政府はエコカー減税を2年間延長する模様です。
政府・与党は25日、今年度末で期限が切れるエコカー減税について、対象車種を絞り込んだ上で2年以上延長する方針を固めた。今後は、対象車種の絞り込みが焦点。現行制度では新車の約9割が減税対象となっており、5割程度に減らしたい財務省・総務省と、8割超を確保したい経済産業省・自動車業界の綱引きが続いている。
エコカー減税は、一定の燃費基準を満たす自動車について、購入時にかかる自動車取得税(地方税)を20~100%、車検時にかかる自動車重量税(国税)を25~100%減税する制度。燃費性能の高い車の普及を促すのが目的で、リーマン・ショック後の2009年度に導入され、数年ごとに対象車種を縮小しつつ延長されてきた。消費税率10%への引き上げ時に、環境性能に応じて課税する新たな制度に移行する予定だったが、増税時期が17年4月から2年半延期されたため、政府・与党は現行制度を2年以上延長する方針を決めた。
難航しているのが対象車種の絞り込みだ。財務省と地方税を所管する総務省は、「ほとんどの自動車が減税対象となっているのは、燃費性能の高い車の普及を促す制度の趣旨に反している」(総務省幹部)と、基準を厳格化して対象を新車の5割程度に抑えるよう求めている。15年度の自動車取得税は、減税制度導入前の08年度に比べ約6割、自動車重量税も約4割減少しており、税収を確保する狙いがある。税収減に悩む地方自治体も「自治体の財政運営に支障が生じないようにすべきだ」(全国市長会)と訴えている。
一方、販売減を懸念する経産省と自動車業界は、対象を新車の8割超としたうえで、一部の減税幅拡大も主張。16年の国内自動車販売は500万台を割り込む見通しで、税優遇で市場下支えを図りたい意向だ。
エコカー減税ってなに?
そもそもエコカー減税って、言葉は聞いたことあるけど、中身がよくわからないという方も多いと思います。
エコカー減税とは、「排出ガスと燃費の基準値をクリアした自動車」に対して、自動車重量税と自動車取得税が免税・軽減されるというものです。
- 自動車重量税とは、国税で、自動車の車重に応じて支払う税金です。
- 自動車取得税とは、地方税で、都道府県が徴収する税金です。自動車の取得金額が50万円を超える場合、課税されます。
ということは、自動車取得税が免税になると、都道府県の税収は下がるということになるわけですね。
エコカー減税がないとどうなる?
エコカー減税がなかったなら、みんな自動車の買い替えなんてしなくなるだろうね。
プリウスやアクアが街に溢れかえっていますが、エコカー減税がなければ、ここまで増えることはなかったと思いますよ。
エコカー減税で景気は上がるの?
一時的には、自動車メーカーが潤います。が、自動車の買い替え需要の先食いをするだけなので、数年後の自動車販売数が落ちていくことは間違いないです。
↓以前のエントリーに、自動車販売数の詳しい数字を上げたので引用します。
まずは乗用車の新車販売台数から。
- 2015年 2,704,485台(前年比94.5%)
- 2014年 2,860,472台(前年比99.6%)
- 2013年 2,872,111台(前年比95.3%)
- 2012年 3,014,651台(前年比126.3%)
2012年が前年比126.3%となっているのは、政府がエコカー補助金に2700億円を使った恩恵です。
乗用車のエコカー補助金は、登録車10万円、軽自動車7万円でした。
トラック・バスは、小型20万円、中型40万円、大型90万円。
買い替え需要を先に食ってしまったので、2013年以降は毎年落ち込んでます。
古い車を大事に乗るより、買い替えを促進する政府
日本の場合、自動車産業が景気を牽引している要因が大きいため、政府は躍起になって、自動車産業へのテコ入れをしているんですよね。
個人的には、自動車の販売台数が上がれば、景気が上がるという単純な図式にはならないと思うんだけど・・・
今の自動車って新車購入時から10年間は、ほぼノートラブルで走ります。大事に乗れば15年くらい乗れる自動車がほとんどなんじゃない?
以下、どっちがエコだと思いますか?
- 古い車を大事に乗るのがエコなのか?
- 新車のハイブリッドカーや電気自動車に買い換えていくのがエコなのか?
13年落ちの自動車税は割増ってどうなの?
