楽天がAndroid向けのアプリストア「楽天アプリ市場」のサービスを開始しました。特に目新しい技術はないのですが、「楽天スーパーポイント」が貯まって使えることがメリットかもしれません。
楽天は8月19日、独自のAndroidアプリストア「楽天アプリ市場」を公開した。当初、181社が配信するゲームやライフスタイル系など393タイトルを提供。楽天アプリ市場の限定タイトルもある。楽天市場や楽天トラベルなどで培ってきたBtoBtoC型のマーケットプレイスモデルを「アプリ」に応用、アプリ開発者に新たな販路を提供して「楽天経済圏」を拡大させたい考えだ。
同社が提供する「楽天スーパーポイント」と連携しているのが特徴。ストアでの支払いやアプリ内課金を楽天スーパーポイントに対応させるほか、支払い金額に応じて通常の10倍のポイントを付与する特典も設けた。
開発者の取り分は売り上げの75%で、他アプリストアに比べてやや多い。販売手数料として楽天が15%を得て、残りの10%をユーザーにポイントで還元する。
プラットフォーマーとしての「楽天アプリ市場」
今のところ、アプリ開発者を獲得するフェーズです。アプリが充実しないことにはユーザは訪れませんからね。
なので、開発者の取り分は売り上げの75%と、他のアプリストアに比べてやや多いです。ちなみにGoogle Playは70%です。
販売手数料として楽天が15%を得て、残りの10%をユーザーにポイントで還元するとなっていますが、これは最初のうちだけでしょう。
Google Playからある程度ユーザーを獲得できた後、いつものように開発者の取り分は下がっていくと思われます。もしくはアフィリエイトを負担せよということになりかもしれません。
アプリコンテンツのプラットフォームの機能
ドワンゴの川上量生さんの定義によると、プラットフォームの役割は4つあります。
- ユーザーベースの提供
- プロモーション手段の提供
- コンテンツの枠組みの定義
- アプリの品質管理
ユーザーベースの提供
コンテンツホルダー(アプリ開発者)から見ると、楽天会員数9,977万人のユーザー情報が魅力的なはずです。GooglePlayで獲得できなかった新しいユーザへアプローチできますからね。
プロモーション手段の提供
始めのうちは楽天がプロモーションをしますが、次第にコンテンツホルダー(アプリ開発者)の負担も出てくるはずです。人気のアプリを開発している開発者の場合、プラットフォームである楽天がアプリの宣伝をしますが、そうでない場合は広告費を支払うということになってくるはずです。
コンテンツの枠組みの定義
Androidのフォーマットがあるので、アプリ自体は同じものです。
アプリの品質管理
「楽天アプリ市場」独自のものとしては、ストアのセキュリティ対策として、トレンドマイクロの技術を用いて、すべてのアプリの登録審査時にセキュリティを評価して配信可否を判断する仕組みを用意しているということです。
プラットフォーマーの「鵜飼モデル」
2004年に「旅の窓口」を楽天が買い取った後の展開が参考になります。ネットが普及する以前、旅行業界では、JTB・日本旅行などのリアルエージェントを通じての予約がほとんどでした。手数料は10〜15%程度でした。
これが、「楽天トラベル」や「じゃらん」は、サービス当初は手数料6%くらいで、ホテルなどの施設側は手数料の安さが魅力的だったのです。
ある程度ネットでの予約が浸透してくると、手数料の上乗せやポイントのホテル負担分などで、現在は手数料15%近くかかるようになり、現在はリアルエージェントとあまり変わらないのです。
- 最初は安い手数料で開発者を集める
- 楽天会員数9,977万人を武器に、Google Playからユーザを奪う。
- 抜けられなくなったところで、値上げ
中国のAndroidアプリストア ランキング
現在のところ、中国では中国のインターネットのファイヤーウォール「金盾」によってGooglePlayにアクセス出来ないので、中国で販売されているAndroidのスマートフォンには、Google Playはインストールされておりません。
なので、サードパーティーのAndroidアプリストアの動きが活発です。
10 alternative Android app stores in China
- Baidu App Store
中国の検索エンジン大手Baiduのアプリストアです。Baiduの検索エンジンの
2014年夏、19億ドルで91 Mobileを買収しました。現在これらのアプリストアは別々に運営されています。 - Tencent App Gem
人気のメッセージャーアプリWeChat(微信)を制作したテンセントが運営するアプリストアです。WeChat(微信)のアップデートは、他のアプリケーションストアに配信される前に、テンセントのアプリストアで公開されます。 - Qihoo 360 Mobile Assistant
中国で2番目に大きな検索エンジンQihooが運営しています。 - Wandoujia
創業時に1億2千万ドルを集めた注目のスタートアップです。 - 91 Mobile Assistant
Baidu App Storeのご紹介したとおり、Baiduによって運営されています。 - HiMarket
こちらも、Baiduによって運営されています。 - Taobao Mobile Assistant
アリババが運営しているアプリストアです。 - Xiaomi App Store
注目のXiaomiが運営するアプリストア。これからもっと成長するはずです。
創業4年でスマートフォンの世界シェア3位ですからね。 - D.cn Games Center
ゲームのWebポータルから生まれたアプリストアです。 - AppChina
このスタートアップは最近勢いが落ちているようです。
「楽天アプリ市場」の今後
Google Playがない中国とは違い、Googleが強い日本では中国のようにサードパーティーのアプリストアの展開は難しいはずです。
そんな中、9,977万人のユーザーをもつ楽天がどこまでシェアを伸ばすのかは微妙ですね。
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