プラットフォーマーとしての任天堂

任天堂の岩田聡社長が他界しました。
55歳。北海道札幌市出身で、東京工業大学工学部卒業。

ユニークな経歴の岩田社長

大学卒業後、のちに任天堂の子会社となるハル研究所に正社員として入社。プログラマーとして知られ、経営と疎遠な立場でありました。

1992年、HAL研究所が多額の負債を抱えて和議を申請した際、当時、取締役開発部長だった岩田社長が経営再建のため代表取締役に就任。社長に指名したのは当時の任天堂社長だった山内溥といわれていました。
プログラマー時代は経営と疎遠な立場でしたが、山内氏の人選どおり社長として非常に高い経営手腕を発揮し、「星のカービィシリーズ」、「大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ」などのヒット作品を世に生み出しました。2000年にその手腕を買われ、取締役経営企画室室長として任天堂に入社。驚くことに2年後の2002年には代表取締役社長に抜擢されました。

任天堂は、1889年に山内溥の曽祖父である山内房治郎が創業して以来、山内家の同族経営でした。当然次期社長は山内溥の長男の山内克仁か、娘婿の荒川実と言われていましたが、わずか入社2年目の岩田氏が42歳の若さで社長に就任するという大抜擢は異例中の異例でありました。
元プログラマー、元子会社出身というのは通常の人事からはありえない話ですよね。

社長就任後は、ゲーム人口の拡大を最大の目標に掲げ、ニンテンドーDSやWiiを次々と発売し、当時プレイステーションにおされていた任天堂を、再度ゲーム業界トップシェアにまで押し上げました。
2011年からは、社長自身が公式サイト上の動画で新商品プロモーションを行う「Nintendo Direct」に出演し、ユーザーの「ゲーム実況」や「プレイ動画」投稿も公認するといった新しい取り組みにも意欲的でした。

岩田聡社長の訃報に世界中から驚きと悲しみのツイート 「ThankYouIwata」ハッシュタグも

任天堂・岩田聡社長の訃報を受け、Twitterでは驚きや悲しみの声が多くあがっています。任天堂の社長としてだけでなく、優れたゲーム開発者として、さらには新しいゲームを紹介するプレゼンターとして、多くの人に愛され、尊敬された岩田社長。その早すぎる死は、多くの開発者やファンに衝撃を与えました。

ハードもコンテンツも作る任天堂

任天堂という会社はみなさんも御存知の通り、ゲームを作っている会社です。言うならばプラットフォーマーです。
任天堂の規格に基づき、ゲームソフトを作るコンテンツホルダーはゲームのコンテンツを作るのです。

プラットフォームとは

コンテンツを流通させる仕組みを担っているということです。
コンテンツホルダーに対しては、価格面を含め非常に強い立場となります。

プラットフォームの品質が落ちないことが、良いプラットフォームの条件ですから、任天堂のようなプラットフォーマーは、流通させるゲームソフト、すなわちコンテンツの品質が落ちないような枠組みを作ることになります。

ゲーム以外の業界でも、例えばアプリの世界を見ても、AppStoreやGoogle Playを見ればその強さは分かります。
iPhoneのアプリを作ったコンテンツホルダーが、Appleにアプリのリジェクトをされたら、そのアプリは世の中に流通する経路を断たれることになりますからね。
任天堂

2種類あるプラットフォーマー

プラットフォーマーは大きく分けて2種類あります。

コンテンツを作るプラットフォーマー

  • 任天堂
  • ソニー・コンピューターエンターテイメント

コンテンツから利益を出す

任天堂のような、ゲーム機を作ると共に、自らもコンテンツを作り、コンテンツからの利益をあげるプラットフォームが、コンテンツの質を確保でき、利益も上がります。

コンテンツを作らないプラットフォーマー

これに対してコンテンツを作らないプラットフォーマーもあります。
分野は変わりますが、docomo・au・softbankといった携帯電話会社は、携帯コンテンツを自社で作ることはなく、他から買い付けるという戦略をとりました。

コンテンツのたたき売り

この場合、プラットフォーマーからのコンテンツ値下げ要求が強くなり、コンテンツの値段はどんどん下がります。
コンテンツを作るコンテンツホルダーの利益は出なくなり、コンテンツの品質はどんどん低下します。

これからのプラットフォーマー

コンテンツを作っても違法コピーされてしまえば利益は出ません。
また、コンテンツを作らない場合、価格の叩き合いになりコンテンツの質が落ちる傾向になります。

コンテンツの違法コピー

ゲームコンテンツは、ROMの場合すぐに違法コピーされてしまいます。
違法コピーを防ぐには、ゲームのデータやアイテムを、サーバー上にデータとして保存するという戦略が重要になります。

ソーシャルゲームのガチャ

「ガチャ」とは、だたのデジタルデータである「カード」を手に入れるために、1回300円など払ってくじを引きます。
DeNAもグリーもこれで大儲けをしました。
ソーシャルゲームはサーバー上にデータが保存されているので、端末でデータをコピーするだけではゲームで遊べないので、違法コピーは出来ません。
こういうものだと、ユーザーは高いお金を払います。

出遅れた任天堂のネットワークシステム

任天堂のネットワークシステムはハードと紐づけられていて、アップルIDやグーグルアカウントのようにクラウドベースにはなっていません。
そのため、3DSのソフトをダウンロードで購入した場合、ゲーム機が壊れて買い換えると、もう一度ソフトを買い直す必要がありました。またデータの移行もできなかったり、違法コピーの問題もありました。
そこで、クラウドのサーバー上にデータを保存して、これらの問題を一気に片付るべく、2015年3月17日にDeNAとの資本提携を発表しました。

DeNAと任天堂、「スマホ弱者連合」の行方

ついに重い腰を上げた。任天堂とディー・エヌ・エー(DeNA)は3月17日、資本業務提携を発表。スマートフォン向けゲームアプリの共同開発・運用に加え、スマホなど複数端末に対応する会員制サービスの共同開発に乗り出す。任天堂は4月に220億円を投じてDeNA株を10%超取得する一方、自己株1.24%を220億円でDeNAに譲渡する。

「かつて家庭用ゲーム機で10年かけて起こった変化が、(スマホでは)2年くらいのスピードで起こっている」(岩田社長)。

これからという中、ほんとうに残念です。
ご冥福をお祈り申し上げます。

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