日本では、初回登録時から13年以上経過した自動車に対して、自動車税や軽自動車税は割増の税金をかけてきます。
5ナンバーの普通自動車の自動車税は、39500円のところ、13年以上経過していると45400円なので、15%の増税。
軽自動車の場合、7200円のところ、13年以上経っていると10800円になって50%の増税。
わたくし、13年以上経過した普通自動車と軽自動車を持ってますが、2台とも増税でびっくりしましたもの・・
ドイツでは旧車の税金の減免措置がある
ドイツでは、Hナンバーというものがあります。
Historischの頭文字のHをとったものです。
30年以上前の自動車で、オリジナルの状態を維持している、という条件を満たせば、税制面での優遇措置があるのです。
ドイツも日本同様、自動車産業が国の経済を支えている側面がありますが、古い自動車を大事にする精神が日本とは全く違いますね。
自動車のオーナーは自分の車に愛着を持ってメンテナンスを行い、自動車メーカーも高い能力を持った自動車を生産開発する。政府は、旧車に対する減免措置を行うことで、クラシックカーの保護にも一役買っていることになります。
クラシックカーを保護するヨーロッパ各国の政策
ヨーロッパ各国は、クラシックカーの保護にあたって様々な取り組みを行っています。旧車に対するアプローチは、日本とは全く異なりますね、
こういった旧車の減免措置というアプローチは、ヨーロッパではかなり一般的な模様。旧車に対して、各国でどんな制度があるのか見ていきましょう。
- イギリス・・・1973年1月1日以前に登録された自動車は、自動車税が無料
- フランス・・・10年経過した自動車は、自動車登録の費用が半額程度に減免
- イタリア・・・20年以上経った自動車は減税対象、30年以上の車両は免税
- オランダ・・・25年以上経った自動車は、自動車税が免税
- スウェーデン・・・25年以上経った自動車は、自動車税が免税
- スイス・・・30年以上経過した自動車を、3台以上所有している場合、1枚のコレクターズナンバープレートを受け取れる。1枚のコレクターズナンバープレートがあれば、20台までの自動車を所有して、ナンバープレートを付け替えて走行することが可能。
エコカー減税の減税率を見てみる
エコカー減税が適用されると、自動車重量税と自動車取得税が減免されます。100%減免される車種もあれば、25%しか減免されない車種があります。
トヨタ
トヨタのサイトに詳しく載っています。
以下2車種に関しては、「自動車重量税と自動車取得税がともに100%減免」になるだけでなく、「自動車グリーン税制概ね75%」「クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金」も適用になります。ランドクルーザーがエコカーとかマジでイミフ。
- MIRAI、ランドクルーザー
以下19車種に関しては、「自動車重量税と自動車取得税がともに100%減免」に加えて「自動車グリーン税制概ね75%」が適用になります。
- SAI、アクア、アルファード、ヴェルファイア、ヴォクシー、エスクァイア、エスティマハイブリッド、オーリス、カムリ、カローラアクシオ、カローラフィールダー、クラウンアスリート、クラウンマジェスタ、クラウンロイヤル、シエンタ、ノア、ハリアー、プリウス、プリウスα
スポーツカーもエコカー減税っておかしくない?
スポーツカーもエコカーっていうんだから笑っちゃうよね。
ポルシェもエコカー減税の対象です。
- Macan Turbo、カイエンSハイブリッド、
BMWもエコカー減税の対象。
- BMW 116i、BMW 120i、BMW 218i、BMW 220i、BMW 225i、BMW 320i、BMW 328i、BMW 420i、BMW 428i、BMW 435i、BMW 523i、BMW 528i、BMW 535i、BMW 640i 、BMW 740i、ActiveHybrid 3、ActiveHybrid 5、ActiveHybrid 7、X1 sDrive20i、X3 xDrive20i、X3 xDrive28i、X3 xDrive35i、X4 xDrive28i、X4 xDrive35i、X5 xDrive35i、X6 xDrive35i
電気自動車の減税は納得
電気自動車の減税は納得がいきます。
テスラのモデルSも自動車税が免税になります。
まとめ
政府によるエコカー減税は、はっきりいって微妙。
原資は国民の税金なので、自動車を買わない人まで負担しなきゃならないですから。しかも、消費の先食いをするだけなので、10年単位の税収を考えたら、エコカー減税なんてしない方が税収は上がるのにね。
ヨーロッパを見習って、古い自動車の減免措置とか政府はマジで考えたほうがいいですね。
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