書籍「いちばんやさしいGoogleビジネスプロフィールの教本」

自動運転革命が起こると、今後の自動車産業はどうなる?

自動運転

自動車のテクノロジーは、大きな転換期を迎えています。

どんな転換期かというと、キーワードは「電気自動車」と「自動運転」です。

ガソリンエンジンから「電気自動車」が主流になり、車の根幹となるパワートレインが、過去100年近くに渡って発展してきたガソリンエンジンから、電気モーターへとシフトしています。

また、センサーやカメラの低価格化や制御機器の進歩によって、自動運転の時代が現実のものとなってきました。

自動車メーカーにとって脅威的なのは、「電気自動車」と「自動運転」がセットでやってくることです。AI(人工知能)やセンサー類の発展により、予想していたよりも「自動運転」の時代は早く到来するのです。

Googleが先行する自動運転の技術

自動車の根幹となるテクノロジーが変わってくると、自動運転の開発を主導するのは、従来の自動車メーカーから、IT企業へとシフトしていきます。

特に、自動運転のテクノロジーは、IT企業であるGoogleが先行しています。グーグルカーが公道でテストした走行距離は、過去6年間で、約190万キロメートルにも及びます。

IT企業と自動車メーカーの自動運転車への取り組みを比較すると、「IT企業=スマホ」に対して「自動車メーカー=ガラケー」くらいの違いがあるのです。どのくらい違うのかは後述します。

自動運転の仕組み

自動運転とは、運転手を必要とせず、車載されたセンサーやカメラからの情報を元に、自動車が自律的に走行することを指します。

現時点では、「完全自動運転」は実現しておりません。

現在の段階は、日産の自動ブレーキなどに代表される、ドライバーの認知・判断・操作を補完する「安全運転支援システム」が自動車に実装されつつあるのです。

この技術が発展することによって、5年以内に、ドライバーが何もしなくても勝手に走行する「完全自動運転」システムが一般化することは間違いなさそうですね。

法律面から見た自動運転

2016年現在において、一般の人が公道で走ることができる完全な自動運転車は市販されておりません。なぜかというと、1949年に制定されたジュネーブ道路交通条約によって、常に人間の運転が必要と定められているからです。

今後、法律面などの制度設計がおこなわれていくことでしょう。

自動運転のレベル

現在、自動運転のレベルは、レベル1〜レベル4までの4段階に定められており、今の時点で発売されている市販車はレベル2までとなります。

レベル1

運転の3要素である「加速」・「操舵」・「制動」のどれかを自動運転システムが制御します。テレビCMでもおなじみの日産の自動ブレーキが該当します。

レベル2

運転の3要素である「加速」・「操舵」・「制動」のうち、複数の操作を自動運転システムが制御します。ドライバーは常に運転状況を監視操作する必要があります。

2016年時点で市販されているレベル2の自動運転車は、10〜15秒程度ハンドルから手を離すとシステムが自動解除される仕様になっています。

テスラのオートパイロットが該当します。レベル2の市販車は、メルセデスやボルボからも発売されています。

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レベル3

運転の3要素である「加速」・「操舵」・「制動」の全てを、自動運転システムが行います。緊急時のみ、ドライバーが対応します。

2016年現在では、レベル3の市販車は存在しません。2020年の東京オリンピックまでに、日本政府はレベル3の自動運転車の実用化を目指しているのです。

レベル4

レベル4の自動運転車の場合、運転に人間が必要なくなります。
緊急時も含めて運転の3要素である「加速」・「操舵」・「制動」の全てを、自動運転システムが行います。

レベル3と同様、2016年の時点でレベル4の市販車は発売されておりません。日本政府は、2020年の東京オリンピックまでに、レベル4の自動運転タクシーの実用化を目指しています。

IT企業の自動運転への取り組み

先程話したとおり、自動運転車の開発は、Googleが圧倒的な技術力でリードしています。

例えば、AIを使った制御や、Googleマップとの照合による安全な自動運転技術、常時接続の技術、バッテリマネジメントなどで、自動車メーカーよりも優位に立っているのです。

デメリットとしては、自動車の品質管理がどの程度できるのか未知数な点です。でも、テスラを見る限り、クオリティの高い自動運転車を製造することはできそうですけどね。

Googleの自動運転車

グーグルカー

グーグルカーと呼ばれています。

自動運転の制御は、車載したセンサーやカメラを使います。グーグルカーのすごいところは、車載したセンサーやカメラからの情報を元に、車の周りの詳細な3Dマップを作り、その3DマップとGoogleマップのデータと照合しながら、AI(人工知能)を使って、自動運転を制御するところです。

