後継者のいない「最後の職人」!日本の文化を守る 中畑文利氏

昨夜何気なくテレビをつけたら、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」がやっていました。普段テレビ見ないけど、この番組は抜群に面白い。

どんな話かというと、青森県田子町で、二人三脚で鍛冶屋を営んでいる夫婦の話です。登場人物は中畑文利氏(72)と妻の和子氏(62)。

作っているものが特殊で「漆カンナ」というもの。皆さんご存じですか?わたくしは初めて聞きました。

中畑文利

「漆カンナ」とは

「漆カンナ」とは、漆の採取に必要な道具です。

漆黒の漆は国宝や重要文化財の修復に欠かせないものです。

漆とは、ウルシノキを削った時に出る樹液を加工したウルシオールを元にした天然樹脂塗料です。木は繊細で深く傷つけると木が死んでしまって、樹液を出なくなります。なので、ナイフでは採取をすることは難しく、独特の形状の「漆カンナ」が必要不可欠なのです。

戦後、漆は伝統工芸や日用品に多く使われ、生活になくてはならないものでした。が、化学塗料や安価な中国産におされ漆産業は大きく衰退。昭和20年代には300人いた漆掻き職人も、現在はわずか20人程度。

道具である「漆カンナ」を作る職人の数もどんどん減っていき、現在日本で唯一作れるのはこの夫婦だけです。

オーダーメイドの道具

中畑夫婦が作る「漆カンナ」は全てオーダーメイドで、職人のクセや漆の木の特性に合わせて作るため、機械では作ることができません。作っている工程の映像を見ると、マジですごい。

年間50本程の注文なので、機械化するにはコストが合わないので、設備投資するメーカはないという話でした。

このオーダーメイドの「漆カンナ」は、1本1万5000円。手間や労力を考えたら、めちゃくちゃ安いです。

漆カンナ

次世代に技術を継承

漆産業は壊滅的な状態だったのですが、2015年に国の方針が変わります。

国宝や重要文化財の修理には原則国産の漆を使用することになったのです。

文化庁、重文修理に国産漆使用を 原則使用を通知

文化庁は24日、寺社など国宝や重要文化財の建造物を修繕する際、国産の漆を2015年度から原則として使用するよう各都道府県教育委員会に通知した。漆の生産減少に歯止めをかけるのが狙い。当面は上塗りと中塗りを対象とするが、18年度までに下地も含む全工程での使用を目指す。

下村博文文部科学相は記者会見で「漆の英語名は『japan』であり、日本の文化を象徴する資材だ」と意義を強調。今後は修繕に必要な量を調査した上で、林野庁と協力して増産を図るほか、生産者の育成も進める方針だ。

こうなってくると、現在20人程度の漆掻き職人の数も増やさなくていけない。

漆を掻く道具である「漆カンナ」に至っては、中畑文利氏しか作れる人はいないので、後継者を増やそうという議論になります。

後継者となる弟子が入る

そこで、最後の「漆カンナ職人」である中畑文利氏の後継者を町役場が募集したところ、応募してきた青年がいます。

新岡恭治氏、39歳。10年間青森市内で包丁職人として金物を扱ってきました。とはいえ漆カンナは特別難しい。中畑文利氏も、鋼を曲げて形にするまで15年かかりました。

今後、後継者として中畑文利氏のDNAを受け継いで頑張ってもらいたいですね。

病気とともに戦う

中畑文利氏は72歳。病気とともに戦っています。

骨髄性白血病を患い、目には緑内障がある。糖尿病もある。目もよく見えてないので、カンでやっている部分も多いといいます。

オーダーメイドの道具

中畑文利氏が作る道具は、全てオーダーメイドです。

中畑氏が番組の中で何度も行っていることは、お客さんが満足できる道具を作りたいということ。

使いやすい道具を作るんだという信念を持って仕事に取り組む姿勢に感激しました。

「漆カンナ」の作業工程では、厚さ1mmの鋼の刃を曲げる技術が必要です。うまく仕上げるのに15年かかったといいます。無理やり曲げれば傷が入り使い物にならなくなってしまいますからね。

お客さんの満足してもらえるものを作るための技術力はもちろんのこと、お客さんに合わせて改良していくという姿勢が、より良いものづくりには欠かせないですからね。

作ってる道具に終わりはない。何度も何度も改良して、お客さんが使いやすいものを作り続けているのです。

こんなことがさらっと言えるなんて、めちゃめちゃかっこいい!

きっと無意識のうちにPDCAを回せるのでしょう。

PDCAとは

  • Plan(計画)→Do(実施・実行)→Check(点検・評価)→Act(処置・改善)

仮説を立てて、行動する。結果をチェックして改善していく。改善結果を元に、再び仮設をたてる。この繰り返しです。

一流の職人とは?

この番組を見て一流の職人像について考えさせられました。

一般的に職人という言葉の定義だと、熟練の技術を持っていて、手作業でものを作り出す職業のことを指します。でも、これは普通の職人。

職人というと頑固で一匹狼で、いいものさえ作ってればいいのだという考えになりがちですが、実はそれだけではダメということが今回はっきり分かりました。

一流の職人になるには、常に自分自身へ挑戦し続けて、自分に課し続ける信念が絶対に必要です。

そのためには、自分の仕事が世の中という大きなピラミッドの中で、どのポジションにいるのか?常にこういうことを客観視できないと絶対にダメ。

自分の置かれた立場をきちんと認識して仕事をしっかりと行っていくことが、一流になるための道だということを、再確認する機会になりました。

たまにはテレビもいいこと言うね。

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