Google I/Oにて、Googlebotで使用するレンダリングエンジンが、Chrome41からChrome74へアップデートされたと発表がありました。
ようやく、Googlebotによるレンダリングが、最新のレンダリングエンジンで実行されることになります。
また、定期的にレンダリングエンジンはアップデートされるとのことです。
このたび、Googlebot では検索用にページをレンダリングする際に、最新の Chromium レンダリング エンジン(この投稿の時点でバージョン 74)を実行するようになりました。今後、Googlebot のレンダリング エンジンは定期的に更新され、最新のウェブ プラットフォーム機能をサポートできるようになります。
現在のChromeの最新バージョンはChrome74なので、Googlebotのレンダリングは、ユーザーが使用するブラウザと同じバージョンのChromeで行われることになります。
Chrome41のウェブ レンダリング サービス (WRS) の問題点は?
今まで使われていたChrome41のウェブ レンダリング サービス (WRS) の問題点を見ていきます。
Chrome41がリリースされたのは2015年3月です。すでに4年以上も古いため、Googlebotでレンダリングを行う際、最新のJavaScriptの技術をサポートできませんでした。最新バージョンのChromeを使ったユーザーのブラウザでは正しく表示されていても、Googlebotでエラーになる可能性があったのです。
実際、GooglebotがJavaScriptのレンダリングを正常に処理できなかったことで、検索パフォーマンスが急落したケースも聞いたことがあります。
サイトの規模や構築方法によっては、SEOを行う際、4年前のブラウザであるChrome41を意識しなければならないケースもありました。
また、HTMLのページをインデックスするプロセスと、JavaScriptで生成するコンテンツのインデックスするプロセスは異なります。JavaScriptで生成するコンテンツが検索結果に反映されるには、HTMLのページよりも多くの時間がかかってしまう問題点もあったのです。
ダイナミックレンダリング
Chrome41のWRSで問題になるような、変更する頻度の高いJavaScriptで生成されるコンテンツや、Chrome41で処理できないJavaScriptの機能を使ったページの場合、Googlebotが正しくJavaScriptを処理できないことがあります。このようなケースにおいて、Googlebotがコンテンツを理解できないケースに直面することになるため、Googleではダイナミックレンダリングを推奨していました。
ダイナミックレンダリングを実装することで、上記の問題は回避できます。
ちなみに、ダイナミックレンダリングを実装すると、ユーザーにはクライアント側でレンダリングされるコンテンツを返し、GooglebotにはHTML化した状態のプリレンダリングしたコンテンツを返します。
GooglebotのレンダリングがChrome74へアップデートするとどうなる?
今回、Googlebotのレンダリング機能が、Chrome74のレンダリングエンジンにアップデートされたことで、JavaScriptが生成するコンテンツをGooglebotが正しく理解できるようになります。
最新のJavaScriptの機能についても、Googlebotはサポートするとのことです。
新しいGooglebotでサポートする新機能
GooglebotのレンダリングエンジンがChrome41からChrome74へ変更されたことで、1000個以上の新機能がサポートされます。
Google社員のマーティン氏によると、すでに1000以上の新機能はサポートされている模様です。
There is still a delay…but more than 1000 new features are supported now!
— Martin Splitt @ ?? #io19 (@g33konaut) 2019年5月7日
特に以下の機能は、待ち望んでいた方も多いはずです。
- ES6 and newer JavaScript features
- IntersectionObserver for lazy-loading
- Web Components v1 APIs
ES6 and newer JavaScript featuresについて紹介します。
Chrome41ではES6をサポートしていなかったので、今までES6を使っている場合は、JavaScriptをES5にトランスパイルする必要がありました。今後、その必要はなくなります。
今後、レンダリングエンジンのバージョンアップは?
今回、Chrome74がレンダリングエンジンに組み込まれましたが、数ヶ月経てばユーザーが使用するChromeのバージョンとの乖離が起きます。
少なくともユーザーが使用するChromeは、1〜2ヶ月毎にバージョンアップされています。
PC版のChromeは以下の日程でバージョンアップされました。
- Chrome74・・・2019年4月23日にバージョンアップ
- Chrome73・・・2019年3月12日にバージョンアップ
- Chrome72・・・2019年1月29日にバージョンアップ
ユーザーが使用するChromeに合わせてレンダリングエンジンとして使用されるChromeもバージョンアップするのか、それとも定期的にバージョンアップしていくのかについて、今の時点ではお伝えできる情報はありません。
今回のGoogle I/O中に、Googleのマーティン氏よる発表があるかもしれませんので、何か情報が分かり次第こちらでお伝えしていきます。
さいごに
以上、GooglebotのレンダリングがChrome41からChrome74へアップデートされた件を紹介しました。
Googlebotのレンダリングが、最新のJavaScriptの技術をサポートし、ユーザーが使用するChromeと同じバージョンのレンダリングエンジンで実行されることになります。
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