WWDC2019でオフラインのMacやiPhoneが探せる「Find My」が発表されました。
2019年9月以降に配信されるmacOS Catalina・iOS13・iPadOSに実装される予定です。
このエントリーでは、オフラインのMacやiPhoneが探せる「Find My」についてお伝えします。
Find Myとは
Find Myとは、Bluetoothのビーコンとクラウドを利用することで、オフライン状態のMacやiPhoneを探すことができる機能です。
しかもFind Myは公開鍵や秘密鍵の技術を使うため、第三者に個人情報や位置情報を知られずに、端末の所有者だけが端末の位置情報を特定できるという優れた機能です。MacBookが盗難にあった際、オフライン状態になったとしても端末の場所を探せるのは心強いですよね。
Find Myの特徴
Find Myには次のような特徴があります。
- Find Myを利用するには、事前に2台のApple製品を連携させる必要がある
- 2台のApple端末で「Find My」を設定すると、秘密鍵と公開鍵が生成され、エンドツーエンドの暗号化通信でデバイス間を共有できる
- オフラインの位置情報は、エンドツーエンドで暗号化されているため、Appleや他人に個人情報や位置情報が知られない
- 公開鍵は秘密鍵がなければ復元できない
- 公開鍵は定期的に新しいものに切り替わる
なぜFind Myを使うと、オフラインの端末の位置情報が分かるのか
なぜFind Myを使うと、オフラインの端末の位置情報が分かるのかお伝えします。
次のような状況を想定してください。
MacBookを盗まれたとして、周辺に第三者のiPhoneがあります。また盗まれたMacBookと事前に連携したiPadがあります。
このようなケースでは、Find Myを使うことで、盗まれたMacBookの位置情報をiPadで特定することができます。
- 事前に「盗まれたMacBook」と「手持ちのApple製品」を連携しておく
- 「盗まれたオフラインのMacBook」は「周辺にある第三者のiPhone」にBluetoothで接続される
- iPhoneのネットワーク経由で、「盗まれたオフラインのMacBook」の位置情報がiCloudに送信される
- 「事前に連携した別のApple製品」の公開鍵で、iCloud上にある「盗まれたオフラインのMacBook」の公開鍵のハッシュを探す
- 「事前に連携した別のApple製品」の秘密鍵を使って、「盗まれたオフラインのMacBook」の暗号化されたハッシュを復元する
- 「事前に連携した別のApple製品」で「盗まれたオフラインのMacBook」の位置情報を特定できる
1. 事前に「盗まれたMacBook」と「手持ちのApple製品」を連携しておく
「盗まれたMacBook」の位置情報を確認するには、事前に「盗まれたMacBook」と「手持ちのApple製品」を連携しておく必要があります。Apple製品を2台持っていないと、Find Myは使えないのでご注意ください。
2. 「盗まれたオフラインのMacBook」は「周辺にある第三者のiPhone」にBluetoothで接続される
「盗まれたオフラインのMacBook」は「周辺にある第三者のiPhone」にBluetoothで接続されます。「周辺にある第三者のiPhone」のBluetoothがオンならば自動で接続されます。
もう少し詳しく説明すると、「盗まれたオフラインのMacBook」はBluetoothでビーコンを発信し、「周辺にある第三者のiPhone」がビーコンを検出するとBluetoothのネットワークが形成されます。
3. iPhoneのネットワーク経由で、「盗まれたオフラインのMacBook」の位置情報がiCloudに送信される
「周辺にあるiPhone」はネットワークに繋がっているので、「盗まれたオフラインのMacBook」の位置情報がiCloudに送信されます。
もう少し詳しく説明すると、「周辺にある第三者のiPhone」がビーコンを検出すると、「盗まれたオフラインのMacBook」の位置情報を公開鍵で暗号化し、公開鍵のハッシュをiCloudに上げます。
公開鍵で暗号化するので、第三者に「盗まれたオフラインのMacBook」の位置情報は分からない仕組みになっています。
4. 「事前に連携した別のApple製品」の公開鍵で、iCloud上にある「盗まれたオフラインのMacBook」の公開鍵のハッシュを探す
「事前に連携した別のApple製品」と「盗まれたオフラインのMacBook」は同じ公開鍵を持っているため、Find MyアプリにアクセスすればiCloud上にある「盗まれたオフラインのMacBook」の公開鍵のハッシュを探すことができます。
5. 「事前に連携した別のApple製品」の秘密鍵を使って、「盗まれたオフラインのMacBook」の暗号化されたハッシュを復元する
「事前に連携した別のApple製品」の秘密鍵を使って、「盗まれたオフラインのMacBook」の暗号化されたハッシュを復元します。
6. 「事前に連携した別のApple製品」で「盗まれたオフラインのMacBook」の位置情報を特定できる
「事前に連携した別のApple製品」で「盗まれたオフラインのMacBook」の位置情報を特定できます。
「iPhoneを探す」「Macを探す」との違い
既存のmacOS High SierraやiOS12にも、「iPhoneを探す」「Macを探す」といった機能があります。
「iPhoneを探す」「Macを探す」と「Find My」では何が違うのか見ていきましょう。
決定的に違う点は以下の2点です。
- オフラインのApple製品の場所を特定できる
- Find Myのオフラインでの位置情報は、エンドツーエンドで暗号化されているため、Appleや他人に個人情報や位置情報が知られない
Find Myで位置情報が分からないと想定されるケース
iPhoneならば初期化する際、Apple IDのパスワードが必須なので、第三者に勝手に初期化されることはありません。オフラインだったとしてもBluetoothのビーコンを発信することが可能です。
でもMacBookの場合、Find Myで位置情報が分からないと想定されるケースがあるのでお伝えしておきます。
- 「盗まれたオフラインのMacBook」の電源が切られた
- 「盗まれたオフラインのMacBook」が初期化され、別のApple IDでサインインされた
- SSDが交換され、別のApple IDでサインインされた
macOS Catalinaを初期化する際、Apple IDのパスワードを必須にすればOKなのですが、そのあたりの仕様がどうなっているのかは、今の時点では何とも言えません。
さいごに
以上、オフラインでもMacやiPhoneが探せる「Find My」についてお伝えしました。
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