Googleマップのデータ蓄積がアドバンテージになっていることは言うまでもありません。また、Googleは自社で衛星も持っているから、画像のアップデートもどんどん進化しています。

テスラの自動運転車

テスラ オートパイロット

Model Sには、オートパイロットと呼ばれる自動運転システムを搭載しています。

アメリカでは2015年10月から、日本では2016年1月からオートパイロットがスタートしています。

2016年7月に死亡事故がでたこともあり、テスラモーターズでは、2016年9月16日、オートパイロット機能を更新しました。

マスク氏は11日の電話会見で、大々的に「刷新」したオートパイロット機能のソフトについて説明。今回のバージョン8.0への更新では、テスラ車に既に搭載されているレーダーが自動運転機能の主な情報源となる。マスク氏は「フリートラーニング」機能により、今回の更新で「安全性が3倍高まる」と強調し、レーダーの情報だけでブレーキが作動する機能を「超人的」と自賛した。

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自動車メーカーの自動運転への取り組み

自動車メーカーが作る自動運転車って、センサーとカメラを車載しただけのポンコツに見えませんか?グーグルカーのように、「AI」や「Googleマップ」も組み合わせて制御するわけじゃないのです。

どんな技術があるのか見ていきます。

スバル

アイサイト

アイサイトという運転支援システムを開発しています。アイサイトは、カメラを使って前方を監視して、自動ブレーキの制御を行います。また高速道路では、先行者に追従するクルーズコントロール機能も搭載しています。ノロノロ運転の渋滞時にも追従できるのは便利ですね。

アイサイトを搭載している自動車では、危険を予測して制御するので、約6割事故が減っているようです。

日産

プロパイロット

プロパイロットという運転支援システムを開発しています。2016年8月末に発売したセレナに、高速道路で自動運転を可能にする技術を登載したのです。でも、試乗レビューを見ると、全然ダメっぽいけど・・

「自動」にはほど遠く、必ずアクセルの踏み増しをしてやらないとダメ。残念でした。
ブレーキも信頼性という点でイマイチ。レーダー+カメラというシステムを使うボルボや、ステレオカメラのアイサイト3は先行車の減速を“ほぼ”100%の確率で瞬時にキャッチ。自然なタイミングでブレーキ制御を行う。
しかしプロパイロットはカメラしか使っていないせいか、確認性能もブレーキのタイミングも安定していない。

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メルセデス・ベンツ

ドライブパイロットという自動運転システムを搭載しています。

新たに搭載した「ドライブパイロット」は高速道路や渋滞時などにドライバーを支援する先進的なクルーズコントロール。先行車との車間距離に加え、周囲の車両やガードレールなどを常時監視することで、ステアリングアシストが作動する状況が拡大しているという。車線が表示されていなかったり、不明瞭な場合でも先行車を追従することもできる。

同社としては初搭載となる「アクティブブレーンチェンジングアシスト」では、ウィンカーを2秒以上点滅させると、センサーが周囲の安全を確認した上で自動的に車線を変更する。また、走行中にドライバーが気を失うなどした場合、自動的に車線を維持しながら緩やかに減速・停止する「アクティブエマージェンシーストップアシスト」を世界初搭載した。

ベンツ新型「Eクラス」発表 自動運転技術「ドライブパイロット」初搭載

ボルボ

オートパイロット

オートパイロットという名の自動運転システムを開発しています。

今後の自動車産業

10年後に、日本の自動車産業が基幹産業である保証はどこにもありません。

だって、電気自動車になれば自動車の単価は大幅に下がるし、自動運転の技術はGoogleが先行しています。このままいったら将来はあまり明るくないのが現状です。

官民一体で自動車産業を支援すべし

官民一体で自動車産業をバックアップする以外に道はありません。

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自動運転のエンジニアを養成

自動運転のエンジニアは、自動車メーカーから出すのではなく、IT企業から引っ張ってくる必要があります。
ドイツでは、エンジニア養成学校もあるのです。

かつてグーグルで自動運転車の開発責任者を務めたセバスチャン・スランは、メルセデス・ベンツやNvidiaらと連携し、自動運転向けテクノロジーを開発するエンジニアの育成を開始した。

スランがグーグルを退職後、2012年に立ち上げたオンライン教育プラットフォームUdacityは、自動運転関連テクノロジーの習得コースを新たに設置した。ウーバーが買収した自動運転トラックを開発する企業のOttoや、中国の滴滴出行らもこのプログラムに参加する。

自動運転「エンジニア育成学校」が開設 卒業後はベンツに勤務の道も

日本でも、自動運転のエンジニアを養成するべきだと思いませんか?

今後の自動車産業が、日本の基幹産業として維持できるために、Googleを始めとした海外勢に対抗できる体制を整えるべきです。

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