アメリカではApple Payの普及に拍車がかかっています。
キャッシュカードのかわりに、iPhoneを使ってATMから現金を引き出せるようになります。アメリカの複数の大手銀行が、Apple Payに対応したATMを導入予定です。
偽造カードによる犯罪対策にメリットか
ATMでApple Payをどう使うかは具体的には不明なものの、iPhoneをリーダー部分にタッチして、Touch IDで指紋を認識させることで、カードを使わずに現金の引き出しが可能になると考えられます。
銀行にとって、ATMの交換には多額のコストが必要になりますが、後を絶たない偽造カード犯罪を考慮すると、安全性をアメリカ連邦政府も認めたApple Payによる個人認証を導入するメリットが大きい、と考えたのでしょう。
アメリカのカード事情
クレジットカード発祥の地ということもあって、2~3ドルの少額決済でもクレジットカードを使います。
100ドル札といった高額紙幣は偽札が多いため、お店で出すと嫌な顔されることもあって、日本のように高額紙幣は普及していません。
ヨーロッパ同様カード先進国なのです。
が、このことが仇となって、セキュリティー対策はだいぶ遅れることになります。
というのも、未だにICチップを搭載しない、磁気ストライプのカードがめちゃくちゃ流通してますからね。
ICチップ入りのクレジットカード
2015年10月1日から、アメリカで店舗での対面決済の際は、EMVと呼ばれるICチップ入りのクレジットカードで行うことが義務付けられました。
今まで、クレジットカードの不正利用があったときは、カード発行会社が被害を保証していましたが、2015年10月1日以降、磁気ストライプのクレジットカードで不正利用があった際、カード発行会社ではなく店舗が責任を負うことになります。
なので、店舗側もICカードの対応リーダーを導入するなどの対応に追われています。
なぜクレジットカードが流出するの?
ネットショッピングでカード決済するときは、ほぼ100%のサイトがSSL化されていますよね。
つまりクレジットカードの上をやり取りする際、通信は暗号化されているので、外部からは見ることができないようになっています。
じゃあどこで流出するのかというと、加盟店のサーバーからです。加盟店は顧客の使ったカード情報などの取引内容を、自社のサーバーに保存しています。保存することによって、ユーザーも毎回カード情報を入力しなくて良いので、店舗側も顧客情報を保持できます。双方にメリットがあるのです。
セキュリティーの低い店舗から流出
でも、セキュリティーのレベルは店舗毎にばらつきが大きく、セキュリティーの低い店舗店のサーバーをハッカーが狙うのは言うまでもありません。
商品がいくら安くても、セキュリティーレベルが怪しいネットショップでクレジットカード番号入れたくないもんね。Amazonに寡占していくわけだ。
一応裏面のセキュリティーコードがあるけど、3ケタですから・・
Apple Payの仕組み
「アメリカのカード事情」や「カード情報の流出」といったデメリットをカバーすることができる仕組みがApple Payには搭載されています。
市場に出回っている磁気ストライプのカードが、ICチップ入りのカードに移行するには、そんなに短期間でできるはずもなく、数年かかると言われています。
切り替えにカード発行会社のコストも増えるので、なかなか進まない現状があるのです。
Appleはこの点に目をつけます。Apple Payを利用することによって、市場に出回っている磁気ストライプのカードでも、セキュリティーの高いトークナイゼーションによる決済ができるようになったのです。
具体的にどんなセキュリティーなのかというと、クレジットカードの情報をiPhoneへしまっておき、トークナイゼーションという決済情報のトークン化、Touch IDによる本人認証を行いセキュリティーを確保するのです。
トークナイゼーションとは?
セキュリティーの高くない磁気ストライプのカードをApple Payに登録する際、実際のカード番号とは異なる別の番号をiPhoneの中に格納します。Appleもこの番号はわからない仕組みになっています。
で、実際に決済が行われると、毎回1回きりのセキュリティーコードが発行されるのです。
iPhoneの中に格納した番号と、1回きりのセキュリティーコードの認証が通れば決済が完了するという仕組みになっています。
なので、クレジットカードの情報が店舗に伝わらないので、流出もしないということになります。
Appleにもクレジットカードの情報や決済内容は伝わりません。
取引手数料は?
通常のクレジットカード決済だと、数%の取引手数料が発生します。Squareで3.25%。
メタップスのSPUIKEだと100万円まで0%というのはやはり革新的だよね。
Apple Payの手数料は決済総額0.15%です。カード発行会社が受け取っていた手数料の一部をAppleが得るのです。カード会社から見れば、多少利益が減っても、セキュリティーが上がるため、メリットがあると判断したのでしょうね。
Suicaはガラパゴスな決済サービス
日本でのモバイルペイメントはめちゃくちゃガラパゴスです。ガラケー時代から「Felica」が普及していて、一番普及しているSuicaも「Felica」を使ったサービスです。
Suicaは便利だけど、20000円までと上限が決まっており、小額決済に特化した現金払いの延長線上のサービスです。
日本で Apple Pay は広まるのか?
日本では、トークナイザーションがアメリカほど普及していないと同時に、国際標準準拠(Type A/B)のNFCチップのリーダーも普及していていません。国際標準準拠(Type A/B)のNFCチップとガラパゴスな「Felica」とはお互いに通信はできないのです。
2020年の東京オリンピックに向けて、店舗側の決済端末はNFCリーダーが普及するはず。
アメリカでは、Squareが「Apple Pay」で利用できるクレジットカードリーダーを無償で配ってるんだけど、早く日本でも配るべき。シェア取れるのにね。
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