「コミック誌」と「コミック(単行本)」を合算したコミック全体の市場は、1995年の5864億円をピークにジリジリと下がっております。2017年の販売価格は4330億円まで落ち込んでいますからね。
ところがですよ。コミック(単行本)の市場が拡大してることをご存知でしょうか?
出版科学研究所のリリース、中段くらいのグラフが興味深い。https://t.co/mRIOe1FBF4
コミック全体のピークは1995年。そのときのコミックス(単行本)は2507億円紙だけ。2017年のコミックス紙+電子は3377億円。つまりコミックス市場は拡大してるんですよね(コミックス紙のピークは2005年2602億円)— 鷹野凌 (@ryou_takano) 2018年2月28日
僕は「コミック(単行本)」を普段読まないし、スマホ登場以後は電車でも「コミック(単行本)」や「コミック誌」を読んでる人を見なくなったので、「コミック(単行本)」の販売金額は下がっているものだと思っていました。
ちなみに、「コミック誌」とは、漫画の連載を掲載している少年ジャンプ、コロコロコミックなどの雑誌を指します。主に紙で流通しています。
それに対して、「コミック(単行本)」とは、雑誌に連載されたものを数話分まとめて1冊にした単行本を指します。紙と電子書籍がありますが、公益社団法人 全国出版協会の発表によると、2017年に販売金額ベースで電子書籍が紙を上回った模様です。
ということで、今日のエントリーは、コミック全体の市場は低迷してるけど、「コミック(単行本)」の市場は拡大していることをデータを見ながらお話します。
「コミック(単行本)」の市場の特徴
「コミック(単行本)」の市場は、2017年に電子書籍が紙を上回ったことが最大の特徴です。
コミックス市場は電子が紙の売り上げを上回る
紙と電子を合算したコミックス(単行本)の市場規模は前年比0.9%減の3,377億円とわずかに減少しました。紙のコミックスが同14.4%減の1,666億円と二桁の落ち込みをみせた一方で、電子は同17.2%増の1,711億円と成長を続け、比率は紙49.3対電子50.7と、紙のコミックスの売り上げを電子コミックスが初めて上回りました。
電車などの外出先で読むなら電子書籍で、自宅で読むなら紙という使い分けが起こっているのでしょう。電子書籍ならば、極端な話、1万冊をiPhoneに入れることもできるので、持ち運びは圧倒的に便利です。紙だと5冊以上持ち運ぶのは無理だもん。
「コミック(単行本)」の市場は拡がっている
次に、「コミック(単行本)」の市場が拡がっていることについてお話します。
「コミック(単行本)」の販売金額を、1995年と2017年で比べてみましょう。
コミック(単行本)の販売金額は1995年と2017年を比較すると、2017年の方が金額ベースで売れているんだよね。1995年は紙の単行本しかありませんでしたが、2017年は紙と電子書籍の合計金額です。
「コミック(単行本)」の販売価格は、1995年が2507億円に対して、2017年が3377億円です。2017年の方が販売金額が多いやん。34.7%も増えているのです。
「コミック誌」は激しく市場が縮小
今度は、「コミック誌」の販売金額を見てみます。
1995年に3357億円ありましたが、2017年は953億円に縮小してしまいました。1995年の3割以下の水準です。
「コミック誌」は、全く読まれなくなっていることが分かります。
コミック全体の販売金額は減少
「コミック(単行本)」の市場は拡がっているにもかかわらず、「コミック誌」の販売金額が足を引っ張りましたので、コミック全体の販売金額は減少しています。
実際に数字を見ていきましょう。
1995年の5864億円がピークで、2014年に4456億円、2015年に4437億円、2016年に4454億円、2017年には4330億円と徐々に落ちているのがわかります。
1995年と2017年を比較すると、全盛期の7割強の数字にまで落ち込んでいることが分かります。
なぜ、「コミック(単行本)」は紙より電子が売れるのか?
「コミック(単行本)」は、2017年に紙の販売金額を電子書籍が上回りました。
なぜ上回ったのかというと次の理由が考えられます。
- Kindleでまとめ買いセールや大幅な割引セールをやっている
- 電子書籍の場合、続きを読みたければ、次の巻をすぐにポチれる
- 電子書籍はスマホ化タブレットがあれば、何冊でも持ち運びができる
海賊サイトの影響は?
「コミック(単行本)」が違法アップロードされている「漫画村」などの海賊サイトはいくつもあります。
こういった違法で漫画が読めるサイトがあるにも関わらず、「コミック(単行本)」の販売金額が増えているということは、市場やニーズは確実に大きなものになっているということでしょう。
さいごに
コミック全体の市場は低迷していますが、「コミック(単行本)」の市場は拡大しているのは意外でした。
でも、「コミック(単行本)」は「コミック誌」の連載をまとめたものなので、今後「コミック(単行本)」の販売金額が増え続けるのかどうかは分かりません。
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