。今やライブの物販が主な収益源となっているようですからね。それ以外のアーティストは本当に厳しい状況が続くはず。
CD不況と言われる現代において、ガンガン売れてるのはAKBだけになってしまいました。過去の売上枚数見たら、一人勝ちですわ。
AKB48 CDシングル売上枚数一覧
- 2010.08.18 ヘビーローテーション 880,761枚
- 2010.10.27 Beginner 1,039,362枚
- 2010.12.08 チャンスの順番 694,042枚
- 2011.02.16 桜の木になろう 1,081,686枚
- 2011.05.25 Everyday、カチューシャ 1,608,299枚
- 2011.08.24 フライングゲット 1,625,849枚
- 2011.10.26 風は吹いている 1,457,113枚
- 2011.12.07 上からマリコ 1,304,903枚
- 2012.02.15 GIVE ME FIVE! 1,436,519枚
- 2012.05.23 真夏のSounds good ! 1,822,220枚
- 2012.08.29 ギンガムチェック 1,314,428枚
- 2012.10.31 UZA 1,263,148枚
- 2012.12.05 永遠プレッシャー 1,206,869枚
- 2013.02.20 So long! 1,132,853枚
- 2013.05.22 さよならクロール 1,955,162枚
- 2013.08.21 恋するフォーチュンクッキー 1,528,852枚
- 2013.10.30 ハート・エレキ 1,286,609枚
- 2013.11.12 鈴懸なんちゃら 1,084,455枚
- 2014.02.26 前しか向かねえ 1,148,657枚
- 2014.05.21 ラブラドール・レトリバー 1,662,265枚
- 2014.08.27 心のプラカード 1,061,760枚
- 2014.11.26 希望的リフレイン 1,197,482枚
- 2015.03.04 Green Flash 1,045,000枚
- 2015.05.20 僕たちは戦わない 1,782,000枚
- 2015.08.26 ハロウィン・ナイト 1,326,000枚
違法アプリも後を絶たず
ミュージックビデオがYouTubeでタダで見れるのに、わざわざCDなんて購入しないし、お金払ってまで音楽聴き放題のサービスを受けたいって人は減るのは当然ですよね。
また、音楽をダウンロードするアプリも常にAppStoreの上位にいますよね。こういうアプリって違法じゃないのかな?Appleが取り締まらないの不思議なんですよね。ダウンロードするだけでなく、歌詞も見れる、着信音にも設定できるようです。
音楽聴き放題サービスの勝者
Amazon「プライムミュージック」の一人勝ちです。
年間3900円払ってプライム会員になれば、音楽聴き放題・動画見放題の両方がついてくるわけですから、圧倒的に強い。
プライム会員数の公表はありませんが、めちゃくちゃ増えているはず。
プライム会員獲得のために、ハードウェアを販促ツールとして使うのはAmazonの本気度が伺えます。今でも「Fireタブレット」は4980円だし、「Fire TV Stick」は期間限定で1980円でしたから。
近いうちに、格安SIMフリースマホも登場してもおかしくないですね。
Amazonの動向は楽しみです!
ナレッジ