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最高裁判所 裁判官の国民審査どうする?

よもやま話

本日、第48回 衆議院選挙の投票日です。

衆議院選挙については、ネットでもテレビでも情報が溢れていますが、同時に行われる国民投票のことをご存知ですか?

わたくし自身、国民審査で ×印 をつける最高裁判所の裁判官が誰なのか、普段意識することはありません。

今日は、選挙会場に到着してから「最高裁判所 裁判官の国民審査どうする?」とならないために、このエントリーを書きます。

国民審査とは?

国民審査とは、任命されている最高裁判所の裁判官を辞めさせるかどうか、国民が審査する制度です。衆議院選挙と同時に行われます。前回の衆議院選挙以降に任命された、新任の最高裁判所の裁判官が、今回の国民審査の対象になります。

国民審査は、10年ごとに再任審査を行います。ところが最高裁判所の裁判官になる年齢は60歳以上の方しかいないのと、最高裁判所の裁判官の定年は70歳ということもあり、一人の裁判官に対して、国民審査が2回行われることは、まずありません。

過半数以上の ×印 で罷免

国民審査の投票用紙には、国民審査の対象となる裁判官の名前が書かれております。投票者は、辞めさせるべきだと考える裁判官に ×印 をつけます。

×印 が有効投票数の過半数を超えると、該当する裁判官は罷免されます。でもね、過去に一度も罷免された裁判官はおりません・・

ちなみに、×印 以外の記号を国民審査の投票用紙に記入すると、投票用紙は無効になるのでご注意ください。

また国民審査を棄権することも可能です。その場合、投票用紙を受け取る必要はありません。万が一、受け取ってしまった場合でも、その場で投票用紙を返却することもできます。

国民審査の対象となる最高裁判所の裁判官の経歴は?

今回の国民審査では、以下の7名が国民審査の対象となります。

どのような経歴なのか見ていきましょう。

小池 裕

東京大学法学部卒で裁判官出身です。66歳。

  • 2013年7月8日に東京地裁所長へ就任
  • 2014年4月1日に東京高裁長官へ就任
  • 2015年4月2日に最高裁判所判事へ就任

裁判官としての心構え

これまで,第一審,控訴審の裁判官として,できるだけ良い耳と良い目を持って証拠に当たり,具体的な事情を考慮して,法と常識に適う妥当な判断をするよう心掛けてきました。これからも,誠実に事件に向き合い,公正に,できるだけ幅広く考え,利害や見解の対立する事件についても,結論までの筋道がよく分かる判断をするように努めたいと思います。

関与した裁判

第4次厚木基地騒音訴訟で飛行差し止めを認めなかった判決。

戸倉 三郎

一橋大学法学部卒で裁判官出身です。66歳。

  • 2013年10月にさいたま地方裁判所長へ就任
  • 2014年7月に最高裁判所事務総長へ就任
  • 2016年4月に東京高等裁判所長官へ就任
  • 2017年3月に最高裁判所判事へ就任

裁判官としての心構え

世の中には自分の知識や経験では計り知れないことがあるという「畏れ」を忘れず,自分の価値観や経験などで「変換」することなく,物事をありのまま受け止めて考えることを心掛けています。これを実践するのはなかなか難しいのですが,物事の本質をつかみ,柔軟で多角的な判断をするための入口ですので,引き続き努力したいと思います。

関与した裁判

平成28年参議院選挙「一票の格差」を合憲とした大法廷判決(今年9月)で多数意見に賛成。

山口 厚

東京大学法学部在学中に司法試験に合格しています。63歳。
卒業後、東京大学で教鞭を取ります。

  • 2014年6月に東京大学名誉教授となる
  • 2016年8月に弁護士登録
  • 2017年2月に最高裁判所判事へ就任

裁判官としての心構え

毎日が新たなことの勉強だと思います。その上で,自分が持てるものを生かしつつ,公正・公平な立場で判断していくことを心がけたいと思っています。

関与した裁判

捜査対象者の車にGPS端末を付ける捜査手法を「令状がなければ違法」とした大法廷判決(今年3月)に関与。

菅野 博之

東北大学法学部卒で裁判官出身です。65歳。

  • 2014年4月1日に東京高等裁判所部総括判事へ就任
  • 2015年2月17日に大阪高等裁判所長官へ就任
  • 2016年9月5日に最高裁判所判事へ就任

裁判官としての心構え

裁判では,意識的に複数の視点から見直してみるように心懸けています。たとえば,理屈中心の考え方,経験則を加味した考え方,更に実質的な考え方,あるいはAさんからの見方,Bさんからの見方など,異なる方向から検討し,かつ,できる限りそれを口に出して,別な人の批判も仰ぎながら判断したいということを考えてまいりました。

関与した裁判

米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設をめぐり「知事の埋め立て承認取り消しは違法」とした判決(平成28年12月)に関与。

大谷 直人

東京大学法学部卒で裁判官出身です。65歳。

  • 2011年に静岡地方裁判所所長へ就任
  • 2012年に最高裁判所事務総長へ就任
  • 2014年に大阪高等裁判所長官へ就任
  • 2015年に最高裁判所判事へ就任

裁判官としての心構え

昭和52年に判事補に任命されてから,これまでの間,法廷傍聴に来られる方々の数は,学生の皆さんを中心に飛躍的に増えたと思います。裁判員裁判の導入などもあって,国民と裁判所との距離は確実に縮まっているというのが実感です。しかし,その分,裁判所が期待に応えているかどうかを問う,国民の目は厳しくなっているとも思います。最上級審,最終審である最高裁判所の裁判官の職責の重さを忘れずに,気負うことなく,しかし同時に,心を傾けて,一つ一つの事件に誠実に取り組んでいきたいと考えています。

関与した裁判

宮城県石巻市で3人を殺傷した元少年の死刑を維持した判決(平成28年6月)で裁判長。

木澤 克之

立教大学卒で弁護士出身です。66歳。

  • 2013年に学校法人加計学園監事
  • 2016年7月に最高裁判所判事へ就任

裁判官としての心構え

正義と公平に適い,かつ,健全な社会常識に適う法律の解釈・適用に努めたいと思っています。

関与した裁判

学校や病院近くの風俗店案内所の営業を禁じた条例を合憲とした判決(平成28年12月)で裁判長。

林 景一

京都大学法学部卒で外務省出身です。66歳。
法曹資格は持っていません。
外務省で条約局長、国際法局長を歴任しております。条約局長や国際法局長は、条約の解釈権を持っています。なので、法曹資格を持っていない外務省出身が最高裁判所の裁判官になることは、よくあります。

  • 2011年から駐イギリス大使
  • 2017年に最高裁判所判事へ就任

裁判官としての心構え

最終審である最高裁判所の判事としての重大な責任をいつも心に留め,世界の中の日本という視点も踏まえながら,中立公平な裁判のため,42年間外交に携わった行政官としての経験を少しでも活かしていきたいと思っています。

関与した裁判

平成28年参議院選挙「一票の格差」を合憲とした大法廷判決(今年9月)で違憲状態の個別意見。「1人1票の原則は民主主義の国際標準。最大格差3倍を『違憲状態を脱した』と明言することはためらいがある」という個別意見を述べた。

さいごに

以上、「最高裁判所 裁判官の国民審査どうする?」でした。

繰り返しになりますが、×印 以外の記号を国民審査の投票用紙に記入すると無効になってしまうので、くれぐれもご注意ください。